第313話
書き直しました。
海原エリアに転移した俺と颯音は下層にある組合所に向かう。組合所の中に入ると、綺麗な受付嬢は座ってなく男性のNPCが代わりに座っていた。いつも賑わっている組合所が空いているのは受付嬢がいないからかもしれらない。知らんけど。
特に並ぶことなく受付の前に行き、カスティさんがいるか尋ねた。
「すいません、カスティさんってまだいますか?」
「……お名前を伺ってもよろしいでしょうか」
「春名って言います」
名前を伝えると男性のNPCは笑みを零した。
「ハルナ様ですね。代表から話は伺っております。大変申し訳ございません。代表は既に退社されていまして、明日の午前中ならおりますが……」
「あーなるほど。緊急じゃないんで大丈夫です。それじゃ一つ調べてもらいたいことがあって」
「何でしょうか?」
「光る珊瑚礁の群生地を調べて欲しくて」
「光る珊瑚礁ですか? 少々お待ちください」
男性は立ち上がって後ろにある本を取り出してペラペラと捲る。
「ハルナ様のお探しの光る珊瑚礁は深海でしたら何処でも群生しているみたいですね」
「何処でも……そうですか。調べてくれてありがとうございました」
「いえいえ、お仕事ですから」
受付を離れてモンスターの情報が掲示されている掲示板を見ている颯音の元に向かう。
「お、おかえり。なんか良い情報聞けた?」
「調べて貰ったけど深海だったら何処でも群生しているって」
「手掛かり無しか。あ、春名春名。これ見てくれよ」
「ん? どした?」
颯音に言われて一枚の掲示物をみると、そこにはこの前倒した海賊幹部のが掲示されていた。
「……なになに。海賊幹部は四人いると。あいつの他にあと三人いたってこと?」
「あの島にはあの一人しかいなかったら他の所で悪さしてんじゃない?」
「すっげぇ迷惑だな。見つけ次第倒していかないとだな」
「このあとどうする? 手詰まりっしょ?」
「うーん、希望薄いけどヘルプ機能のを使うか」
組合所の外に出て人通りが少ない倉庫エリアに行き、ヘルプ機能を使った。少しすると上空から球体状の機械が降りて来た。
「これはこれはハルナ様にハヤト様。本日はご利用いただきありがとうございます」
「俺たちのこと覚えてんの? カルタ」
「ええ、もちろん。全プレイヤーの事は把握しております。それで、本日のご用件はなんでしょうか? なんでもお答え致します」
「なんでも? それじゃ人魚族の集落とか場所を教えて欲しい」
「人魚族のですか? 確認してまいりますのでお待ちください」
中心部分の光が走り出し、少しすると光が止まった。
「申し訳ございません、上の者に確認したところ教えすることは出来ないとのことで……」
「自分で探せってか……確認してくれてありがとうカルタ」
「お力になれず申し訳ございません……」
「仕方ないよ。また何かあったら呼ぶわ」
カルタは一礼してから飛び去って行った。
「プレイヤーとの接点はまだないし、詰んだな」
「ルラーシャにもうちょっと思い出してもらわないと」
「一旦拠点に帰って伝えておくか」
「了解」
「おーい!」
拠点に転移をしようとしたら、空からオピオさんの声が聞こえてきた。見上げるとオピオさんは翼を広げて飛んでいた。目の前に降りて来たオピオさんは翼を仕舞う。
「オピオさん、こんなところで翼出して大丈夫なの?」
「認識阻害しておるから平気じゃよ。先程な丸い球体が飛んできてな、お主に力になって欲しいと頼まれての」
「カルタか……」
ここまで手伝ってくれるなんて驚きだけどありがたい。今度お礼を言おう。
「話は聞いた。わしも上からの制限でタダでは教えれないけど、わしが出した依頼を達成してくれたら報酬として場所を伝えようと思うが、どうじゃ?」
俺と颯音はお互いに顔を見合わせて。
「「話しを聞かせてください!」」
「うぬ。それじゃ依頼を伝えよう」
オピオさんの依頼は指定したモンスターの素材の回収だ。セフィロトドラゴンの果実、リヴァイアサンの鱗、アイスタイタンの核、サンドデスワームの生き血、キングヴェノムコブラの毒液、ヴォルケノサウルスの牙、イービルアイドラゴンの瞳が必要とのこと。
「素材さえあればいい感じ?」
「もちろんじゃ。素材をどのように手に入れるかはお主に任せる」
「なるほど……」
「春名、リヴァイアサンの鱗なら持ってるよな?」
颯音に言われてインベントリを漁り、リヴァイアサンの鱗を取り出した。
「オピオさん、これで依頼は一つ達成でいいよね?」
「おお、それはリヴァイアサンの鱗じゃなの! 残りは六つじゃの!」
「よし、直ぐに集めてくるからお店で待っててください。颯音、市場に行くぞ!」
「おう!」
俺たちは中層にある夜でも賑わっている市場に向かった。
13時に第314話も投稿します。




