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第41話

 

「はぁ~……疲れた……」


 両手が光りだし光の玉が武器から離れるとシロガネが現れる。


「ビー」


 シロガネは俺の腹の上に着地する。


「お疲れシロガネ。お前いつのまに【共鳴】のスキル覚えたんだよ」


 片手でシロガネのスキルを見ながら俺は尋ねた。


「シュ」


「ビー!」


 コガネも腹の上に乗っかってシロガネと盛り上がっている。無視ですか……まぁレベル上がって覚えたんだろうけどこれで共鳴技二つ目か。シロガネに認められたと思うと普通に嬉しい。


「うぐっ……腹の上で飛ぶなコガネ」


 俺は体を起こしてコガネとシロガネを退かす。


「ん?」


 複数の足音がこちらに向かってくる音がする。颯音とベオルさんが追いついてきたのかな?

 段々とこちらに近づいてくる足音が多いのと知らない人たちの話声が聞こえ俺は装備の効果で気配を遮断して一目散にその場から離れた。

 この状態を説明するのは面倒くさいからな。

 大分離れ足を止めると颯音からメッセージが届く。


『春名、今どこいるんだよ。樹海の中から青空が見えるんだけど、これお前の仕業か?』


「あーそれは俺だな」


 俺はマップを開いて現在地を確かめる。


「今いるのはそこから少し離れた所だな。そっちまだ人多いしょ?」


『そうだね』


「ならこのまま街に向かうよ。そっちで合流しよ。ベオルさんに伝えておいて」


『了解。それじゃあとで』


 颯音との対話を終わらせ樹海の中をゆっくり歩いて街に向かった。






 街の外門が見え、その近くで待っている颯音とベオルさんを見つけた俺は駆け出した。


「あ、やっときた! 遅いぞ春名!」


「わりぃわりぃ。お待たせしましたベオルさん」


「無事ならそれでいい。それで、大きい鳥は倒せたのか?」


「はい。あの鳥の正体はサイレントイーグルでした」


「サイレントイーグルだと?」


 ベオルさんが考え込む。


「どうかしたんですか?」


「ん? ああ、サイレントイーグルがどうして出現したかを考えていたんだ。多分だが……俺たちひたすらサイレントバードを倒していただろ?」


「そうですね」


「同じモンスターを倒し続けると稀に上位モンスターが出現するんだ。それのせいでサイレントイーグルが出現したと思うんだ」


「へーそんな仕様が。颯音知ってた?」


「初めて知った。そうなるとなるべく同じモンスターは倒さない方がいいのか? でも、上位モンスターが出るならそいつを倒せばいい素材が手に入るし……うーん、どっちがいいんだ?」


「勝てそうなら倒す。無理なら逃げる。で、いいと思うぞ」


「それが良いと思いますよね。あ、ベオルさん一つ質問! 逃げた場合そのモンスターどうなるんですか?」


「消えることはなく倒されるまでずっと出現しているぞ」


「そうなんですね」


 俺と颯音とベオルさんは喋りながら門を潜り街に入る。


「俺はそろそろログアウトするけど二人はどうするんだ?」


「俺はもう限界なんで落ちます」


「同じく」


「そうか。それじゃまた機会あったらパーティーを組もう」


「はい。今度はグレンさんたちも一緒に」


「ベオルさん。今日はありがとうございました」


「ふ、じゃあな」


 ベオルさんはログアウトして目の前から消えた。

 俺と颯音も続いてログアウトした。

 意識が戻った俺は体を起こしてヘッドギアを外した


「はよう。んー大分やったな」


「そうだな」


 外を見ると太陽は既に昇っていた。

 完全に徹夜したな。眠い……


「はぁ~……俺は寝るけど颯音はどうする?」


「んー俺も寝よう。起きたら帰るよ」


「了解。ちょっと兄ちゃんに言ってくるから先寝てて」


「はいよ」


 部屋を出てリビングに行くと兄ちゃんがコーヒーを飲みながらテレビを見ていた。


「おはよう兄ちゃん」


「ん。朝飯食べるなら作るけどいるか?」


「あー……ううん。このあと寝るから要らない」


「さては徹夜したな? 今日は休みだからいいけど、平日はするなよ」


「わかってる。あ、颯音が起きたら帰るって」


「そうか」


「じゃあ寝るね、おやすみ」


 兄ちゃんに手を振って部屋に戻る。

 戻ると既に颯音は寝息を立てて眠っていた。

 俺もベッドにダイブして瞼を閉じると直ぐに夢の世界に旅立った。




土日はお休み。次回の更新は8/31を予定しています。

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