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執事さんとお嬢様 ~甘党の為のお茶会~  作者: ぐったり騎士
執事さんとお嬢様

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22/70

第十九話  「魔笛」

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 Tea time.19

  What did Mozart whisper to her?

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 ちょっとだけ、このままで――



 そう言って、少女は執事の胸に顔をうずめ、僅かに震えながら嗚咽を漏らし始めた。


 きっと、従者の知らないところで、『何か』があったのだろう。


 もちろん、気にはなる。

 だが、聞いて欲しいことであれば、いずれ少女自身が語るだろう。


 それに、今彼女が望んでいることは、そんなことではないはずだ。


 片方の腕を彼女の背中に。

 もう片方を、髪を梳くように撫ぜながら、その小さな身体を抱きしめる。



 いつもより、ほんの少しだけ本気で。






 随分と長く感じる数分間。


 そして、少女が自ら離れる。



「ありがとう、落ち着いたわ。……ごめんね」



 かすかに赤くはれた目を瞬かせて、久しぶりの笑顔でそういった。



「いえ、私などでよろしければ――」



 ううん、と。

 

 少女は執事の言葉をさえぎる。



「貴方だから、よ。貴方は、わたしにとっては、『魔法の笛』だもの」


「……光栄です」


「うん……」



 一度だけ、深呼吸をして。



「お茶にしましょうか。それで……少し、話を聞いてくれる?」


「仰せのままに」







 これは、魔法の笛。

 これさえあれば、いついかなる時にも、

 人の苦難を助け、悲哀を歓喜に、憎しみを愛に変えます。


                      ―― オペラ「魔笛」より




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