第421話
迫りくる触手の猛攻を大太刀で受け流しながら傷をつけていくも直ぐに回復されてしまう。
触手自体はそんなに硬くないのはありがたいが、再生スキルが面倒くさいな。
「おっと！ ナイス海都！」
避け切れない攻撃を海都が放った矢が触手を吹き飛ばした。
だけど、触手は直ぐに元の姿になった。
「春名！ 本体を殴んない！？ 触手が面倒くさい！」
「言われなくてもわかってる！」
俺も触手を無視して本体を攻撃したいけど、触手が邪魔過ぎる！
『ハルナ君、一発目撃つよ！』
遠くでチャージしていたモレルさんから合図が来ると、極太の光線がクラーケンに放たれた。
「はぁ？ マジかよ……！」
光線は謎のバリアが現れて、受け流されクラーケンは無傷で終わってしまった。
遠距離攻撃を防ぐスキルまであるのかよ。
『ハルナ……呼吸を整えて。共鳴技を使う』
普段無口なハガネが共鳴技を使うと言ってくる。
「もう？ まだ温存しておきたいんだけどっ！」
『温存してても勝てない。僕たちを信じられない？』
「……俺がお前たちを信じてない時があるか？ ハガネも合わせろよ」
大太刀を大きく振り回して攻撃を弾き、刀身を鞘に収め、柄に手を置き、呼吸を整えてから構えた。
「ハルナの邪魔は、させない……！」
ルーシャさんが間に入り、触手の攻撃を対処してくれた。
「……【共鳴技・神速一閃【顎】】」
光の速さで大太刀を抜き、通りすがりに触手を粉々に切り裂き、一気に上空まで飛び、大太刀を振り下ろした。
モレルさんの攻撃を防いだバリアで俺の共鳴技を防ごうとしたが、バリアは両断されて初めてクラーケンにダメージが通った。
「ゴオオオオオオオ！」
怒り狂ったクラーケンは無茶苦茶に触手を振り回した。
「春名！ スイッチ！」
ニアのスキル【黒蝶の誘い】で俺と颯音の位置を入れ替えて、顔面に一発ぶん殴った。
そこに海都とモレルさんの追撃が加わり、クラーケンは大きく仰け反った。
今ので二割削れたのは大きいけど、あいつは再生スキル持ち。ここで畳み掛けきゃ。
「ハガネ、サンキューな」
『頑張って』
共鳴技を使ったことでハガネとの共鳴は解かれ、黒球と一体化した姿に戻っていく。
体勢を戻したクラーケンは怒りの眼差しで睨んでくる。すると、体から大量のモンスターが湧き出した。
見た目は小さなクラーケンだが、ちらほらと羽根が生えてい個体がいる。あいつらも再生スキル持ちだったら相当苦戦になるな。
「ウシャスラ。力を貸してくれ」
『我にお任せを』
ウシャスラと共鳴をして大鎌を両手で持ち、構えた。
「【共鳴技・連鎖する刃】！」
放たれた黒い斬撃は一体の小型クラーケンに直撃すると、別の個体に斬撃が飛び、どんどんと広がっていく。
これで小型クラーケンに永続的に継続ダメージが入ったな。
小型クラーケンも再生スキルを持っているようだが、ウシャスラの共鳴技の継続ダメージで相殺されているようだ。
動きがかなり鈍くなった。これなら倒しやすい。
「アカガネ。クロガネ。やってくれ」
『久しぶりにやるねクロガネ！』
『はあ……疲れるんだけど……』
アカガネとの共鳴を解いて白い翅を展開。アカガネとクロガネが一体化しら黒球が螺旋しながら舞い上がり、二つは重なり上空に大量の魔法陣が展開され、そこから小さなドリルが現れた。
『『共鳴技』』
『スターダストブレイカー！』『スターダストブレイカー……』
魔法陣から一斉に発射されたドリルは小型クラーケンを次々に貫いていく。
アカガネとクロガネのテンションの差はあるけども、共鳴技のおかげで大分減ったな。
『ハルナ君、二発目撃てるよ！』
黒蝶からモレルさんの声が聞こえてくる。
クラーケンに遠距離攻撃を食らわせるには隙を作らないと。
「俺が隙を作るんで、合図を送ったら撃ってください」
『わかった』
「よし、隙を作るか。ビートル隊、行くぞ」
『『『主と共に！』』』
両手で戦槌を持ち、腰回りに六機の小型甲虫が装着された。
「ゴオオオオオオオ！」
クラーケンは禍々しい口を開き、赤黒いエネルギーを溜め始め、街に向かって放ちやがった。
「街は壊させない！ 【共鳴技・フルオールカウンター】！」
六機を起動させ、すべてが線で繋がれて六角形の形で展開。
クラーケンが放った光線を吸収して、威力を倍にして跳ね返してやった。
今の攻撃のおかげで大きく体力を削ったな。
俺はクラーケンの近くを漂っている黒蝶に転移した。
「ついでに、食らっていけ。【共鳴技・ネオグラビティインパクト】！」
隙だらけの頭部の共鳴技をぶち込み、クラーケンは片膝をつく。
「全員総攻撃！」
俺の合図と共に颯音とルーシャさん、海都とモレルさんの高火力の攻撃を受けてようやくクラーケンの体力を残り半分まで削ることに成功した。
