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契約結婚のその後で、領地をもらって自由に生きることにしました  作者: 奏多


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90 夢で見た未来との違いはどこだ? 1

「具体的に、未来を変えるには何をしたらいいのか……」


 寝る前に、カールさんを魔石から呼び出してつらつらと話し合うのが、最近の習慣になってきていた。

 今日も、ミカ達がいなくなってから、ゆっくりとカールさんと話す。

 とにかく全員が無事に乗り切るために……。

 全員は無理かもしれないけど、ほとんどを生かせるように、せっかく未来を知っているんだからできることを探したいのだ。


『おそらくは、未来視とは違うことをするべきなんじゃろうがな』


 カールさんは難しい表情で腕組みする。

 夢で見た未来とは違う結果を導くには、違うことをしなければならないのはその通りだ。


『しかし具体的にどれ、ということになるとな。細かく考えていくしかあるまい。時間を食うが、その方が無駄に走り回るよりもいいじゃろな』


 カールさんの意見には同意だ。

 せっかく、ヒントだけはあるのだ。それを探った方が結果的には早い。


「問題は、ヒントも断片しかないことですよね……」


『そういう時は、一個ずつ書いて、改めて俯瞰した方が良い』

 

「うーん」


 私は室内の机に向かい、引き出しから紙を取り出す。

 使うのは、木炭を崩して固めて、それを布で巻いた物だ。

 ちょっと高いが庶民ではこちらの方が、インクよりも良く使われている。

 貴族もちょっと書いたりするのに楽なので、木炭筆を使うことが多い。


「さてと。がけ崩れの時から未来を見せてくれてるから、カールさんのことは未来に織り込み済みだと思うんですよね」


『それなら、お前さんが錬金術で薬を作るだろうし、爆弾も、未来では使っているはずであろうな』


 うんうんとうなずき、私はそのあたりを書き込む。


「次は火竜の夢でしたね」


 失敗した未来でも、カールさんがいるので、火竜のことも夢に見ているだろうけど……。

 書いてみて、ふと思った。


「あの時の夢……、ちょっと気になるんですよね。まず、……火竜が出た時と、実際に火竜の対策をした時の様子が違うので。あの時点で、多少は【失敗した未来】とは変わっているかなと思うんですよ」


『そうじゃな。シエラは山に登っておらんし、火竜を間近で見てない。未来が不確定なせいで、そなたが死なない未来については、そういう未来を見ることもあるかと思っていたが……』


「あれが実際に起きる未来だったと仮定したら……なんですけど、そうできたのは、リュシアンが戻って来たからですよね? じゃあ、リュシアンは、あの火竜の夢を見た時点での未来では、ハルスタットに来ていなかった可能性があるってことでしょうか?」


『あの魔術師が来ていなかったなら、お前は山に登っただろうな。確認のためにも』


「ええ。そうしたら……リュシアンの方で何か変化があったとか? でもリュシアンの予定って、私が介在してる部分があんまりないんですよ。がけ崩れの後で見た未来なので、到着日が遅れたことは関係ないでしょうし」


 私は【リュシアンの方で変化があった?】と紙に書く。


『しかし本人がいないのでな。変化していないか確認するわけにもいかん』


 本当に惜しいことをした。

 やっておきたいことが多くて、振り返る心の余裕もなかったのだけど。


「それなら他の部分……。そうだカールさん、山賊が出る未来って見なかったんですか?」


 カールさんは言っていた。

 持ち主にとって重要な夢を共有させたと。

 以前は、持ち主の妻の浮気まで見せていたのだから、命がかかわっていない未来も、カールさんは垣間見ることができるわけで。

 山賊が出るようなことがあれば、ちらっとそういう未来は見なかったのだろうか?


 カールさんはしばらく考える。


『山賊……そういえば、山賊狩りの話をしているのは見たかもしれぬ。だが、シエラは参加していなかったように思う』


「私が参加していなかったんですか?」


 そんなことあるかしら?

 失敗したはずの未来でも、条件は同じだから、同様の行動をすると思うのだけど。


「私が怪我をしていた未来とか、ありませんでしたか?」


『うーむ、むしろ……そうだ。山賊狩りの結果、子供が死んでいた』


「子供が? アダンとメリー達が死んでいた……としたら。ベルナード軍のことがわからなかったかもしれない」


 ただの人さらいだと思っただろう。

 そうしたら、火竜の時にあそこまで焦らなかったかもしれない。

 火竜にだけ集中して、リュシアンが来ても、安全策をとらなかったりした可能性はある。


「どうして違いが発生したのかしら……」


『誰かが、証拠隠滅のためにあの子供らを殺したのかもしれんな』


「ベルナード軍が戦争の準備をしていること、ですか?」


 カールさんがうなずく。


『わざわざ魔力のある人間を探すため、魔術師を入り込ませるのだから、よほどの用があったんじゃろ。だが何かの問題が起きて、証拠隠滅のために殺したのかもしれん。そして……殺せない状況になった可能性も考えるべきじゃな」


「殺せない状況……」


 なんだろう。

 そんな要素が発生する出来事があったかな?

 悩んだ私に、カールさんが重要なことを告げる。


『未来視は不安定じゃからなぁ。ほんの三秒後に起きたことを、これから起きることとみる場合もあるんじゃ。あの火竜の夢に関しても、シエラが行動を決める前のことだ。そのあたりも関係しているかもしれないのぅ』


「未来視は、直前までの状況下でのことを、未来として見る? だけど、何かがその後変化した時には、その未来からそれていく」


 たとえば私達が、がけ崩れを回避したように。


『そういう認識で良いと思うぞ。使い勝手は悪いが、知らないよりはマシという物だと思ってくれたらええんじゃが』


「あ、そういえば山賊の未来を見たのは、いつごろですか?」


 そして糸口が、ここで少しつかめた。


『あれは崖崩れの少し前じゃな。お前さんが街道へ行くのを遅らせたその日ぐらいじゃったか』


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