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第422話

「皆! クラーケンの様子が変わった! 警戒を!」


 残りの体力が半分になったクラーケンの体から赤黒いモヤが溢れ出して、黒い色だった体色が段々と赤と紫が混ざった色に変わっていく。


「ゴオオオオオオオ!」


 雄叫びを上げたクラーケンは八本の触手を海に入れると、街の地面から触手が現れた。

 出現した触手の根本部分に巨大な瞳が開き、赤く光だした。


『春名。クラーケンの頭上に変な模様が出てるぞ』 


 黒蝶から伝わってくる海都の言葉に視線を向けると、時計の文字盤のようにひし形が配列されていた模様だった。

 一個の小さいひし形が少しずつ赤色に染まってる。時計のような文字盤……まさか!


「あの模様が全て赤色になる前に触手を壊すぞ!」


「なんか、わかったの?」


「間違っていなければ時間以内にあの触手を壊さないと被害が大きくなる……!」


『本体を攻撃をして中断させれないのか?』


「分からない。だから、二手に分ける。俺と颯音、ルーシャさんで触手を破壊。海都とモレルさんは遠距離攻撃で中断出来るかやってみて。無理と判断したら触手破壊に移行で」


『『了解』』


「ルーシャさんは右側を。颯音は左側を頼む。俺は奥の奴からやる」


「「了解!」」


 俺と颯音、ルーシャさんは散開して、街の中心から一番離れている触手の前に到着。


「クロガネ、行くぞ」


『……わかった』


 クロガネと共鳴をして右腕に巨大なドリルが装着され、高速回転し出す。


「狙うはあのデカい目玉!」


 ドリルの先端が触れる瞬間見えない壁に遮られた。


「クロガネ! あの壁を貫くぞ!」


『早く終わらせてよね!』


「【共鳴技・ブレイカードリルアサルト】!」


 更に回転が早まり、物凄い音を立てながら壁とぶつかり激しく火花が散る。


「ぶっ壊れろおおおお!」


 壁に亀裂が入り、ガラスのように砕け、ドリルは真っ直ぐデカい目玉に届き、断末魔が響いた。


「よし、これで一本目だな!」


『ハ、ハルナ……模様が……!』


 ヒガネに言われ、視線を向けると、模様が一気に何個か赤色に染まった。


「はあ!? 壊すと時間が進むのかよ! 」


『あ、また一気に染まった……』


「颯音とルーシャさんが一本ずつ壊したみたいだな……皆、触手の破壊は一旦待ってくれ。話し合いたいから皆を集めるぞ」


 黒蝶越しに伝え、バラバラになっているメンバーを近くに転移させた。


「時間が無いから手短に伝える。触手を壊すと制限時間が進むクソ仕様みたい」


「あ、やっぱり? 壊したら進んで、そのタイミングで春名から連絡が来たからそうかなって」


「もう半分近く赤く染まってるみたい。対策、ありそう?」


「残りの触手は五本。一本ずつ壊すと一気に制限時間が来てしまうから、同時に壊すしかないかも」


「同時にって……意外と硬いのにタイミング合わせて壊すとか難しいって!」


「ハルナ君ハルナ君。私に……というよりかは私とルーシャに任せてほしい!」


 自信満々なサムズアップをするモレルさんと、何か思い出したかような表情をするルーシャさん。


「あれだったらワンチャン……?」


「可能性はあるよね!」


「あれって何です?」


「あれはあれだよ。私とルーシャの共鳴技に決めってんじゃん!」


「いや、わかんないですって。てか、共鳴技を習得したんですね」


「まあね! 私たちの共鳴技は広範囲で威力も十分あるよ!」


「使ったあと、反動で動けなくなる。その後のサポート任せていい?」


 二人が抜けるのはかなり厳しいがどうにかするしかないか。


「サポートは任せて、全力でぶっぱなして」


 二人は頷き、モレルさんが空に向けて大砲を構えるとどんどんと大きくなり、大きくなった大砲の中にルーシャさんが入り、光を纏いながら打ち上がった。

 空中に打ち上がったルーシャさんは剣を構えて、舞うように回り出した。すると、ルーシャさんの周りに眩しい輝きを放つ巨大な剣が十二本作られた。


「「【共鳴技・煌天十二剣】」」


 掲げている剣を振り下ろすと、連動して巨大な剣が飛翔していく。均等に配置された剣は同時に五本の触手を貫いた。

 落ちていくルーシャさんを空中で受け止めた。  


「ルーシャさん、大丈夫ですか!」


「しんどいけど大丈夫。模様は……?」


 視線を向けると模様は砕けて消え、クラーケンは立ち上がりだした。

 破壊した触手から赤い光が放たれ、クラーケンに集めっていき、光はどんどんと球体に凝縮されて小さくなっていく。


「……間に合わなかった……?」


「いや。全部の模様が赤色に染まっていないから間に合っていると思うけど……被害を抑えます。モレルさんとルーシャさんは草原の方に転移させます」


「……わかった。気を付けて」


 俺はモレルさんとルーシャさんを転移させてクラーケンを見据えた。


「春名、俺たちはどうすればいい?」


「俺があいつ攻撃を受け止める。その後の反撃を二人に任せる。ヘイムンダ。共鳴だ」


『気合を入れるわよ小虫ちゃん』


 ヘイムンダと共鳴をしたことで盾の模様がテントウムシのようになった。


「【共鳴技・晴天の領域【虹】】」


 盾から虹色の光が溢れ、街全体を覆いつくした。

 ヘイムンダとの共鳴技の中で一番防御力がある技だ。

 絶対に耐え抜いて見せる。


 凝縮された球体を飲み込んだクラーケンは体が膨張し、禍々しい口から一気に吐き出され、赤い光が街を飲み込まれた。


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