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第415話

 皆の視線が集まり、ルラーシャは少し照れながらも本を渡してくれた。


「……あとで読むから早く読んでよね」


 そう言ってルラーシャは部屋に戻って行った。


「この著者はウィルフォード……俺が咄嗟に思いついたウィルの偽名だ」


「そんな名前だったな。で、どこで見つけたんだ?」


「きっかけはルラーシャを海原の街に連れて行くためにアオガネを呼んだんだけど、アオガネ曰く変な流れがあるって海を猛スピードで進んで行ったんだ。しばらく追いかけていたら獣人の街を見つけて。探索してたら別人のウィルの銅像があって、当時の屋敷があるって聞いて見に行ったんだ。そしたら、ウィルの屋敷だったんだ。この本は隠し部屋で見つかた物なんだ」


「ウィルの屋敷って悪魔の島にあった屋敷だろう? 悪魔の島は崩壊したよな?」


「ああ。だけど、俺たちは過去に行って歴史を変え、その影響で崩壊する未来が変わった。この前の緊急メンテは、それが関わっている気がするんだ」


「なるほど……てか、二人だけで探索はずるい! 俺たちも呼べよ!」


「ごめんごめん。今日はもうそんな時間ないから明日はトワイライト王国に行こうと思う」


「「トワイライト王国!?」」


 皆の驚いた声が重なった。


「初めて聞く王国だな……」 


「組合所で聞き込みした時にも出なかった名前だ」


「ということは春名さんとルラーシャが最初の発見ってですわね。春名さん、この情報は直ぐに広めますの?」


 雫恩の質問に俺は首を横に振った。


「どうせ他のプレイヤーに見つかるだろうし、今は俺たちだけでウィルが見守った王国を見て回ろうと思ってるからしばらくは伏せておく。皆もそれでいいかな?」


「私たちの独占ってことね。わかったわ!」


「よし、今日これで解散。明日は今日と同じ時間ぐらい集合で?」


「うーん、私とルーシャはちょっと仕事で帰りが遅くなると思う。先に行ってて。後から転移で追いかける」


「分かりました。三人は大丈夫そ?」


「俺は行けるよ」


「俺も時間通りに行ける」


「私は習い事があるから少し遅れますわ」


「了解」


 皆がログアウトしてから本をルラーシャに返すために部屋に向かった。


「ルラーシャ、起きてるか?」


 ドアをノックするとゆっくりと開きルラーシャが出てきた。


「読み終わったの?」


「まだ読んでないけど、先に読んじゃって」


「うん」


 ルラーシャに俺は本を渡した。


「明日も王国に行くけど、付いてくるか?」


「うん、行きたい!」


「わかった。じゃあまた明日な」


 ルラーシャに別れを告げてログアウトした。


 次の日。いつも通り学校が終わり、兄ちゃんと夕飯を食べていると聞いてくる。


「今日もゲームをするんだろ?」


「うん。そうだけど……」


「久しぶりゲームをやろうかって思って、暇ならレベル上げ手伝ってくんない?」


「今日は新しい場所を探索したくて、他のメンバーと約束をしてるんだ。ごめん、兄ちゃん……」


「あ、そうか……その場所って俺でも行ける?」


「え。あ、うん。兄ちゃんも行けるよ」


「それなら予定を変更して春名たちに付いていくかな」


「わかった!」


 空の食器を流しに置いてから自室に戻るログインした。

 拠点では砂浜でルラーシャがヒスイとギンと遊び、颯音は家の壁に寄りかかりコクヨウと戯れていた。海都は寝ているリュウテイに寄りかかり、海で泳いでいるリュウオウを見ていた。

  俺の少し後に兄ちゃんもログインをして、颯音が駆け寄ってくる。


「冬真兄だ! 冬真兄も一緒に行くの?」


「お邪魔するよ。他のメンバーは?」


「雫恩は習い事が終わったらで、ルーシャさんとモレルさんは仕事が終わったら合流になっているよ。そんじゃ行くか。颯音、海都と兄ちゃんを頼む」


「はいよ」


「俺はリュウオウに乗っていくから平気だ。リュウテイ、一旦戻すぞ」


 リュウテイは尻尾を振って返事をした。


「そう? じゃあ冬真兄は俺と一緒にヒスイに乗ろう」


「わかった」


 颯音はギンとコクヨウを戻し、兄ちゃん背中に乗せ、颯音も跨った。


「ルラーシャもしっかり掴んでろよ」


「うん!」


 ルラーシャを背負い、クモガネとアカガネを呼び出し白と赤の翅を展開して飛び立ち、王国に向かった。





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