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第400話

 しばらく森の中を歩いていると修復されている様子がある木製の家が並んでいる集落を見つけた。

 地面は抉れている所もあるし、焦げ跡もある。なんかあったのかな。


「モレルがいるの、ここ?」


「モレルさんがいるのはもう少し先のところです」


 俺たちは静かに集落の中を進み、人が集まっている所に向かう。


「女神様ーー!」


「女神様! 村をお救いください!」


 獣人たちがモレルさんを囲って懇願している様子だ。

 困惑して様子を見守っていると、モレルさんと目が合った。


「ハルナ君! みんなー!」


 モレルさんが俺たちに手を振ったことで一斉に獣人たちが俺たちに視線を向けてくる。


「な、化け物だ! 殺される!」


 獣人の一人が叫び、逃げ出すと周りの人たちも一斉に逃げ出した。

 俺たちはケモ耳のカチューシャを付けて獣人のフリをしているけど化け物って……


「あ、颯音。共鳴を解いてくれ。ここの住人たちが怯えている」


「はいよ。これでいいか」


「おう」


 颯音が共鳴を解くと住人たちが窓の隙間からこっちを見てた。すると、一人の老人が俺たちの前に杖をつきながらゆっくりと歩いてやってきた。


「私はこの村の代表を務めるソクテと申します、あなた方は神様の眷族でしょうか?」


「彼女は神様ではなく俺たちの仲間で只の人です。てか、何故彼女ことを神様と呼んでいるか尋ねても?」


「……天から降り注ぐ光の中から神様は現れたのです。神様は我らと同じ耳が無く、見たこと無い武器を携え、特別な存在と思い我らは神様とお呼びしているのです」


 それ、俺がモレルさんに空に向けてスキルを使ってくれて頼んだ時か。


「貴方様の言葉が本当なら……この村は終わってしまう……」


 村長のソクテさんは悲しい表情を浮かべていた。


「ハルナ君。さっき色んな人たちがさ、この村を救ってくださいとお願いされたんだ。時間がないのは知っているんだけど、この人たちのお願いを聞きたいの!」


 俺はメニュー画面の時間を確認。もうすぐで夜の十一時か。


「時間的にまだいけるけどみんなはまだいける?」


「全然平気!」


「同じく。雫恩はどうする?」


「一時までなら平気よ」


「私も問題ない」


「全員大丈夫そうだからやりますか、モレルさん」


「ありがとうみんな! ソクテさん、詳しい話を聞かせてください」


「ありがとうございます……」


 ソクテさんは静かに語ってくれた。


「少し前に赤色のドラゴンがこの村を襲って大事に食料を食べられたのです。この周辺では見かけないドラゴンで私たちでは太刀打ちできなく、大きい街のギルドに討伐依頼を出そうとしたのですが……ドラゴン討伐は依頼金が高く依頼が出せなかったのです……」


「なるほど……ドラゴンの討伐か。海都、簡単に済みそう?」


「リュウオウより下位の存在ならスキルでどうとでもなる」


「ちょっと見てみるか」


 俺はゴーグルを掛けて周囲を索敵をした。

 かなり離れた所に寝ている赤色のドラゴンを見つけた。


「見つけた。今は寝ているみたい。赤色のドラゴンの名前はフレイムドラゴンだって」


「フレイムドラゴンか……俺に任せてくれないか?」


「わかった。ドラゴンの討伐に行ってくるんで、場所を知っている俺と海都だけでいいかな。他はこの村で待機で」


 白と赤の翅を展開して海都を抱え上げてドラゴンの場所に向かった。


「春名、離してくれ」


「え、わかった……」


 空中で海都に言われて俺は手を放し、海都が落下していく。


「リュウオウ!」


 海都は空中でリュウオウを呼び出して物凄い音の地響きと砂煙を起こし地面に着地した。


「よう。お前がフレイムドラゴンか」


「グ、グルルルル……」


 フレイムドラゴンはリュウオウに怖気づいて少しずつ後退し出す。


「リュウオウ、やってくれ」


「グラアアアアアアアアアア!」


 リュウオウの咆哮が響き渡るとフレイムドラゴンは完全に萎縮してしまった。

 そんなフレイムドラゴンに海都は堂々と近づいていく。


「俺の声が聞こえているんだろう。ここはお前の縄張りにじゃないはずだ。何でここにいる?」


「グ、グラ……」


「なるほどな。春名、こいつの話だと気が付いたらここに居て、美味そうな匂いに誘われ村を襲ったらしい」


「海都はドラゴンの声がわかるんだったな。気が付いたらここにか……元の住処に帰れそうなの?」


「分からないんだとよ」


「村に危害が及ばなければいいんだけど……良い方法ない?」


「なぁ。お前さえ良ければ俺の仲間にならないか? 飯の心配はないし、リュウオウように強くなれぞ。どうだ?」


 フレイムドラゴンは海都とリュウオウの顔を交互に見てから頷いた。


「決まりだ。お前の名前はエンリュウだ」


 海都はフレイムドラゴンの額に手を翳し名前を呼ぶと、エンリュウと名付けられたフレイムドラゴンは光の粒子になり、海都に右手にある紋章に吸い込まれていった。


「仲間にしたんだな。てか、エンリュウってネーミングセンスよ」


「お前に言われたくない。ほら、村に帰るぞ」


 フレイムドラゴンのエンリュウをテイムして俺たちは急いで村に戻った。



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