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第342話

 モンスターの姿が変わり空気が一気に変わったのを感じた。


「春名、なんかあいつ……インセクトキメラに似て気持ち悪いんだけど……見て! この鳥肌、やばくない!?」


「お前な……もう少し緊張感を持てよ……」


 俺はいつもと変わらない颯音の態度に気が抜けた。


「緊張は一応しているけど、皆と強敵に挑めるワクワクの方が勝っているだけだよ。テンションも上がってきたし、俺のとっておきを見せてあげるよ。ヒスイ、ギン! そして、コクヨウ!」


 颯音が三体の狼の名前を呼ぶと共鳴を解除して颯音の前に並ぶ。


「あれをやるぞ、あれを!」


「クゥン?」


「ガウ!」


「ガウガウ!」


 ヒスイは不安そうな顔をして、ギンは頷き、コクヨウはやる気満々に鳴いた。三体の狼は小さな光球になり、颯音の手の平に集まって行き三本の牙が付いたネックレスが現れた。


「……【地獄の神狼】」


 ネックレスを付けて呟くと地面から黒い霧が溢れ出して颯音を包み込む。足元に魔法陣が現れ、黒い霧を鋭い爪がある獣の足で切り裂かれ、中から三つの狼の首を持つ怪物が姿を見せた。

 左の頭は若草色、真ん中の頭は真っ黒、右の頭は銀色。体も頭に沿って三色に別れていた。


「は、颯音……なのか?」


「正確には違うけどね。まぁ今はそんなことは置いといて……来るよ、春名」


 ドラゴンの方に視線を戻すと体中にある赤い瞳がこっちに視線を合わせレーザー光線を放った。


「守って見せる! 【銀嶺の砦】!!」


 ベオルさんが大盾を構えると何重もの城壁が現れて、レーザー光線を受け止める。だけど、レーザー光線の勢いは止まらず、次々に城壁が壊されていく。


「シロガネ、防御に行ける?」


『まだ召喚は無理。船を壊されたら再召喚までに結構な時間が掛かるからもう戻していい!』


「了解……みんな、飛空艇はもう限界です。それぞれ空中に逃げてください!」


 俺の言葉を聞いてグレンさんとベオルさん、トオルさんとディオガさん、ナツキさんの五人が飛空艇から飛んでいく。


「ほら、春名も逃げるよ」


「あっおい!」


 俺は颯音に襟元を咥えられひょいと背中に。背にはすでに海都が乗っていた。颯音は飛空艇から飛び降りて、空中を駆けた。そのタイミングでシロガネは【空艇蜂兵】を送還させ、シロガネを一旦戻した。

 城壁が消えレーザー光線は一直線に伸びて山を一つ貫通させた。 


「あの、威力ヤバ! どうすんだよ、春名!」


「颯音、前を見ろ。光線が来るぞ」


「分かってるって!」


 颯音は空中を蹴って迫りくるレーザー光線を躱しつつ距離を詰めて、あっという間にドラゴンの真上に来た。

 俺たちに意識を向けている間に他のメンバーが攻撃を加える。怒り狂ったドラゴンは再び眷族を召喚した。

 今度は腐敗した体のドラゴンゾンビか……グレンさんたちはドラゴンゾンビの対応に回ったか。


「春名、俺にも翅をくれ。まだ付与が出来る枠あるんだろ?」


「……まぁな」


 俺は海都にも付与をした。


「なんでわかったんだよ……」


「お前が馬鹿正直にスキルを教えるわけないだろ? で、実際はいくつまで可能なんだ?」


「うーん、二倍以上は付与は出来るって言っておこうかな」


「やっぱチートだわ、お前……」


 そう言って海都は颯音の背から飛び降りて、出現したドラゴンゾンビを射抜いて行く。


「春名、なんかいい作戦ないの?」


 颯音はドラゴンゾンビからの攻撃を捌きながら聞いてくる。


「そう言われてもな……あのドラゴンゾンビをどうにかしないと……」


「おーい! ハルナ君~! ハヤト君~!」


 遠くから赤い鳥に乗ったアキさんがこっちに向かってくる。その後ろからドラゴンゾンビが迫っていたがナツキさんが頭を斬り落として地面に落ちて行った。


「遅せぇよ兄貴」


「ごめんごめん。準備に時間が掛かっちゃった。おまたせ、ハルナ君。準備バッチリだよ」


「準備?」


「説明するより見た方が早いかな。よっと」


 アキさんは鳥の背から飛び降りて空中に着地した。


「さ、始めるよ」


 アキさんが魔導書を開くと、四方に光が放たれ、遠く離れた所から光の柱が天まで伸び、それぞれの柱が線で繋がれる。


「【四神相応の陣・黄龍離宮】!!」


 アキさんが叫ぶと、柱から光の波紋が広がり、波紋に触れたモンスターの動きがかなり遅くなった。


「ハルナ、今兄貴が弱体化させているから、絶好のチャンスだ。一気に決めろよ?」


「了解……! クモガネ、アカガネやるぞ」


『ようやく僕たちの番だね』


『あんまり張り切んないでね? クモガネ』


「よし、行く――」


 俺の目の前にウインドウ画面が現れた。


「今度は颯音か……」


「なんだよ、俺との共鳴技は嫌なの?」


「いや、普通に嬉しいぜ? 準備は良いか? 颯音」


「っ! おう!」


 俺は白と赤の翅を展開して圧縮したマグマと冷気の球体を作りだして、颯音は三つの口を開き黒い球体を作りだす。俺と颯音が作りだした球体は混ざり一つになった。


「「【共鳴技・爆炎氷獄黒球】」」


 球体はワンハンドレットアイイービルドラゴンの目の前に落ち、激しい爆発が起き、周りのドラゴンゾンビ諸共巻き込む。そして、爆発は一気に凍っては粉々に砕けて、黒い球体に吸い込まれた。


「ドラゴンゾンビは一掃出来たけど、ボスモンスターの体力は僅かに残ったか……」


「あとは俺に!」


「俺様に!」


「「任せろ!」」


 グレンさんとトオルさん、ディオガさんたちが一気に距離を詰めて残りの体力を削り切った。


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