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第367話

 カウントダウンが始まり、次々とモンスターが現れ始め、盾を槍に変形させて倒していく。

 出てくるモンスターは多種多様の小型モンスターだが、虫系のモンスターは一切出てこない。出てくれれば大分楽になるんだけどな。

 しばらく武器を変形させて倒していくと、大型のモンスターも少しずつ現れる。


「うわードラゴンまで出るのか……気を引き締めないと。【跳躍】」


 テオクエのスキル【跳躍】を使い空高くジャンプをする。


「【加速】からの【貫通】……!」


 槍にテオクエの【加速】とディルの【貫通】を付与して地面に居るドラゴンに向けて投擲する。加速した槍はドラゴンの腹を貫いて一撃で倒した。

 今度は俺に目掛けて蝙蝠と鳥のモンスターが飛んでくる。


「【身体強化】……【真空刃】!」


  テオクエの【身体強化】でステータスを強化し、ウシャスラの風の刃を飛ばすスキル【真空刃】でモンスターを迎撃しながら地上に降下していく。地面に刺さっている槍を拾い盾に戻した


「【ラウンドフォース】。ついでに重ね掛け【木漏れ日の日差し】」


 自身の周りに結界を張り飛翔してくるモンスターの攻撃を防ぎ、ヘイムンダのスキル【木漏れ日の日差し】の効果で少しずつ体力を回復させていく。回復量はシロガネよりかは多少は劣っているけど、貴重な回復スキルだ。今のうちに減った体力を回復させておこう。

 残り時間は三十分を切った。もう少しだな。


「シャアアアアアアアア!!!」


「なっ!?」


 巨木をなぎ倒して八つの蛇の頭が祭壇を目掛けて進んでくる。


「八岐大蛇……こんな大物までご登場かよ……! まだ余裕はあるけど、少しだけ本気を出さないとな」


 俺は地面に手を置いて呟いた。


「【樹木操作】……!」


 地面が盛り上がり、そこから太くて丈夫な根が伸び、八岐大蛇を拘束する。八岐大蛇は口から炎を吐き出し燃やして拘束を解いた。


「厄介な攻撃を持っているな。なら、数でごり押すまで! 力を貸してくれ大樹たちよ!」


 八岐大蛇の足元に小さな芽が生えた瞬間、凄まじい成長をし大樹になり拘束をした。

 八岐大蛇は首を捻り炎を撒き散らして大樹を時間を掛けて燃やしていく。


「まぁ時間だけどな」


 四方の柱から天高く光が伸びて、輝く球体が激しい光を放った。

 光が収束すると何倍にも大きくなって四体の姿が現す。


「おお、大きくなったな!」


 俺は四体のステータスを確認した。

 ディルは赤色の複眼に胸部から腹部にかけて青色で、かなり長い翅を持つメガネウラという名のモンスターに進化し、テオクエは黒い複眼に黄金の体を持ったインペリアルグラスホッパーに進化。

 ウシャスラは銀色の甲殻に、両手には鋭そうな鎌が二つずつあるジェネラルマンティスに進化し、ヘイムンダは赤色の背中には七色の水玉模様を持つ、ヘブンズレディバグに進化した。


「めっちゃ強くなってんじゃん!」


『呑気な事を言ってないで祭壇を脅かす者を排除するぞ』


「ディルたちでやる?」


『なに野暮なこと言ってんの』


『我と共に行きましょう』


『ふふ、力を合わせるわよ小虫ちゃん』


 四体は球体と一体化して共鳴をした。


『最初は俺とだよ! ハ〜ルナ!』


「【共鳴技・オーバークロックタイム】」


 テオクエと共鳴をすると体全体に金色の線が浮かび上がり、足装備が金色に染まった。

 八岐大蛇が鋭い牙で噛み付いてくるが、素早い動きで全ての攻撃を躱して、頭を踏み台にして高く飛び上がる。


『次は私の番です。行きましょうハルナ殿』


「【共鳴技・拡散する刃】!」


 大鎌を大きく振り、無数の黒い斬撃を放つ。八岐大蛇に命中した斬撃は更に拡散して体力を削っていく。

 怒り狂った八岐大蛇は目を真っ赤にさせ火球を収束させて巨大な火球を放った。


『小虫ちゃん、耐えるわよ』


「【共鳴技・天道【雨】】!」


 赤色だった盾の色が青色に変わり、水の膜に覆われ八岐大蛇の攻撃を防ぐ。水の膜は更に広がり、パラパラと雨が降り出し、燃えている木々を沈下させた。

 俺は距離を取り地上に降りて八岐大蛇を見据えた。


『止めを刺すぞ』


「おう」


 目の前に銃口が三つに増えた対物ライフルが現れ、手に取り構える。


「【共鳴技・トリニティドラゴン】」


 三つの銃口から凄い音と共に弾丸を放つ。弾丸は八岐大蛇の腹部といくつかの頭を吹き飛ばして消滅させた。


「痛ってぇ……! 前よりか反動強くない!」


『文句を言う割に耐えているではないか』


「それはテオクエのおかげだけど」


『お、そうだ。共鳴を解いたら激しい筋肉痛が来るからガンバー』


「は? えっ?」


 テオクエが共鳴を解いた瞬間に全身に痛みが走り俺は地面に倒れた。


「やべぇ……痛すぎ……指一本動かせない……」


『疲労で眠気で襲われるするよりかはマシっしょ』


「どっちもどっちだよ! はぁ……」


『ハルナ、大丈夫?』


 心配そうに俺の顔を覗き込むニア。


「大丈夫大丈夫、少し休めば動けると思うから安心して」


 ニアは俺の頭を優しく撫でた。


「それにしても、星空が綺麗だな」


『うん、綺麗だね』


 ニアとロンは俺の隣に座り、ディルたちも一緒に夜空を眺めた。

 しばらく横になって休んでも痛みが和らぐことはなく、渋々ゲームにまだ居た颯音に助けを頼んだ。


「春名、来たけど。筋肉痛で動けないってマジ?」


「マジのマジだから肩かして」


「しょうがねぇなぁ」


 颯音に手伝ってもらい拠点に戻ってからログアウトした。


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