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第373話

「うっし。そんじゃ俺らは帰るわ。ハルナも落ちるのか?」


「もう少しやってから落ちる予定です」


「そうか。それじゃあな」


「まったね~」


 グレンさんとベオルさん、エレナさんの三人は拠点から去っていった。


「俺も出掛けてくるけど……ってめっちゃ落ち込んでいるじゃんウィル」


 ウィルの方を見ると落ち込んでいる様子だった。


「どうせ、あれだろ? 俺のせいで巻き込んじゃったとか思ってんだろう? 気にし過ぎ」


「そう、でしょうか……」


 俺はウィルの髪を搔き乱した。


「さっきも言ったけど、一応オピオさんが見守っているといえ、十分に気を付けるんだぞ。やばかったら人魚族の街に逃げるように。船を……あ、あの島に置いたままだった。ちょっくら取りに行ってくる」


 アカガネを呼び出して船を放置した場所に向かった。


「ここら辺だったけど……お、あったあった…………は?」


 船を見つけて近づくと大破している船が視界に入った。


「うわ……ここまで破壊しなくてもいいのに……」


 放置していた俺が悪いけどさ。修理費高そうだな……

 俺は深い溜息を吐いて、船を回収してから拠点に戻り、海原エリアの街に転移をした。街の下層にある組合所に向かった。

 賑わっている組合所に入り、列に並び順番を待つこと数分。


「次の方ー」


 自分の番が来て受付の前に行く。


「本日はどのようなご用件でしょうか?」


「船が大破しちゃって修理をお願いしたいんですが、どれぐらい掛かりますか?」


「大破具合により修理費が変動しますので、確認してみないと。確認したいので倉庫まで――」


「私が案内するわ」 


 横からこの組合所の代表であるカスティさんが話しかけてくる。


「行きましょうか」


「え、あ、はい……」


 組合所を後にしてカスティさんの後ろから付いていった。


「私の執務室に来て頂ければ直ぐに案内しましたのに」


「いやいや。船の修理に来ただけだから行きませんって」


 そう答えるとカスティさんは何故か溜息をついた。

 カスティさんはそのあと黙ったまま倉庫に向かい、俺も気まずくなって無言で後を付いて行った。


「ハルナ様、こちらに船を出してください」


 指定された場所に船を出すとカスティさんにじっくりと大破した船を観察する。


「修理には三日ほど頂きます。その間はグレードが下りますが貸出用の船をお貸ししますが、以下がされますか?」


「うーん、出来れば攻撃が防げる船を貸してもらえれば良いんですけど……オプションとかで付けれます?」


「……費用は掛かりますが可能です」


「それでお願いします」


「手続きしますので執務室に戻りましょう」


 組合所に戻ってカスティさんの執務室に入り、費用を払って船を借りた。


「ハルナ様、この後のご予定はありますか?」


「この後は樹海エリアに行く予定ですけど」


「それなら、今日の仕事は終わったので家まで送って頂いてもいいですか? 夜は危険ですし」


「それぐらいなら」


 カスティさんと組合所の裏口みたいなところから外に出てカスティさんの家があると思われる中層に向かった。


「今宵は満月ですね」


 夜空を見上げると満月が輝いていた。


「もうすぐ家の近くなのでここで大丈夫ですハルナ様。我儘を聞いていただきありがとうございました」


「これぐらいお安い御用です」


「ふふ。おやすみなさい」


 カスティさんは一礼してから去っていた。

 カスティさんの姿が見えなくなってから、転移門を潜り樹海エリアに向かう。マップを開いて円が示している場所に飛んで向かった。


「ここだな。上からじゃ分からないな」


 上空から見下ろしてもなにも分からないかった俺は地上に降りて辺りを散策した。

 円内を散策すると、樹木に取り込まれた石造りのボロボロの建物を見つけた。

 建物の中は壁に生えている光る苔で薄暗く、中央の天井はくり抜かれていた。そこから月の光が射し、中央の祭壇みたいな場所に光っているのを見つける。


「指輪?」


 手に持つと鹿のような模様が付いている指輪だった。すると、目の前にウィンドウ画面が現れ、そこには指輪を嵌めれば試練が行われ、制限として加護を与えるモンスター一体のスキルのみ使用可能と書かれていた。

 俺は右手の人差し指に指輪を嵌めた瞬間、指輪は光出して目の前に角が立派な光る牡鹿が現れた。

 再びウィンドウ画面が現れ、逃げる牡鹿を捕まえろと書かれていた。

 牡鹿と目が合った瞬間に、牡鹿は凄い速さで駆けていった。


「すっげぇ速いじゃん……」


 俺はクモガネを呼び出した。


「クモガネ、あの牡鹿を捕まえるぞ」


『氷漬けはセーフ?』


「うーん、微妙な所だけど手加減すればいいか」


『わかった!』


 俺はクモガネと共鳴をして白い翅を展開して追い駆けた。





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