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第417話

大変遅ればせながら明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

 慌ただしくしている衛兵にバレないようにコガネを連れてどうにか外に出ることが出来た。

 空を見上げると、雲一つない夜空が分厚い雲で広範囲で覆われていて、遠くではゴロゴロと雷が鳴っていた。


「なんかやばそうな雰囲気だな」


『ハルナ、ヒガネを呼んで状況を確認したら?』


「そうだな。情報が無いと動きようもないしな」


 俺はヒガネを呼び出し、共鳴してゴーグルを装着していると、前方から総隊長さんがやってきて目が合ってしまった。


「お前……どうやって……いや、今は君に構ってられない。現在の状況を伝えてくれ」


「現在、サイゲルにモンスターが押し寄せ、騎士団総出で住人の避難とモンスターの対処に当たっております。住人と騎士を合わせて負傷者は多数出ております」


「街の結界はどうなっておる?」


「防衛機能は停止しており魔術師たちにより早急に修復を行っているのですが、原因は不明で時間が掛かるとのこです」


「そうか。最低限の騎士を残し、我々も向かうぞ。そして、そこで話しを聞いているお前は、今すぐに部屋に戻らなければ、この国への立ち入り禁止にするぞ」


「それは困っちゃうな……総団長さん、取引しませんか?」


「取引だと?」


 怪訝な表情をする総団長さんに話を続けた。


「人手不足なんでしょ? 手伝うよ。その代わりに成果しだいでは屋敷の侵入を見逃してほしい」


「……腕に自信はあるんだろうな」


「勿論! 仲間と一緒に別のエリアでボスモンスターを倒してる」


「別のエリア? まさか……人族か?」


 俺はケモ耳のカチューシャを外して正体を明かした。


「なるほど。人族は我らと違って特別な力を持っていると聞く。良かろう。成果次第では不問にしよう」


「よっしゃ! 取引成立! サイゲルに向かうんだよな? ニア」


 俺は総団長さんの前でニアを呼び出した。


「モンスターを呼び出した、だと……?」


「こいつは俺の仲間のニア。総団長さん、さっき言ってたサイゲルに向かう騎士の数は?」


「私を含めて百人だ」


「百人か……先行で連れて行けるのは総団長さんを含めて十人。他の騎士は少し遅くなるがまとめて運ぶことは可能だけど」


「そうか。直ぐに取り掛かれるか?」


「勿論。あ、そうだ。俺と一緒にいた仲間を呼んでも?」


「戦力が増えるなら構わないさ」


「了解」


 総団長さんが準備をしている間に颯音たちにメッセージを飛ばし、少ししたら海都、兄ちゃんの三人が転移してくる。


「あれ、颯音は?」


「颯音ならルラーシャを連れて向かってる」


「ルラーシャを連れて行く気か?」


「本人の意思が固くて説得が出来なかったんだ……宿屋で待機するよりも俺たちの近くにいた方が最も安全だろう?」


「確かに」


 少し遅れてヒスイに乗った颯音とルラーシャがやってくる。ヒスイから降りたルラーシャが俺の所にやってくる。


「ハルナ、私も一緒に戦いたい!」


「ルラーシャの歌のバフは心強いけど、無茶はするなよ?」


「うん!」


「待たせたな」


 準備を済ませた総団長さんの後ろにはずらりと騎士たちが整列していた。


「私の後ろにいる九人が先行組だ」


「了解。ニア、共鳴だ」


『わーい!』


 ニアと共鳴をして右腕に蝶のブレスレットが装着し、起動することで黒い蝶を大量に召喚した。

 蝶たちを操り十人の背中に黒い蝶の翅を展開した。


「このバフがある間は飛行可能状態になって移動速度も上がるんだ。騎士の皆さんなら直ぐに使いこなせると……って、慣れるの早っ!」


 説明をしている間に総団長さんたちは翅を広げて宙を舞っていた。


「動かし方はわかった。他の騎士たちはどうするんだ?」


「まあ見てて。シロガネ」


 ニアの次に俺はシロガネを呼び出した。


「シロガネ、【空艇蜂兵】でこの人たちを運んでくれ」


『戦争しにでも行くの?』


「人助けだよ」


『まぁいいわ。来なさい!』


 シロガネは手を掲げると上空に【空艇蜂兵】が召喚され、地面に魔法陣が現れ騎士たちは一瞬で移動した。


「シロガネ、先に向かうから操縦は任せた」


『これが終わったら色々頼むからね!』


 そう言ってシロガネは【空艇蜂兵】に移動し、動き始めた。


「お前は――」


「総団長さん。準備が出来たし行きますよー」


「あ、ああ……」


 ヒスイに颯音とルラーシャ、ギンに海都と兄ちゃんが乗り、俺は白と赤の翅を展開してサイゲルに向かった。



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新年あけましておめでとうございます。 今年もよろしくお願いします。
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