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第425話

『ハルナ! 無事か!』


 上空にいるオピオさんが聞いてくる。


「オピオさーん! 俺たちは無事です! 神タイミングです!」


『そうか! ……あの頃よりも禍々しいオーラを放ちよって』


 温厚なオピオさんが怒っている気がする。


『ソノ姿……オピオマリスカ。我ニ敗北シタ弱者ガ』


『あの頃と状況が違うぞネプチューンよ』


『矮小ナ存在ノ者ト共闘デモスル気カ? 落チタモノダナ。フン。雑魚ガ、イクラ集マロウガ、雑魚ハ雑魚ダ!』


 ネプチューンの槍から放たれた稲妻を、オピオさんの大きな翼を羽ばたかせ打ち消し、急上昇してブレスを放った。

 だが、ネプチューンは片手でブレスを受け止めてしまった。


『コノ程度カ? 弱イ弱スギル!』


 ネプチューンは槍を投擲。オピオさんは攻撃を避けるも、追尾性能があるようで執拗に槍が追いかける。

 槍を受け止めようとしたが、オピオさんは吹き飛んでしまった。


「コガネ、オピオさんを受け止めるぞ」


『あの巨体を受け止めるなら丈夫な糸にしないと』


 先回りした俺は、コガネが変形した特殊な革手袋から太くて丈夫な糸を張り巡らせて、オピオさんの巨体を受け止めた。


「オピオさん、大丈夫ですか!」


『ああ。これぐらい何ともない。それよりも、ここは危険だ。仲間と共に避難を』


「俺も戦います。まぁ、俺ぐらいしかもう戦えないですけど」


 颯音と海都はオピオさんが戦っている間に避難させ、この場には俺しか残っていない。


『……お主には情けない姿しか見せてないの』


「かっこいい姿も見てますし、プラマイゼロかな?」


『そうか』


「オピオさん。あいつを倒すのは可能?」


 オピオさんは首を横に振った。


『無理だ。神殿にあるあいつのコアを壊さない限り不死身だ。ハルナ、時間を稼げるかの?』


「どれくらい稼げばいい?」


『十分だ。行けるか?』


「了解。任せてくれ、オピオさん」


 オピオさんは大きな翼を羽ばたかせ、一気に上昇し、上空を旋回を始めた。

 さて。十分も稼げるか、正直不安だけど全力でやるだけだ。

 ネプチューン近くにいる黒蝶に飛び、勢いを付けたかかと落としを食らわせる。


『コノ程度カ?』


 体勢を変え、顎下に蹴りを当てて距離を取る。


「アオガネ、行くぞ!」


『う、うん……!』


「【共鳴技・ハイドロカノン】!」


 一気に距離を詰めて、アオガネの共鳴技をぶつける。


「マジかよ……」


 腹に一撃を与えたがネプチューンの体力は全然減らなかった。

 ネプチューンに足を掴まれ、放り投げられてしまい、数体の黒蝶を使って体勢を整え着地をした。


『鬱陶シイ虫ダ』


 ネプチューンから放たれた稲妻が黒蝶を次々と消していく。


「ニア、黒蝶は出せるか?」


『出せるけど、直ぐに消されちゃう……』


「移動手段が制限されたか。なら、共鳴技を使うぞ。ニア」


『うん!』


 消されるより早く黒蝶をどんどんと生み出し、黒蝶が集まり出すと巨大な槍の姿に纏まっていく。


「【共鳴技・グングニル】!」


 黒槍は真っ直ぐとネプチューンに向かって飛翔していく。

 ネプチューンは腕を大きく振り払い黒槍の軌道をずらした。

 アオガネとニアの共鳴技を簡単に防がれてしまったな。

 あと使えるのはコガネとシロガネの二つ。シロガネの共鳴技はこの場面では使えないから、実施コガネのみか。


『小賢シイ事ヲ考エテイルヨウダナ』


 ネプチューンに釣られて上を見上げると、旋回しているオピオさんの通った後に線が現れ、巨大な魔法陣ようなものが描かれていた。

 今、オピオさんの邪魔をされては不味い。ネプチューンの視線を向けるにはコガネの共鳴技を使うしかない。


「コガネ。全員を選択する」


『わかった。ちゃんと使いこなしてよ?』


 コガネは四角いキューブに姿を変え、球体と一体化している他のメンバーをスキャンし始める。


『全員分スキャン終わったよ』


「おう。【共鳴技・ボンド・アンリーシュト】」


 コガネから激しい光が放たれ、俺の周りに二十個の武器が現れた。


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