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第368話

 学校に登校した俺は自転車を駐輪場に置いてから教室に向かう。教室はすでに颯音の姿があった。

 珍しく教科書とノートを開いている。勉強でもしてんのか?


「颯音、おはよ」


「おはよう。体の方は大丈夫?」


「ゲーム内だけだし平気平気。それよりも朝から勉強してるの珍しいな」


「一限目から小テストがあるんだよ! 春名は余裕そうだな……」


「日頃から勉強をすればいいんだよ。お前は当日か前日にしか勉強しないんだから」


「正論を言うな。なぁこれ、答え合ってる?」


 鞄を机に置いてから颯音のノートに目を通す。


「……特に間違っているところはないかな。これなら大丈夫だろ」


「本当か? よかった……もう少しだけ勉強しよ」


「がんばれー」


 朝のHRが終わり、チャイムが鳴り、一限目の授業が始まり、小テストのプリントが全員に配られてから開始。ちらっと颯音に視線を向けた。ペンは止まっていないし大丈夫だろう。

 午前中の授業が終わり、俺と颯音は教室で弁当を食べることにした。

 スマホを見てた颯音が口を開く。


「そう言えば、神関係のクエスト見つけたの?」


「一応候補は見つけてはある。夜に行くけど来るか?」


「うーん、自力で見つけたいしいいかな」


「いつもならついてくるのに珍しい。明日は雨が降るな」


「降らねーよ!」


 そんな話をしているとスマホが鳴り、海都からメッセージが届いた。


「海都からだ。颯音と一緒に屋上に来てくれって」


「えー……今から? 昼休みの時間ほとんどないのに」


「急いで飯を食べるぞ」


「しゃあない」


 急いで弁当を空にしてから屋上に向かった。


「海都、来たぞー」


「悪いな二人共」


「そんな時間ないから手短で頼むよ」


 海都は話始めた。


「二人には今週の土曜にあるパーティーに付き添いとして来て欲しい」


「「……へ?」」


 予想外の話をされて変な声を出してしまった。


「ちょっと待って……いまいち話が掴めないんだけど。俺と颯音でパーティーの付き添い? なんでそうなったんだ?」


「そのパーティーには有名人が集まるパーティーでな。俺の両親と縁を繋げようとひっきりなしに話しかけてくる」


「うん。それで?」


「二人には離れる理由として付き添いをしてくれ」


「マナーとか全然知らないし、パーティーならスーツ……とか必要だと思うんだけど俺、一着も持ってない無いよ?」


「スーツはこっちで準備する。マナーとかは気にしなくいい」


「そうなの? うーん、それなら別にいいか。春名はどうするの? 土曜バイトあるっしょ?」


「移動できるか店長に聞いてみるよ」


 俺は店長の蒼さんに連絡をすると、「平気だよ」と返事が来た。


「移動できるから俺もついて行くわ」


「サンキューな二人とも」


「丁度チャイムが鳴ったし教室に戻ろうぜ」


 昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響き俺たちはそれぞれの教室に戻った。

 午後の授業も終わり、学校を後にした俺は寄り道をせずに帰宅。


「兄ちゃんからだ。帰りが遅いから夕飯はいらないと……夕飯は冷蔵庫にある物だけにしよ」


 エレベーターの中で兄ちゃんから連絡が来てメッセージを見てからスマホを仕舞い家に入った。

 冷蔵庫にある残り物で適当に夕飯を済ましてから俺はログインをした。

 自室のベッドから起き上がる時にドアがノックされた。


「ハルナさん、今大丈夫ですか?」


「ウィルか。なんかあった?」


「特にはないんですけど、今日時間があればレベル上げに行きたくて」


「レベル上げか……」


「あ、忙しいなら大丈夫です。暇な時にでも連れて行ってもらえれば」


「遠慮しなくていいんだよウィル。レベル上げ行くぞ」


「やった! 準備してきます!」


 ウィルは嬉しそうに部屋を出て行った。

 樹海に行く予定だったけど、仕方ない明日にしよ。

 部屋を出てるとルラーシャがこっちを見てくる。


「何処かに行くの?」


「ウィルのレベル上げにな。ルラーシャも来るか? 冗談――」


「うん、行きたい」


「――え? 本気で言ってる?」


「本気の本気だよ」


 真剣な眼差しを向けてくるルラーシャ。


「わかった。俺から絶対離れないって約束できるか?」


「うん、約束」


「お待たせってどうしました?」


「ルラーシャも連れて行くことになったから」


「え!? 危険ですよ! 僕は反対です!」


「俺が付いている。常に警戒するから安心しろ」


「でも……!」


 猛反対するウィルの手を握るルラーシャ。


「私も強くなりたいの。守られているだけじゃ嫌なの」


「ルラーシャ……ハルナさんから絶対に離れないでよ」


「わかってる」


「準備出来たなら行くぞ」


 二人を連れて船に乗り込み、自動操縦にして夜の海原に繰り出した。


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