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第344話

「オピオさん!?」


 俺は急いで駆けつけてオピオさんの容態を確認した。

 頭から血を流している。抑えている腹部も血がしみていて真っ赤になっている。

 前に一度、ボロボロになったオピオさんを見たけど、あの時よりもひどいな……。


「オピオさん、しっかりして」


 【治癒蜂兵】を呼び出してオピオさんの体力を回復させていく。


「あれ? 回復が遅い……?」


 効き目が悪いのかオピオさんの体力は徐々にしか回復しなかった。シロガネが居なくてもある程度の回復力はあるはずなんだけど……


「うっ……は、ハルナ……かの……?」


 気が付いたオピオさんはゆっくりと顔を上げる。


「今、シロガネを呼ぶんで少し辛抱してください」


 俺はシロガネを呼び出してオピオさんの体力を回復させていく。シロガネを呼び出して多少は回復速度が上がる。三十分程回復させて、ようやく体力が半分回復出来た。


「ハルナ、もう大丈夫だ。助かった」


「……わかりました。シロガネ、ありがとな」


『後で新種の花をお願いね』


「おう」


 シロガネと約束を交わしてから戻す。


「ハルナよ、悪いんじゃが肩をかしてくれんかの……?」


「負ぶっていきましょうか?」


「そこまで年寄り扱いをするんじゃない」


 オピオさんを手を取り立たせて、ボロボロ服のせいで鱗が丸見えになっているに気が付いて、俺はマントを着させた。


「とりあえず、お店までは着ててください」


「ありがとう……」


 桟橋を後にした俺たちは、オピオさんの案内で普段使わない道を進んで行く。


「……何があったのか聞かないのだな」


「オピオさんから言ってくれるの待っているから聞きません。ていうか、聞いたもはぐらかすじゃん」


「ふふ、そうだな。時期が来たら話そう」


 ゆっくりと裏道を進んで、ようやくお店に戻ることが出来た。


「ウィル、ただいま」


「おかえりなさい。オピオさん、顔色……大丈夫ですか?」


「ああ、休めば治るさ。それよりも、遅れてすまないかったの」


「店番楽しかったから気にしないでください」


「……二人には迷惑を掛けてしまったからの、お礼を渡したいから少し待っててくれ」


「俺もオピオさんに聞きたいことがあったから待ちますよ」


「わかった。ちと着替えてくる」


 そう言ってオピオさんは部屋の奥に行ってしまった。

 少し待つといつもの着物姿で丁寧に畳まれた俺のマントを持ってオピオさんが戻ってくる。


「待たせたの。先に借りていたマントを返すぞ」


 マントを受け取り直ぐに俺は羽織った。


「それでこっちがウィルに渡す貴重な本じゃ」


「わあ……ありがとございます!」


 ウィルは古びている本を受け取った。


「それで、ハルナにはこれをやろう」


「これは……何ですか?」


「貴重な種じゃよ」


 オピオさんから渡されたのは小さい緑色の種だった。


「上手く育てれば貴重な花が咲く。これで蜂の子も喜ぶじゃろ」


「ありがとございます、オピオさん」


 種をインベントリにしまってから、さっき手に入れた百眼竜の邪眼をオピオさんに見せる。


「これはこれは、またとんでもないものを手に入れたのう」


「この素材でオピオさんが指定した素材、イービルドラゴンの瞳の代わりになります?」


「勿論じゃ。よく倒せたのう」


「皆で協力して、なんとか」


 百眼竜の邪眼をインベントリにしまう。


「これで素材はいくつ揃ったんじゃ?」


「残りはアイスタイタンの核のみです。場所も分かっているから準備が出来次第挑む予定」


「そうか、頑張るんじゃぞ」


「俺の用件も終わったからそろそろ帰ります。はぁ~……流石に眠い……」


「素材が揃ったら来るんじゃぞ」


 お店を出た俺たちは下層に向かい、アオガネを呼び出して海中を進み拠点に戻った。拠点は静かで外にあったテーブルとかは片付けられていた。流石にみんなログアウトしてるよな。


「はぁ~……欠伸止まんない……じゃあ俺も帰るわ」


「はい、ゆっくり寝てください」


 ウィルに手を振ってから俺はログアウトした。


「喉乾いた……」


 ヘッドギアを外して伸びをしてから体を起こしてリビングに行き、水を一杯飲む。

 ちらっと時計を見ると六時手前。朝日が眩し……

 ガチャっと兄ちゃんの部屋のドアが開く音が聞こえた。


「今日は早いんだな」


「兄ちゃん、おはよう。ちょっと長引いちゃってこれから寝るところ」


「明日から学校なんだから、生活リズムを戻せよ」


「分かってるって。おやすみ、兄ちゃん」


 部屋に戻った俺はベッドに倒れ直ぐに眠りに就いた。



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