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伯爵様、頑張る美少年を見てニマニマする。

 私が楽園を見てから数か月が経ちました。はやいって? でも正直当たり障りのない出来事しか起こらなかったから、そんなに語ることはないんだよ。

 まぁ、一生懸命頑張るグランはもう、何にも代えられないぐらい良いんだけどね。

 そうそう、グランはね、なんかサーラ様と出会った日からより一層頑張るようになったの。もしかしてサーラ様に惚れて、その結果「僕はサーラ様にふさわしくありたい」ってそんな思いにかられて―――と思うととってもドキドキするわ。というか、そうだったらどんなにいいか!

 などと妄想を語ったら、色々な人にそれ違う言われた。何が違うのよー! その可能性の方が高いじゃない。サーラ様はあんなに美しいのだから。むしろ天使であるサーラ様を見て惚れない方がおかしいというのに。

 これぞ真理! とドヤ顔していたら、ディリートに「仕事の邪魔なんであっち行ってください」と言われた。酷い。私が領主なのに。

 まぁ、実際邪魔にはなっているんだろうからってわけでディリートの邪魔をしないように私はその場を後にしたわけだけど、暇なんだよね、正直いって。

 何かすることないかなーなんて考えながらうろちょろしていたら、ワオにしごかれているグランを見たの。

 庭でね、ワオに怒られながらも一生懸命食らいついている姿は正直涎が垂れそうなほどだった。

 見ているだけでどうしようもなくニマニマする。

 仕方がないじゃないか、なんだかサーラ様に出会ってから理由はわからないけれどより一層に色々なものを頑張っているグランなんだよ! あんなに綺麗な子が、ボロボロになりながらもワオに向かっているんだよ!

 っていうか、大人げないよ。そんなの思いっきりグランをけちょんけちょんにするとか。まぁ、ワオは相変わらずグランの事認めてないみたいだけど。

 もー、私が好き好んで養子にしたんだからそんなに反対しなくてもいいじゃんかって思うよ、正直な感想を言うと。

 というか、文句があるなら私にいいなよーっと思うんだけど私に対してはそういうことどうしても言えないらしいの。もう、なんか面倒よね。

 頑張っているグランっていいね、見ていて。

 なんであんなに頑張っているんだろう。本当に気になる。理由が知りたいけれど、聞いてもそっぽ向かれたの。なんだか、悲しい。でもサーラ様の元へいってからというもの、グランってば私に少しずつ近づいてくれていたんだよ。

 目の前で刺客を殺してから色々と距離ができていたんだけど、どういう心の心境なのだろうか。まぁ、嬉しいからすべてよしといえるけどさ。

 可愛いよねー。

 ニマニマするよね。

 思わず涎たれそうなぐらい、頑張るグランはやばい。

 可愛すぎて、見ているだけで嬉しくて、ああ、こうやって美少年の成長を見届けることができるなんて私はなんて幸せなのだろうとそんなことばかり思う。

 幼い頃からの夢だった。美少年と美少女を育ててみたいっていうのが夢だった。だってあんなに綺麗で可愛い生き物をずっと見守ってられるなんて幸せ以外のなんでもないじゃないか。

 私が戦争で活躍して、爵位もらって英雄扱いされて。そんな私は未婚の伯爵なのに、そういう話は上がらないし、あきらめた。だって考えてみればあれだ。大きすぎる力を持つ存在って恐れられるものだし、私が男だったらドラゴンを葬ったりできる血なまぐさい奥さんとか絶対嫌だ。だからまぁ、結婚はできないだろうし、だからグランを引き取ったのだけど。

 でも、良かった。

 丁度養子をとろうとした時に、グランに出会えて。

 あんなに私の理想の美少年が見つかってよかった。もしグランが見つからなければ、理想の子供を求めてうろうろしただろうけれど、途中で妥協してほかの子供を引き取ったかもしれない。それだったら子供の成長を見守るって意味で楽しめるかもしれないけれど、絶対今みたいにニマニマはできなかったからね。

 「はぁ、頑張っている美少年とかやばい」

 「……相変わらず頭が残念ですね、マリアージュ様」

 呆れたような声をあげるのは、実家から私についてきた侍女であるチノだ。チノは幼い頃から私を知っていることもあり、私は一応雇い主なのに色々容赦ない。

 というか、私の家に仕える人たちはディリートといい、色々容赦なさすぎだと思う。

 「それより、マリアージュ様。魔物が出たので対処お願いできますか」

 「あ、そうなの。いいよ、今すぐ行く。じゃあ、チノ。私の代わりにグランを見守ってて。そしてあとで教えて」

 「はいはい。わかりましたよ。マリアージュ様」

 「もうっ、返事が適当だな」

 「はいはい。では、いってらっしゃいませ」

 やっぱり色々ひどいと思う。でもまぁ、こんな風に遠慮ない態度だからこそ、私はチノの事が好きなんだけれども。



 その後は魔物退治をさらっと終えて、チノからグランの様子を聞くのであった。



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