第六話 『エナンの洗濯女たち』 ウイリアム・ブーグロー
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Canvas.6
He saw a song in her labor,
and a hope in her hands.
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きしきしと痛む体の節々をほぐしながら、休憩部屋でくつろいでいると、どこからか楽しげなメロディーが聞こえてくる。
はて?と少年はその音の元を探すと――
「♪~」
窓の外、メイドの彼女が、真っ白なシーツやタオルをロープにかけていた。鼻歌を歌いながら。
彼女は駕籠の中から洗濯物を取り出すたびに曲を変え、手際よく干し続けている。
どうやら、有名な名曲というわけでなく、彼女が即興で歌っているようだ。
何がそんなに楽しいのだろう。
彼女の労働は、決して軽いものではない事を、自分は知っている。
交わした握手は、彼女の長年続けた、重労働の痕を感触で教えてくれていた。
なのに、僕が見るのは、いつだって――。
くるくると、せわしなく動きながら、彼女は笑っている。
腕を一杯に広げながら、一枚一枚、宝物を飾るように。
僕も、ここにいれば、いつか彼女のように笑えるのかな。




