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第366話

 学校が終わり夕飯の食材を買ってから帰宅。玄関の前に行くと丁度ドアを開けて入る所の兄ちゃんの姿があった。


「待って、兄ちゃん!」


「ん? 春名か」


 兄ちゃんに待ってもらって一緒に家に入った。


「夕方前に帰るって言ってたけど、早くない?」


「早めに終わってな。今から夕飯作るんだろう。一緒に作ろ」


「今日は俺の当番なんだから、兄ちゃんはゆっくりしてて」


 買い物袋をリビングに置いてから部屋着に着替えて夕飯を作り始めた。


「汁物は何がいい?」


「……ゆっくりしてたらいいのに。んじゃ兄ちゃんのお勧めで」


「それが一番困るんだけど……文句は受け付けないからない」


 兄ちゃんと手分けして料理を作り、出来上がった物のからテーブルに並べていき、夕飯を食べ始めた。そして、兄ちゃんにルラーシャの事を話した。


「ルラーシャを連れて人魚族の国に行ったんだ。そしたらさ、ルラーシャが遥か昔に誘拐されたって事実がわかってさ、ルラーシャが帰りたいと思うまでは俺たちと一緒に居ることになったんだ」


「そうなのか。色々と大変だな。ちゃんとサポートしてやれよ」


「わかってるよ」


 兄ちゃんとの夕飯も終わり、風呂に入ってからログインした。

 自室のベッドに横たわってあの日に言われた言葉を思い出す 

 なんて言っていたっけな……えっと、確か……彼女は森林の守護者で……なんちゃらで……ダメだ、全然思い出せない。森林の守護者ってワードだけで探すなら樹海エリアかな。まぁ行ってみるか。

 ベッドから起き上がり樹海エリアに転移をした。

 街の外に出る門の所に見覚えある人物が欠伸をして立っていた。


「ヴェルガ、仕事中に欠伸とかしてていいのか?」


「あはは……変な所を見られてしまったね。こんばんはハルナ」


「こんばんは。仕事、大変そうだね」


「ちょっと忙しくて寝れてないだけさ。ハルナは樹海に行くのかい?」


「うん。ちょっと探し物してて、ね……」


 そう言いながら俺はマップを開いた。

 マップには二か所の円が表示されていた。


「夜の樹海は視界が悪いから気を付けるんだよ」


「平気平気。ヒガネがいるから視界は問題ない。そんじゃ行ってくる」


「行ってらっしゃい」


 俺はクモガネを呼び出して白い翅を展開して飛び立った。

 マップに表示された二つの内の一つに向かうと、ニアを孵化させた祭壇だった。


「ここってニアの祭壇か」


 俺はニアとロン、ディルロスとヘイムンダ、テオクエとウシャスラの六体を呼び出した。


『ここ……懐かしいね、ロン』


『ああ。ニアとかくれんぼすると良く隠れていた場所だね。おかげで見つけるのは簡単だったけど』


『そんなことまで思い出さなくていいの! もう!』


『ごめんごめん』


 ニアとロンは中央の祭壇で和気あいあいと話していた。他の四体はそれぞれの祭壇で何かをしてから、四体は俺の所に戻ってくる。


『ハルナ、頼みがある。頼みというのが――』


「別にいいぜ?」


『話は最後まで聞け、馬鹿者が』


「最後まで聞いても答えは変わらないさ。それで、何をやればいいんだ?」


『……我らが進化をする為には、あの神殿としばらく一体化していないといけないのだ。その間、モンスターが押し寄せてくる。ハルナにはその対処を頼む』


「どれぐらい持ち堪えばいいんだ?」


『一時間だ』


「一時間か……制限とかある感じ?」


『ハルナ自身のスキルと我らのスキルのみだ』


「なるほど……それなら平気かな。うん。任せてくれ」


『私たちも手伝っちゃダメ?』


 俺たちの話を聞いたニアとロンがディルロスを見る。


『お二方には中央の祭壇に力を注いでほしい』


『中央の祭壇にかい? ふーん……なるほど。君たちがやろうとしていることがわかった。ニア、やるよ』


『待ってよ、ロン!』


 二人は中央の祭壇に向かい、ニアから黒いオーラを、ロンから白いオーラが祭壇に注がれていく。それに共鳴をして四方の祭壇から光が放たれた。

 ディルの四体は球体になり、祭壇に吸い込まれていく。すると、中央の祭壇の頭上に数字が現れて、カウントダウンが始まった。

 さて、やりますか。


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