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第354話

 道中、昨日の事を話し終えると颯音は不満そうな顔を向けてくる。


「行くなら俺も誘ってくれたっていいのに……昨日は俺もログインしてたのに……」


「急だったら仕方ないだろ。一人だけ同伴できるから今度行くときに誘うよ」


「マジで! やったー! 絶対だからな!」


「人差し指を向けんな。てことで、悪いな海都」


「雫恩とやるから別にいいさ。それよりも、もうすぐ着くんだろう?」


 マップを見ると目的地に着いたようだ。


「で、ここでアイスゴーレムとロックゴーレムを千体ずつ倒すんだっけ?」


「おう。一人でやるの時間が掛かるから手分けして倒したい」


「合計二千体……もう少し人数増やさないか? 流石にこの三人でも時間が掛かるぞ?」


「……そう思う?……誰かいるかな」


 フレンド一覧を確認。今の時間、ログインをしているのはアキさんしかいなかった。アキさんは大学生だからか学校が終わってログインしてる感じなのかな。


「アキさんしかいないけど、誘ってみる?」


「ダメもとで誘おうぜ!」


「わかった。メッセージを送ってみる」


 俺はアキさんに詳細を書いたメッセージを送ることにした。十分程経ったけど返事は来なかった。


「アキさんから返事が来ない。忙しいのかな」


「とりあえず俺たちでやろうか。今日出来なくても別の日にすればいいんだし」


「なるべく早めにしたいけどこればかりは仕方ないか。そんじゃ、取り敢えず一人……アイスゴーレムとロックゴーレムを約三百体ずつだな」


「よーし、全力でやろう。ヒスイ、ギン、コクヨウ」


「リュウオウ、リュウテイ。出てこい」


 颯音は三体の狼を、海都は二体の巨竜を呼び出して共鳴をして別々の方向に向かって行った。


「俺も行きますか」


 俺もコガネたちを呼び出して球体と一体化してもらう。


「クモガネ、アカガネ。いつもの翅を頼む」


『『うん』』


 白と赤の翅を展開しようとした途端に二体は弾けて共鳴が解けてしまった。


『アカガネ、もう一回やろ』


『う、うん!』


 もう一度二体は共鳴を始めたけど、結果は一緒だった。


『『……』』


 二体はかなり困惑した表情をしていた。


『なんで出来ないの……? もしかして、アカガネが進化したから……?』


『多分……そうだと思う……ハルナはそう思う?』


「うーん、今までの違いって言ったらアカガネが進化したことだし、多分原因はそれだと思う」


 クモガネは凄い勢いで顔を近づけてくる。


『どうしたらまたアカガネと一緒に飛べるようになるの!』


「そ、そうだな……単純だけどクモガネも進化すればいいと思うけど、ただの進化じゃ結果は変わらない気がする。アカガネが手に入れた【太陽神の加護】のようにクモガネも何らかの加護を手に入れないといいけないと思うよ」


『それは何処なの!』


「お、落ち着けってクモガネ。今マップを見てみるから」


 クモガネを落ち着かせてからマップを開いて確認してみたが、雪原エリアにはクモガネの進化を示している場所は何処にもなかった。


「このエリアにはないみたい。他のエリアでも確認してみるよ」


『今直ぐに他のエリアに行って僕を進化させてよ!』


 クモガネは必死に懇願してきて俺は少し困ってしまい頬を掻いた。


『ハルナを困らせないのクモガネ』


『……アカガネは僕と一緒に飛べなくてもいいの?』


『そりゃ一緒に飛べたいけど、ハルナにも予定があるんだから困らせちゃだめだよ?』


『……』


 クモガネ俺とアカガネを交互に顔を見てから、俺の胸に飛び込んでくる


『あまり長く待てないからね、ハルナ』


「わかったよ」


 そう言うとクモガネは離れて球体と一体化した。


「アカガネ、ありがとな」


『なんのこと?』


「あ……ううん、なんでもない。アカガネ、共鳴をお願い」


 アカガネと共鳴をして八枚の双円錐の翅を展開して颯音と海都が向かってない方向に飛び立つ。


「ヒガネ、標的のモンスターを探すから共鳴をしてくれ」


『はーい』


 ヒガネと共鳴をしてゴーグルを付けて広範囲に索敵をした。少し移動した所にアイスゴーレムとロックゴーレムが群れを成している場所があるな。合計で百体いるな。さて、近いところからやりますか。



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