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第350話

 アカガネから放たれた光は小さくなり収束すると、そこには金色の炎の纏っているアカガネの姿がそこにあった。


「アカガネ……? 大丈夫か?」


 アカガネに呼びかけても目は虚ろで反応は返ってこなかった。

 アポロンラヴァルバルモス……種族名が変わってるから進化は成功したみたいだけど、ギリシャ神話の一柱の名前が付いている。嫌な予感しかないしない


『呼ばれてる……』


『アカガネ! どこ行くんだよ!』


 アカガネが舞い上がり、その後をクモガネが追いかける。その光景が視界に入り、俺は二体を戻す。


「……は? なんでアカガネだけ戻せないんだ……?」


 クモガネだけが戻り、アカガネはどんどん舞い上がっていく。アカガネが神殿の外に出た瞬間に背中に金色の炎で出来た輪が現れた。


『我の試練を受けし者は誰だ』


 アカガネから聞いたことない低めの男性の声が発せられた。


『お主か? 我の試練を受ける者は』


「お、俺です……」


 アカガネから発せられた威圧に怯んでしまい、どうにか声を振り絞って答えた。


『ふむ……弓士系統のジョブではないのによくあの距離を当てれたものだな。まぁそれは良しとしよ。それでは我の試練を受けてもらおうか』


 アカガネの六枚の翅が金色に変わる。


『我の試練はただ一つ、我に力を示すことだ』


「戦えってこと?」


『ああ。簡潔に言えばな』


「断った場合は……」


『その場合はこやつとは永遠の別れになる。さ、選べ。力を示すか、永遠の別れになるか』


 そう聞かれて俺は速攻で答えた。


「勿論、やるに決まってんじゃん」


 正直に言えばアカガネと戦いたくないけど、逃げたら永遠の別れとの二択なら俺は戦うを選ぶ。


『我は甘くないぞ? 心してかかるがよい!』


 アカガネは豪雨のような金色の炎の矢が放ち、俺は盾で捌きながら攻撃を防いでいく。


「熱っ……!」


 頬に触れた火の粉に熱さを感じて俺は咄嗟に、柱に隠れてアカガネの攻撃を躱すことにした。


『どうしたどうした! そんなのじゃお主の事を認めることは出来ないぞ!』


 更に炎の矢が激しさが増し、柱がボロボロになっていく。


「あの炎……厄介だな……」


 僅かに減った自身の体力を見て呟いた。

 クモガネのスキルで俺には火属性の攻撃は無効の効かないし熱も感じない。それなのにあの金色の炎はそのスキルを貫通して、俺の体力を減らした。火の粉だったから少しのダメージで済んだけど、直に当たると大ダメージは免れないな。

 柱が壊れる前に移動してフィーアとフュン、ゼクスの三体を呼び出した。


「フィーアとフュンとゼクス。三体で共鳴して、アカガネの視線を逸らしてくれ」


『『『アカガネ殿を?』』』


「事情は後で説明する。あの金色の炎には気を付けてくれ」


『『『お任せください』』』


 三体は共鳴をし、俺の腰辺りに六機の小型甲虫機が装着され、一斉に飛んでいきアカガネを翻弄させる。その間に全員を呼び出して軽く説明してから球体と一体化をしてもらう。


『ハルナ、アカガネを助けて』


「わかってるって。アカガネは助ける。だから、クモガネも全力で行こうぜ」


『うん!』


 クモガネも球体と一体化してもらいアカガネの方を確認した。フィーアとフュンとゼクスはギリギリで攻撃を躱して被弾を抑えているな。


「ディル、行くぞ」


『ちゃんと狙えよ』


 ディルと共鳴を行い対物ライフルを手に取り、物陰からアカガネを狙う。


『撃て』


「……【共鳴技・ドラゴンブレイク】」


 狙いを澄まして引き金を引いた。弾丸はアカガネに命中し煙が立ち込める。煙が晴れるとアカガネは金色の炎を纏った翅を丸めて俺の攻撃を防いでいた。

 ダメージがほとんどない……あの硬さは卑怯だろうが……


『アハハ! 愉快な攻撃をしてくるな、お主は!』


 アカガネは翅を羽ばたかせて二つの炎の竜巻を起こす。コガネに特殊な革手袋に変わってもらい、糸を伸ばして竜巻を避ける。


「アオガネ、雨を降らしてくれ」


『こ、ここで雨!? む、無理だよ……ほ、ほとんど水分な、ないよ……?』


「アカガネを助けれるかどうかはアオガネに掛かっているんだ」


『う、うん……そう言われも……』


 アオガネはアカガネを見てから頭を横に振った。


『や、やってみる……時間をか、稼いでね』


 アオガネは俺から離れて避難した。


『逃げることしか能がないのか、お主は!』


 金色の炎がアカガネの頭上に集まって行く。


「あれはやばい! 【共鳴技・フルオールカウンター】!」


 小型甲虫機を手元に戻し、急いで大きな障壁を展開。放たれた炎の球体が障壁に触れると、障壁は大きく歪み、全てを吸収し、威力が上がった状態でアカガネに返し、大爆発が起きた。


『あ、主……』 


 共鳴が解除されボロボロになった三体が地面に転がる。


「ありがとな三人とも。ゆっくり休んでくれ」


 三体を戻してヒガネのゴーグル越しに透視を使いアカガネの様子を確認。さっきのカウンターで二割は削れていた。


『面白い……面白いぞ、お主! さあ、続きを楽しもうぞ!』


 やる気に満ちた声が響き俺は溜息を吐いた。

 これだから戦闘狂は苦手なんだ……アオガネ、早くしてくれ……!



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