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第320話

 次の日、兄ちゃんを見送り朝飯を済ませソファーに座り俺は天井を見上げた。

 今日は特に予定はない日。何からやろうかな。取り敢えず募集を確認してみるかな。スマホを開いて確認した。

 ……募集は無いか。指定モンスターの生息地は雪原と沼地、常夜エリアだよな。久しぶりに行くか。

 部屋に戻ってゲームにログイン。最後にログアウトした樹海エリアから転移門を通って雪原エリアに移動した。


「久しぶりの雪原エリアだな」


 初めて来た時は耐寒効果がある装備を今の装備に投影して寒さ対策してたっけ。今ではクモガネとアカガネのおかげで雪原と火山は平気になったな。

 街の外に出てクモガネを呼び出した。


『雪だ! 氷だ! 冷たい!』


 テンションが上がったクモガネははしゃぎ回っている。


「落ち着けよクモガネ」


『だってだってだって! ハルナが全然連れてってくれないから!』


「うぐっ……そう言われると何も言えない」


 他の皆も同じことを思っているのだろうか。今度皆に聞いてみるか。怖いけど……


『ハルナ! あっち探索しよ!』


「はいはい」


 飛んでいくクモガネの後を追い歩き出した。しばらく散策していると岩が転がっている場所に近づく。


「クモガネ止まれ。そっちはアイスゴーレムのエリアだ」


 そう呼びかけてもよっぽど楽しいのか止まる様子はなく進んで行くクモガネ。警戒しながら通っていくも特に問題なく通り過ぎた。ただの岩だったのかな。動くまで分からないから面倒くさいモンスターだよな。

 先を進んでいたクモガネが戻ってくる。


『ハルナ! これ見つけた!』


 クモガネが持ってきたのは凍り付いた苺のような実のフローズンベリーだった。


「フローズンベリーか」


『ハルナにあげるよ』


「サンキュー。拠点に帰ったら食べようぜ」


『うん! あ、そういえばここに何か用事あったんじゃないの?』


「ん? まぁあるけど……クモガネに合わせるよ」


 クモガネは体を光の粒子に変え球体と一体化して共鳴をしてくれた。


「もういいのか?」


『うん! それで、どこに行きたいの?』


「うーん……アイスタイタンを探しているんだけど何処に居るかわかんなくてさ、適当に飛んでくれるか?」


『じゃあ取り敢えずダンジョンのクリスタルタワーの方に行ってみるね』


 ふわりと舞い上がり途切れることのない灰色の空の下を飛んだ。


『全然いないね。もうすぐでクリスタルタワーだけど、もう少し奥に行ってみる?』


「いや、情報収集したいから降りる」


 少し離れた所に降りて順番待ちをしているプレイヤーたちに尋ねることにしたが、誰もアイスタイタンの居場所を知っている人は居なかった。マジでどこに居んだよ……

 クリスタルタワーから少し離れ、座るのに丁度いい切り株に腰かけ溜息をついた。


「はぁ~……意外と見つからないもんだなぁ~」


『使えない人間だね』


「こら、そんなこと言わない」


『ハルナ以外の人間に興味ないもん』


 そう言ってクモガネは飛んでいって樹氷の上に止まった。俺はもう一回溜息をついた。


「ガウガウ!」


 足元に白い猫がやってくる。あれ、どっこかで見たような……


「あ、アキさんのビャッコか!」


「ガウ!」


 アキさんはイベントの時にフレンドになった人だ。ビャッコはアキさんの召喚獣なのだが、なんでここに居るんだろう。

 抱き上げて撫でているとビャッコを呼んでいるアキさんの声が聞こえて来た。


「アキさーん! こっちです!」


「え、ハルナ君?」


 アキさんは息を切らして走ってきた。


「ハルナ、君、イベントの時、以来だね……ぜぇ……勝手に行かないでよビャッコ……」


「ガウ?」


 息を整えたアキさんにビャッコを渡す。


「ビャッコを捕まえてくれて助かったよハルナ君。この子、目を離すと直ぐにどっか行っちゃう癖があってね」


「いえいえ。たまたま休んでいたら足元に来たんで」


「こんなところで何してたの? クリスタルタワーに行くのかい?」


 俺は首を横に振った。


「アイスタイタンってモンスターを探してて、ダンジョンの外にいる人たちに聞き回っていたんですよ。まぁ全員知らないみたいで。アキさんは知ってます?」


「知らないかな。あ、でも、どっちの方向に行けばいいのからわかるよ」


「え、そんなことが出来るんすか!」


「つい、最近出来るようになったんだ。ビャッコを捕まえてくれたお礼にやってあげるよ」


 アキさんは杖を取り出して地面に魔法陣を書いていく。書き終わり中心部に立つとビャッコはアキさんの左側の方に移動した。


「来い、スザク。ゲンブ。セイリュウ」


 アキさんは赤い小鳥、黒い亀、青い蛇を呼び出した。小鳥は後ろに、亀は正面に、蛇は右側に移動。詠唱し始めると魔法陣が光り、一筋の光が放たれた。


「ふう……。どうやらハルナ君が探しているものは東に進んで行けばあるみたい」


「東……あの雪山の方か。わかりました行ってみます。アキさん、ありがとうございます」


「気を付けて」


「クモガネ! そろそろ行くぞ!」


 クモガネを呼び戻して白い翅を展開して雪山の方に向かった。


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