第328話
「お、スキルが進化したみたいだな」
目の前にウィンドウ画面が現れ、スキルが進化したお知らせが届いた。ロンを仲間したことで【女皇蟲の祝福】は新たなスキル【森主の寵愛】に進化した。
自分から攻撃しない限り虫系のモンスターから攻撃されない効果と、進化を超えた進化が一日に一体まで出来るのは継続で、新しく追加されたのは三つだ。
一つ目は樹海エリアもしくは樹木が生い茂っている場所だと俺とコガネたちの全ステータスの上昇。単純な効果だけどかなり使える効果だ。ただ、樹木が生い茂っているというのが何処までの範囲なのか分からないから後で検証しよ。
二つ目が【樹木操作】ってスキルが使えるようになった。ドライの植物属性のスキルと似たようなももだと思うけど、上位スキルな気がする。まぁこれも後で検証しょ。
そして、三つ目は【進化の軌跡】っていうスキルで、なんとコガネたちの進化に必要な物がある場所をマップに示してくれるという。超便利なスキルだ。これでコガネたちの進化を進められるな。試しに使ってみよう。マップを開くと薄く円で囲まれた部分があった。ここに行けばなんか取れるのかな。
「やること終わったし俺帰るわ。ジェントルスパイダー、ここからどうやったら出れ……あれ? いない?」
出口を尋ねようとジェントルスパイダーの姿を探すも何処にも居なかった。
『ハルナ、祭壇に触ったら出れるよ』
「そうなんだ、ありがとうニア」
祭壇に触れると足元に魔法陣が浮かび上がり、気が付くとダンジョンの外に居た。颯音にメッセージを送ると退出するから待ってくれと返ってきた。少し待っていると、二人がダンジョンから出てくる。
「お待たせ。その様子だと目的は達成した感じ」
「おう。おかげさまで。そっちはあの後どうしたんだ?」
「巨人は倒して春名の後を追い駆けたまでは良かったんだけどさ、レーザー光線の壁が越えれなくて引き返したんだよ」
「なるほど……」
あそこを越えるにはオベロンの指輪が必要だったみたいだな。ジェントルスパイダーが俺なら越えられると言った意味がわかった。
「もうここは終わり? 帰るの?」
「はい。終わったけどちょっと寄り道をしたくて。そんなに離れてないので来ますか?」
「うん、暇だから行く」
「わかりました。颯音はどうする?」
「んーなんも予定ないし暇つぶしについて行くわ」
「はいはい。あ、そうだ……マジか……」
自身のステータスを確認すると全ステータスがかなり上昇されていてた。ステータスのかっこで囲まれているところが上昇値か、こっちもぶっ壊れだったな。俺は思わず苦笑いした。
「ついでに、使ってみよう。【樹木操作】……」
手を翳すと樹木が動き出して道を切り開いてくれて一本の道が出来た。大分、思い通りに動かせるな。なかなか使えるスキルだ。
「春名、またチートスキル手に入れたんだろう……流石に木々を操れるのはズルいって! てか、樹海エリアだと無敵じゃねーか!」
「私も思う……ハルナがボスモンスターになっても可笑しくないね」
「……ほら、行くぞー」
二人の言葉を無視して樹木で出来た道を進んで行くと苔が生えた岩が置いてある開けた場所に到着した。すると、クロガネは共鳴を解いて岩を観察しだした。
『……これ、金緑の原石よ。ドライの進化に必要な石』
「これも進化の石なんだ……ドライ、進化の石だって」
『おお! これで私も進化が出来ると!』
ドライは相当嬉しいのか岩の周りを飛び回る。そして、他の五体からの視線が凄い……
「えっと、他のみんなも順番にやるから少しだけ、待ってくれるか……?」
『『楽しみにしておりますぞ! 主!!』』
今日は全エリアを巡ろうと俺は内心誓った。
『……ハルナ。私のこと、忘れてない?』
上目遣いをしてくるクロガネ。
「忘れてないって。今日は全部回る予定だよ。それで、触れたら進化出来んのか?」
そう尋ねるとクロガネは頷いた。
「だそうだぞ、ドライ」
そっと岩に触れるとドライから眩しい光が放たれ、みるみるうちに大きくなっていく。
『主! 如何でしょうか!』
「おお、デッカくなったな」
体の所々に苔が生えた茶色の甲殻に胸部の長い角がある姿は変わっていないけど、全体的に更に大きくなった。俺の身長ぐらいはあると思う。それにパワーも増している。アインとツヴァイもパワー系だから同じ感じに進化をするのかな。
「ハルナ、進化おめでとう。大きくなったね」
「ありがとうございますルーシャさん。まだ最終進化じゃないから更に大きくなると思いますよ」
「楽しみだね」
「他の奴も進化させないとな」
マップ上では何も表示されない。樹海エリアでの用事は終わりみたいだ。
「今度は常夜エリア行こうと思います」
「あの時以来行ってないから良いと思う」
「はいよ!」
樹海エリアの街に転移して、転移門を潜り常夜エリアに移動した。




