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第343話

 体力がなくなったワンハンドレットアイイービルドラゴンは動かなくなり地上に落下した。


「なぁ、モンスターって倒されたら消滅するんだよな?」


 颯音の質問に俺は頷く。


「そうなんだけど……なにかあるかもしれないから油断するなよ」


「わかった」


 モンスターは地面に叩きつけられ肉片が飛び散る。すると、全ての瞳が怪しい光を放ち、空に向かって舞い上がり四方八方に飛んでいく。


「颯音、どれでもいいから、あれを追い駆けて!」


「え、お、おう!」


 颯音は飛んでいく瞳の一つを定めて追い駆けた。


「コガネ、行けるか?」


『距離が遠いから届かない』


「……了解。颯音、もっと早く走ってくれ!」


「もう春名は直ぐに無茶を言うんだから……しっかり掴まってよ!」


 そう言った颯音の体の色が左頭の若草色に染まっていき更に加速した。


『射程圏内に入ったよ!』


 そう言ったはコガネは一体化している球体が二つに別け掌に収まると、指の部分は無く、手の甲の関節部分には銀色の球体の装飾が付けれ、蜘蛛の模様がある黒の革手袋になった。 


「【鋼鉄の糸】!!」


 指の先から鋼鉄のように硬く、粘着力が高い糸を放出した。糸はいくつも枝分かれして蜘蛛の巣状に広がり、飛翔している瞳を捕らえた。糸を手繰り寄せて確認した。

 百眼竜の邪眼……溢れんばかりの憎悪よって異常な進化を遂げたドラゴンの眼。近くにあるだけでモンスターの凶暴性を上げ、異常な進化を遂げる可能性が上がる。1/100


「この眼……あと九十九個もあるのか」


「春名、これ……大分やばくない? あっちこっちに飛んでいったから常夜エリアの敵モンスターのレベルが一気に上がるね」


「そう言いながら内心喜んでいるだろ? 颯音」


「へへ、まぁね! 強いモンスターと戦えるの楽しいじゃん!」


「はいはい。みんなの所に一旦戻るぞ」


「おう!」


 俺は自信と颯音を海都の黒蝶を経由して転移した。


「戻ってきたか。眼は取れたのか?」


「取れたは取れたんだけど……」


 俺は手に入れた眼をみんなに見せると、海都は頭を傾けた。


「これ、指定されているアイテムじゃなくないか?」


「そこなんだよな……理由を言ってオピオさんに妥協してもらえるか交渉する予定だけど」


「なるほどな」


「下も騒がしいことだし、拠点に戻ろうぜ。てか、もう朝かよ」


 グレンさんに言われて時間を見ると、早朝の四時になっていた。


「そうですね、一旦拠点に戻りましょうか。俺はウィルを迎えに行くんで先に戻っててください」


「おう」


 グレンさんとベオルさん、颯音と海都の四人が拠点に戻った。


「俺たちはこれで上がるよ」


「お疲れさん」


「アキさん、ナツキさん。今日はありがとうございました」


 アキさんとナツキさんを見送ってから街に転移してから、転移門を通って海原エリアに転移をした。特に寄り道もせずにオピオさんの店に真っ直ぐに向かう。お店に入ると本を読んでいるウィルを見かけた。


「ウィル、おまたせ」


「ハルナさん! おかえりなさい」


「あれ、オピオさんは?」


 店内を見渡すもオピオさんの姿は何処にもなかった。


「えっと、三十分前ぐらいに急用で出掛けちゃって。直ぐに戻るって言っていたんだけど……」


「そうなんだ。じゃあ待ってるか」


 俺は颯音に「遅くなる」とメッセージを飛ばすと、「了解。伝えておく」と直ぐにメッセージが返ってきた。


「常夜エリアはどうでした?」


 興味津々に尋ねてくるウィルに俺は話した。


「ボスモンスターの眷族のワンハンドレットアイイービルドラゴンってモンスターと戦ったぜ」


「強かったですか!」


「強かったし、大量のモンスターを召喚するから厄介だったな。あ、そう言えば初めて颯音と海都で共鳴技をしたな」


「え、初めて? 意外……仲がいいのでてっきりもうしているのかと思ってました」


 それからウィルの質問に答えながら時間を潰していたけどオピオさんは帰ってこなかった。


「はぁ~……流石に眠くなってきたなぁ……オピオさん、まだかな」


「遅いですね。なんかあったのかな……」


「ちょっと街を確認するか」


 立ち上がり店を出てシロガネのスキル【偵察蜂兵】を五体召喚して街に放った。しばらくすると、一体の蜂兵が慌てて様子で戻ってくる。


「見つかったのか! 案内をしてくれ!」


 【偵察蜂兵】は頷き飛んでいく。


「ハルナさん! 僕も行きます!」


「ウィルは店番、直ぐに戻ってくるから」


 先導してくれている【偵察蜂兵】の後を追いかけると、船が停泊している桟橋の所までやってきた。


「こっちだな」


 少し遅くなった【偵察蜂兵】の後をついて桟橋を進むと、壁にもたれ掛かって血を流しているオピオさんを見つけた。



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