第91話
俺を乗せたアンバースタッグビートルは樹海エリアを抜けて雪原エリアの上空にあっという間に到着した。
寒さを感じて急いでコートを装備投影をする。
地上では先程から雪が舞い上がっている。気になった俺はアンバースタッグビートルの背から見下ろすと背中に刃が生えている肉食恐竜ティラノサウルスに似たモンスターと数十人のプレイヤーが戦っていた。
恐竜に似たモンスターの名前はエッジティラノ。観察すると攻撃パターンは近くにいるプレイヤーには鋭い牙の噛みつき、爪の引っ掻き、尻尾での薙ぎ払い。遠くにいるプレイヤーには背中にある刃を飛ばして攻撃を行っている。それに鱗が硬いのかプレイヤーの攻撃がほとんど効いてないようで体力は少ししか削れていない。
そのせいでプレイヤーの数は一方的に減っていってる。
アンバースタッグビートルに共闘を持ち掛けたけど、もうすぐで四時間が経過するし、モンスターが増えて一気にプレイヤーの数が減るだろうから、このままアンバースタッグビートルの背に乗っててもいい気がするな……
「ゴオォォォンン!」
突然、アンバースタッグビートルが雄叫びを上げると急降下をしだす。俺は落ちないように全力でしがみついた。
アンバースタッグビートルは一気に近づき、大きな顎でエッジティラノを挟み、上空に連れ去っていく。
エッジティラノとの体格差は少しあるけども、それを難無く持ちあげれるだけのパワーがある事に俺は内心驚いた。
暴れるエッジティラノを上空まで持っていくとアンバースタッグビートルは大きな顎を緩め、エッジティラノを落とした。
そこに追撃を入れようと、アンバースタッグビートルは凄い速さで降下し、大きな顎を開くと淡い橙色の光を放つ。
エッジティラノは、迫り来るアンバースタッグビートルに抵抗しようと背中の刃を飛ばしてくる。
その攻撃を回避をしていると大きな顎から光が消え、アンバースタッグビートルの速度が落ちるも追いかける。
「ビーッ!?」
【共鳴】を解除したシロガネが風圧で飛ばされそうになり、俺は咄嗟にシロガネの足を掴んで引き寄せる。
「シロガネ、平気か?」
「ビー……」
「危ないから戻すぞ」
『ハルナ待って!』
シロガネを戻そうとしたらコガネが制止にはいる。
『シロガネに少しだけ時間を頂戴ハルナ』
俺はシロガネを見てから頷いた。
シロガネは俺の装備を掴みながら降りて行き、アンバースタッグビートルに触れると語り掛けた。
「ビー!」
「……」
「ビー! ビー!」
アンバースタッグビートルはゆっくり頭を縦に振った。
「ビー!」
『わかった。ハルナ、シロガネを戻してあげて』
「……わかった。戻れシロガネ」
シロガネは右手ある紋章に戻っていく。
『ハルナ、アンバースタッグビートルからあいつの動きを封じてくれって。封じてくれれば倒せるって』
「封じる……」
動きを封じるにはコガネとの共鳴技が最適だけど、今は右手だけ特殊な革手袋に変わっているから一旦解除しないと駄目だな。
「コガネ、一旦解除してから、もう一度【共鳴】を使ってくれ」
『わかった』
武器から離れたコガネはまた体を光の粒子に変え武器に吸い込まれて特殊な革手袋に変わる。そして、俺はアンバースタッグビートルの背から飛び降りた。
飛んでくる刃をギリギリで躱し距離を詰め叫んだ。
「【共鳴技・スパイダースネットスパーク】!!」
電気を帯びたワイヤーを全て展開してエッジティラノを絡め取る。
「今だ!!」
アンバースタッグビートルに合図を送ると、大きな顎を光らせ猛スピードでエッジティラノに突撃して、大きな顎で両断した。
俺と白目をむいているエッジティラノは一緒に落下していく。
すると、横からアンバースタッグビートルが飛んできて、器用に顎を使い助けてくた。
「助かった……紐なしバンジーは二度とやらねー」
『ハルナにしては頑張ったね!』
「にしてはって……褒めてねーだろうそれ」
『僕なりの褒め言葉だよ!』
「……そうかよ」
その後、アンバースタッグビートルはゆっくりと地面に降りてくれた。
大分遅くなってしまいすみませんでした。
明日はいつも通りの時間に更新する予定です。




