第336話
ヒガネの後をついて数分歩くとようやく地上に出れた。
「うーーん、地上の空気は良いな。それになんか空気が澄んでいるような気がする」
雲の隙間から射す太陽の光を受けて深呼吸をした。
『ハルナ、あっちを見てみて』
「あっち? え……マジで……?」
共鳴を解いたニアに言われて視線を向けると、汚染されていた湖の水が綺麗になっていた。花一つもなかった湖の周りにも花が咲き乱れていた。
「ロン。あれって……もしかして、共鳴技の影響……だったりする?」
『勿論だ』
ロンに尋ねると即答してくれてた。
『あの魔術は滞っている穢れを浄化して自然の一部に返し、循環させ環境を改善する魔術だ。マザースパイダーの巣から湖は繋がっているから、湖も浄化させるのは当然のことだ』
「……この湖が浄化されたことでなんか影響あったり……」
『ふむ……この周辺にモンスターが寄り付かなくなるのと、このエリアのボスモンスターが怒り狂うぐらいか』
「ボスモンスターが怒り狂うの!?」
『それはそうだろう。自分の縄張りを荒らされて怒らない者などこの世にいないのだからさ』
「うぅ……確かにそうだけど……しばらく来ないようにしよう。よし、拠点に帰る前にもう一つの場所に行こう」
白と赤の翅を展開してもう一つの目的の場所に向かった。しばらく飛行して鬱蒼とした青緑色の森に到着した。
「ヒガネ、共鳴を頼む」
『わかった』
ヒガネが共鳴すると黒いフレームに赤いレンズのゴーグルが手の平に現れた。
「赤い瞳じゃないんだ。前のと違う感じ?」
『付けてみたらわかるよ』
ヒガネに言われて装着してみると目の前には沢山のウィンドウ画面が表示されていた。
『前よりも索敵範囲が広がったのと情報が文字でわかるよになったわ』
「情報量が多すぎて逆に分からなくなるんだけど、絞れたり出来る?」
『知りたい情報を口に出してみて』
「知りたい情報か……試しにこの周辺のモンスターだな」
そう口に出してみると沢山あったウィンドウ画面が小さくなって周辺にいるモンスターの一覧表が目の間に来る。一覧に載っているモンスターを選ぶと白い輪郭でモンスターの居場所を強調表示された。
使い方はなんとなく理解したし、目的の物を探すか。ビートル隊の誰かだと思うけど、進化してないのはアインとフィーアとゼクスの三体だ。てことは、翠玉石と紫水石、氷結石の三つ。氷結石は雪原エリアにあるとして、残りの二つのどっちかだな。
「この周辺にある翠玉の原石か紫水の原石の居場所」
モンスターの一覧が目の前に紫水の原石の情報が現れた。紫水の原石か。とすると、翠玉の原石は海原エリアにあるかな? 次来た時に確認しておこう。
一覧に触れて強調表示された原石の元に向かった。
「お、あったあった」
少し地面に埋もれている紫色に輝いている原石を見つけ地上に降りて、ゼクスを呼び出した。
「今度はゼクスの番だよ」
『主! ありがたき幸せ!』
原石に触れるとゼクスから光が放たれた。光が収束すると紫色の甲殻に、長い角が頭部に一本と胸部に五本の小さな角が生えている姿は変わらず、少しだけ小さくなった気がする。それと、周囲に電気が発生しているな。
ゼクスはラピードライザービートルに進化した。
「ゼクスも進化したことだし帰ろう」
街に転移してから拠点に戻りログアウトして、そのまま眠り就いた。
次の日、朝食を食べ終え家を出てバイト先に向かった。
「おはようございますー」
「春名君おはよう。今日はよろしくね」
制服に着替えて、開店前に店内清掃を終える。
「それじゃあ、今日もよろしくお願いします」
「「「よろしくお願いします!!」」」
時間になりお店は開店した。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
「二名で」
「お席にご案内いたします」
席に案内する。
「ご注文お決まりになりましたらお声がけください」
一礼してから席を離れバックに戻る。
「二番テーブル、料理出来たよ」
「はーい」
出来上がった料理を席まで配膳する。
「どうぞごゆっくりお召し上がりください」
忙しなく仕事をこなしていたらいつの間にか時間が過ぎ休憩時間になり休憩に入った。家で作った簡単サンドイッチを食べているとスタッフルームのドアが開き、蒼さんが入ってくる。
「休憩中にお邪魔するよ。賄いように使ったスイーツ食べたい人ー」
「はいはーい! 蒼さんのスイーツ食べたいっす!」
「私も!」
一緒に休憩に入った黒崎さんが席を立ち上がって貰いに行く。その後から双葉さんも貰いに行った。
サンドイッチを食べ終えて余ったいるのを手に取って席に戻って一口食べる。うん、美味い。
「うんま……! めっちゃ美味いっす!」
「うんうん!」
「そう? 口に合ってよかったよ。春名君も美味しい?」
「はい、美味しいです。元気が出ました」
「ふふ。じゃあ残りの時間も頑張ってね」
休憩時間が終わりに残りの時間も仕事をこなしていった、




