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第382話

 拠点を出発してひたすら広大な海原を東に進んで行く。海上は海が見えない程の濃霧が掛かっていた。

 なにか嫌な感じがする。早くウィルを見つけて帰ろう。


「オピオさん、もう少し早く飛べますか!」


「出来るが離されるではないぞ!」


「勿論です!」


 そう言ったオピオさんはドラゴンの姿に変わり、更にスピードが速くなった。


「クモガネ、アカガネ。飛ばすぞ」


『『はーい』』


 四枚に纏めた翅を広げて大きな翅として展開。スピードを上げたオピオさんの後を付いて行く。

 長い時間、上空を飛び続けていると雲が途切れて、眼下には崩壊した街並みの風景が広がっていて、俺は足を止めた。


「ここは……」


「ここは遥か昔、繁栄していた国だった。あの夜、夜空に赤い月が現れ一夜にて崩壊したのだ。今は……最後の悪魔の島になってしもうたがな」


 人の姿に戻ったオピオさんが教えてくれた。


「ここが最後の悪魔の島……なんでウィルはここに……?」


「それは……儂にもわからぬ」


「そうですか……」


「さて、皆を呼ぶのだろ? 地上はモンスターが闊歩しておるから儂が降りて結界を張るとしよ」


 オピオさんは地上に降りて薄い光を放つ膜を周囲に広げた。


「結界を張ったぞ、ハルナ!」


 俺も地上に降りてから颯音たちにメッセージを送った。

 少しするとオピオさんが張った結界の中に颯音たちが転移してきた。


「すっげぇボロボロの街だな~……春名、ここは何処なんだ?」


「悪魔の島だって、しかも最後の」


「えええ!? ここ悪魔の島なの!?」


「今の話は本当なのか!」


「はい、間違いないです。軽く上空から確認しました。周囲に居るモンスターのレベルは不明で悪魔やアンデット、ゴースト系列のモンスターが殆どで上位モンスターのみでした」


「マジか……気を引き締めなきゃだな」


「ハルナ、一ついい? ここが最後の悪魔ならこの人数で足りる?」


 ルーシャさんが手を挙げて質問をしてくる。


「それは……」


「それ、俺も思いました。七個目の島もクラン『黒白』が主体になってかなりの人数を動員して攻略したそうだし、募集しない?」


「目的はウィルの探索だけど、この島を攻略しないとこのエリアに影響を及ぼすんだよなあ……」


 俺はフレンド一覧を確認。珍しく全員がログインしているな。このメンバーが揃えば行ける気がするけど……全然絡みのない人もいるけど迷惑ではないかな……まぁ送るだけ送ってみるか。


「ちょっと知り合いに聞いてみます」


「俺たちも聞いてみるわ」


 グレンさんたちが知り合いに連絡してくれている間に、俺もログインしているフレンド全員にメッセージを送った。直ぐに連絡が来て、続々と転移してくる。


「来てやったぞ。対戦の連絡かと思ったらまた悪魔の島の攻略かよ。次は対戦しろよな」


「わかってますよ。これが終わったら付き合いますよ、トオルさん」


「約束だからな?」


 クラン『黒白』のトオルさんとディオガさんの二人と、二十人ぐらいのクランメンバーを引き連れて来てくれた。


「お久しぶりです、ハルナさん」


「ランさん! リンさん! 来てくれてありがとうございます!」


「ふん、別に暇だったから来ただけ」


「もうお姉ちゃんたら! はぁ……ごめんなさい、ハルナさん」


「あはは……」


 出会った時と同じ反応をするリンさんに俺は苦笑いを浮かべた。


「久しぶりっすね! ハルなっち!」


「アレンさん! お久しぶりです!」


「アタイもいるよ!」


「痛っ! 背中を叩かないでくださいよフリッジさん……」


 重火器使いのアレンさんと挨拶を交わしているとカウボーイ姿のフリッジさんに背中を叩かれた。


「ハルナさん~島攻略のお誘いありがとうございます~。クルルンと共にサポートの方は任せてね~」


「よろしくお願いします」


「こちらこそ来てくれてありがとうございます。ユランさん、クルルンさん」


 のほほんと話し大杖を持ったユランさんと巫女服のクルルンさんも来てくれた。


「拙者たちも来たが、余計だったかな?」


「いえ、来てくれて心強いですギンさん。ブレスさん」


「そうか」


 忍者姿のギンさんと大杖をもった褐色の女性のブレスさんも。

 これで島攻略した時のメンバーが揃ったな。心強いな。

 十人と軽く会話を終えると全身鎧の人が転移してきた。


「カレンさん、来てくれたんですね」


「強敵と戦えると聞いて」


「相変わらずの戦闘狂ですね……頼りにしてます」


 久しぶりに会えたカレンさんと握手を交わした。


「助太刀に来たぜ! 少年!」


 槍を背負って雪だるまの被り物でパンツ一丁のアシッドさんと、斧を背負って帰るの被り物で同じパンツ一丁のダンチョウさんがポージングして登場した。


「ほら! やっぱり最後じゃん! 兄貴がちんたらしてるから!」


「いや、だってしょうがないじゃん! 急にやめれないし……」


 次に来たのはアキさんとナツキさんの二人だ。

 二人が来たタイミングで最近フレンドを交換したルカから「自分の実力じゃ迷惑を掛けるので今回は遠慮します。強くなったらまた誘ってください」と返事がきた。

 てことは、俺が誘った人はこれで全員だな。


「ハルナ、片っ端から誘ったら三十人ぐらいになったぜ」


「ありがたいですグレンさん。皆さんー!」


 俺は大声を上げて全員の視線を集めた。


「島攻略に集まって頂きありがとうございます! 聞いていると思いますが、回収したアイテムや素材は各々で持って帰ってもらって大丈夫です。 この島でデスをすると、ここまで来るのが大変なんでヤバかったらこの結界に戻ってください。この中は安全なんで! 最後にこの島の何処かにいるウィルって名前のNPCを見つけたら俺に教えてください。俺からは以上です! 何か質問がある方!」


 見渡しても誰も手を上げなかった。


「では、皆さん死なないように気を付けてください!」


 集まってくれたプレイヤーたちは一斉に結界の外に駆け出した。


「それじゃ俺たちも行きますか」


「「「おー!」」」



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