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第431話

「お前たち……この惨状を見て言うことはあるよな……?」


「「すみませんでした!」」


 静かにキレている総団長さんに俺と颯音は地面に頭を擦り付けて土下座をした。


「これではしばらく訓練所が使えないだろうが! どうしてくれるんだ!」


「「本当にすみませんでした!」」


 俺と颯音はひたすらに謝り続けた。

 総団長さんは深いため息を吐いた。


「お前たち二人には修理費の支払いと再建の手伝いをしてもらうからな!」


「「はい……」」


 総団長さんは怒りながらどこかに去ってしまった。


「ハルナさん、ハヤトさん。流石にやり過ぎです。事によっては重罪に当てはまる場合がありますよ」


「え、そんなにやばいの!?」


「総団長様が優しい方で良かったですね」


 カスティさんは冷たい視線を向けてくる。


「そ、そう言えばカスティさん。総団長さんと話は終わったんですか?」


「王都に組合所の設置の許可を頂きました。その代わりにサイゲルの街の再建設に協力を手配することになりました。街に戻ってから組合所で依頼を出しますので、ご興味ありましたら参加してくださいね。まぁ、ハルナさんとハヤトさんはここの再建を手伝った方がよろしいかなと思いますが」


「「はい、頑張ります……」」


「ここでの仕事は終わったので、送って頂けますか? ハルナさん」


「わかりました。共鳴の使用制限が終わったみたいだから今度は空からにしますか」


「……酔いますか?」


「アオガネよりかは酔わないと思うけど、速度は共鳴の方が速いかな」


「お手柔らかにお願いします……」


「颯音、カスティさんを連れて一旦街に戻るわ。ついでに、オピオさんの所に寄るかも」


「わかった。その後に王都に戻ってくるのか?」


「うーん、時間的に無理かも。用事を済ましたらログアウトするわ」


「了解。みんなに伝えておくよ」


「頼んだ。そんじゃ、カスティさん行きますか」


 俺はクモガネとアカガネを呼び出し、共鳴することで白と赤の翅を展開した。

 カスティさんを背負いゆっくり上昇してから、王都を後にした。

 そこまで時間を掛けずに海原エリアの街に到着。上層の広場に着地した。

 カスティさんは少しだけ顔色が悪そうに見えた。


「カスティさん、大丈夫?」


「ええ……海よりはまだマシです……いつもあのスピードで移動しているのでしょうか?」


「ちょっとは速度を落としているけど、大体あんぐらいのスピードかな」


「そうですか。ハルナさん、下層への通路まででよろしいので背負ってもらってもいいでしょうか」


「具合悪そうですもんね。いいですよ」


 カスティさんを再び背負い、中層に降りる通路を進んだ。

 何気ない会話をしていたらいつの間にか、下層に降りる通路の前に到着した。


「大分、回復したのでそろそろ降ろして頂いても?」


「あ、うん。もう大丈夫なんですか?」


「はい、おかげさまで。本日は付き添って頂きありがとうございました。良い夜を」


「カスティさんもお疲れ様でした。気を付けて」


 下層に向かうカスティさんの後ろ姿が見えなくなるまで見送った。

 少しだけ静かな道を進み、オピオさんの店に向かう。


「お、お店の明かりが点いている」


 駆け足でお店に近づくと、中から着物姿のオピオさんが現れ。色々と片付けし始めた。


「オピオさん、こんばんわ」


「ん? お、ハルナではないか。どうかしたのかのう?」


「オピオさんと話そうと思って。片付け手伝いますよ」


「それは助かるのう」


 オピオさんの片付けを手伝い、空を飛びながら話すことになった。


「それで、話とはなんじゃ? 内容によっては話せないことはあるからのう」


「過去で出会ったことも?」


「ギリギリじゃの……答えれる範囲でハルナたちが過去の世界に行って出会ったドラゴンは儂が若かりし頃の姿だ」


「それじゃオピオさんは、俺とは最初から面識があったってこと?」


 オピオさんは困った表情を浮かべた。


「……思い出した、が正しいかの。ハルナ、すまないがこれ以上は言えないのじゃ」


「思い出したか……なるほど」


 過去世界が閉じた後の緊急メンテでなんかあったぽいな。これ以上聞くとオピオさんを困らせちゃうな。


「他に聞きたいことはないかのう?」


「それじゃ、昔のオピオさんのこと聞かせてください……あ、その時はオピオマリスか」


「別に構わんが、前にも言ったがその名前で呼ばないでくれ」


「はーい。気を付けます」


「たく……何から話そうかの」


 空の散歩をしながら時間を忘れてオピオさんと色々な聞かせてもらった。 


「ハルナよ、時間は大丈夫かのう?」


「時間……? あ、やっべ! もう零時前じゃん! オピオさん、俺帰ります。またオピオさんの話を聞かせてくださいね! じゃあまた!」


 俺は急いでログアウトした。


「慌ただしい奴じゃのう……」






次の日、HRが終わり鞄に荷物を閉まっていると、前の席の颯音がスマホを片手にキラキラした目で振り返ってきた。


「春名、再来週に大型アップデートが来るんだってさ! 新エリアと新モンスターが追加だって! 楽しみだな!」


「へぇーそれは楽しみだな。新しい仲間を増やそうかな」


「二十体も居るのにまだいるのかよ!」


「今のメンバーで十分だけどさ、縁があったら仲間したいぐらいにしか思ってないさ」


「春名が言うとしれっと仲間が増えてそう。それも虫系。流石、インセクトテイマーだな」


「だから俺は盾士だって言ってるだろうが……」


「春名だけだよ、それ言ってるの。諦めて認めなよ」


「うっさい。帰るぞ」


「あ、待ってくれよ!」


 鞄を背負って颯音を置いて下駄箱に向かう。走って追いついた颯音と下校し、家に帰宅した。

 玄関のドアを開けると兄ちゃんの靴があった。


「兄ちゃん、今日帰り早いね」


「おかえり。仕事が一段落したからな。これからゲームか?」


「あ、うん。一旦夕飯までする予定」


「そうか。夕飯に遅れるなよ」


 部屋着に着替え、ヘッドギアを装着してゲームにログインした。

 コガネたちを呼び出して、俺は砂浜で大の字で横になり。夕焼け色の空を眺めた。


『ハルナ、なにしてんの?』


「空を眺めているだけさ。コガネは?」


『異常がないか見回っていただけ』


「そんなことしてたんだ。初めて知った」


『一応、僕がリーダーだからね』


 器用に足を使って胸を張るコガネ。その姿が可愛くて笑いそうになりぐっと我慢した。


「コガネ、出会った時のこと覚えているか? コガネとゴブリンが戦っている所を偶然出くわして、見てたらコガネが頭の上に乗っかってきて巻き込まれたの」


『あーそんなこともあった気がする』


「あんな小さかったコガネが今ではこんなに頼もしくなって……これからも頼りにしてるぜ、コガネ」


『僕は強いから任せて!』


「おう」


 コガネたちが居ればどんな強敵にも勝てる気がする。そのためにも俺も強くなって、コガネたちも強くしなきゃだな。打倒、ネプチューンだ!

 まぁ、暫くは壊れしてしまった訓練所の再建の手伝いをしないとだけどな。さっさと終わらせて、皆と冒険しに行きたいし頑張ろ。



~おわり~


最後まで読んで頂きありがとうございました。

連載して約五年?になりますが、無事に完結することができました。こんなに続くとも思っていなかったですし、なんなら過去編に行く前ぐらいで完結しようかなって思っていました。ブクマや感想、誤字脱字の報告なども励みになりましたし、本当に助かりました。ここまで続けられたのも、皆様のおかげだと思っております。感謝感激です。

改めまして最後までお付き合い頂きありがとうございました!

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お疲れ様でした。
完結お疲れ様でした おもしろかったです
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