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第333話

「春名のモンスターも進化したし、ここのエリアは終わり?」


 颯音に聞かれてさっきの事を話した。


「一応まだあるんだ。さっきルーシャさんの所に行ったらさ、崩壊した遺跡?みたいな建物があったんだよ。で、色々と探索したんだけどなんもヒントとか無くて後回しにして、颯音の所に来たんだよ」


「あーあ。それで浮かない顔をしてたんだな。謎解きが必要な奴じゃね?」


「だよな。まぁここは後回しにして他のエリアに行こうかなって考えてる。兄ちゃん、時間は大丈夫?」


「まだ九時か。あと一時間ぐらいは出来るけどレベル上げしたいから、別行動するよ」


「あ、そうなんだ。分かった」


「それなら、俺は冬真兄の方について行こ」


「暇になるだけだと思うぞ? 颯音」


「平気平気! てことで、ごめんな春名」


「はいよ。ルーシャさんはどうします?」


「私? ついて行こ……あ、モレルから一緒に買い物に付き合っててメッセージが」


「俺の方は平気なんで、モレルさんの方に行ってください」


「予定終わったら戻ってくるから」


 そう言ってルーシャさんは目の前から消えた。


「春名、明日バイトあるんだから遅くまでするなよ」


「分かってるって。兄ちゃん、レベル上げ頑張って」


「おう」


 兄ちゃんと颯音も目の前から消えた。さて、一人になってしまった。俺もタイムリミットある遺跡は後回しで他のエリアに向かうか。

 火山エリアを後にして沼地エリアに転移した。


「うわ……人居ねぇ……」


 街は静かで街中を歩いている人は居なかった。お店は開いているけど活気もなく、店員は欠伸をする程暇していた。元々、人気じゃないエリアで新エリアの追加で更に人が減ったんだろうな。まぁ探索が捗るから良いけど。

 マップを開いて確認すると沼地エリアには二か所の円があった。そのうちの一か所はマザースパイダーと戦った場所だ。それなら先にヒガネを進化させるかな。


「よし、行きますか」


 クモガネとアカガネを呼び出して白と赤の翅を展開して目的地の場所に向かった。しばらく飛行して目的地の上空に到着。周りに敵モンスターが居ないのを確認してから降りてヒガネを呼び出した。ついでにコガネも呼び出す。


『ここね……ハルナ、一緒に飛び込んで』


「この汚染された湖に入るの……? いくら耐性スキルが合っても嫌なんだけど! てか、アオガネのスキルも適用されないから長く息継ぎが出来ない!」


『私が進化しなくてもいいんだぁ~へぇ~』


「その言い方はズルいって……」


 俺は溜息をついて汚い湖をチラッと見る。入りたくね……


『僕は関係ないから戻っても――』


『コガネも行くの。返事は?』


『は、はい……』


 ヒガネは共鳴、コガネは特殊な革手袋に変形した。


『ハルナ、ガンバ!』 


『気を付けてね』


「おう」


 クモガネとアカガネから応援してもらって覚悟を決める。二体を戻して足を入れるとドロッとした感触に吐きそうになった。


「汚染された湖に入るなんて、気でも狂ってんの?」


 上空から声が聞こえ見上げると、巨大な鳥が上空でバサバサと飛んでいた。


「やっと見つけたわ! あの日の雪辱を果たさせてもらうわ!」


 巨鳥が翼を広げ竜巻が起こり襲い掛かってきて体が浮き上がたった。


「捕まえた。この風の牢屋からは逃げられない。まぁあの湖のデバフで体が動かないだろうけど」


 余裕そうな表情した女性が俺の顔を見る。


「さぁじわじわと体力を削って――」


「【共鳴技・イービルアイ】」


 俺は赤い瞳を四つ消費した。


「なっ!? 体が動か!? 何をしたの!」


「悪いけど、今はあんたに構っている時間は無いんだ」


 女性と巨鳥の体が徐々に石化し始めた。


「この風の牢屋は技を、跳ね返す……のに……! なんで……!」


 そう言い残して女性の体は石化して、主人の意識が消えたことで巨鳥が消え、女性は湖に落ちた。

 俺は地面に着地して糸を伸ばして女性を陸地に引き上げた。


『ハルナ、この人このままにしておくの?』


「いや、解除はするさ」


 俺はヘイムンダを呼び出した。


「ヘイムンダ、頼めるか?」


『あらまぁ。うーん、私には無理だからニアとロンを呼んで頂戴』


「わかった」


 ニアとロンを呼び出して事情を説明して石化を解いてもらった。


「ん……はっ! あんた……! 何者よ!」


 気が付いた女性は武器を構えて俺を睨みつけてくる。デバフも無いようだし大丈夫だろう。


「さっきも言ったけどあんたに構っている時間は無いから、俺に構うな」


「ちょっと待ちなさいよ!」


 新しく手に入れた【樹木操作】のスキルを使い、俺と女性の間に何層にもなる樹木の壁を作った。


「ニアとロン、ヘイムンダ。あの湖に入るから戻すぞ」


『えー! まだ居たいから一緒に行く! ロンも一緒に行こ!』


『ニアとなら何処へでも一緒に行くよ』


『私は戻りましょうかね。ニアとロン、あまり羽目を外さないようにね』


 俺はヘイムンダを戻す。


「気持ち悪くなったら言ってくれよ」


 ニアとロンが球体と一体化してから、深呼吸をして汚染された湖に飛び込んだ。


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