第286話
他クランの視点です
別視点
仲間を連れて大柄の男が森の中を闊歩していた。彼はクラン『絶対王者』のリーダーのクロネ。
前回のイベントは巨大なクワガタににやられて早々に辞退してしまったが。今回は特殊個体のモンスターは配置してない。
彼は今回打倒クラン『黒白』を目標に掲げている。
「クロネさん、この先に『テイマーズ』ってクランの拠点が見えます!」
仲間の一人が拠点を見つけてリーダーであるクロネに報告をした。
「テイマーズ? 何処かで聞いたような……まぁいい。何人構成のクランだ?」
「えっと、六人構成と」
索敵能力が高いとマップ上で相手のクランの人数が見れる。仲間の一人が報告する。
「ふん、エンジョイ勢か。俺たちの糧となってもらおうじゃないか。行くぞお前ら!」
「「おお!」」
まずはフラッグ一枚だ!と進路方向を変えて突き進んでいく。
すると、仲間の一人が焦った様子でリーダーのクロネに伝えた。
「っ! リーダー!! 敵の攻撃反応が来ます!」
「何!? どこからだ!」
「それが……わかりません!」
「なんだって……!」
「リーダー! 上を!」
彼らが見上げた瞬間、周囲を巻き込みながらクランは光に包まれた。
「ハァっ……! ハァっ……! な、なんだったんだ今の光は……! おい、おめぇら! 無事か……!」
光が消え、クロネは周囲を見渡すも、十人いた仲間が俺を含めて三人しかいなかった。それに体力がほとんど削れてしまっいる状況。他のプレイヤーに見つかったら速攻でやられる。
「リーダー……ここは、引ま……っ!」
「アロナ!」
クロネの目の前で仲間のアロナが紫色の光を帯びた矢で脳天撃ち抜かれてしまった。
「ぐはっ!」
「ベロ! クソ、が……」
クロネも矢で撃ち抜かれて倒されてしまった。
別視点。
木の頂上で一部始終を見ていた忍び衣装の三人組が地上に降った光について話し合っていた。
「さっきの光はなんだと思う?」
「分かりませんが、恐らくプレイヤーの攻撃でしょう。様子を見に行きましょうか?」
「いや、今行ったら、あれの二の前だろう」
鬼のお面を付けている人が矢で射抜かれたプレイヤーを見て言った。
片割れしているお面を付けている人が言う。
「そうですね。それに、今の騒動で周囲のクランが動き出したようです」
「ふむ。では、我々は当初の予定通りに行こう」
三人組は春名達の拠点に木々の隙間を縫って向かった。
「ん? 止まれ」
鬼のお面の人が二人に指示を出して、木の陰に隠れて様子を窺っていると、紫色の閃光が飛翔する。
「我らに気づいて?」
「いや、違うようだ」
犬のお面を付けている人の意見を鬼お面の人が否定する。
紫色の閃光はこの三組の方だけなく目的の場所から全方位に撃たれていることに気付く。
「威嚇射撃だろう、行くぞ」
二人は頷いて被弾せずに突き進んでいく。遠くから悲鳴が聞こえてくる中、彼らは進んで行く。
どうにか拠点に辿り着いた彼らは窓から中の様子を窺った。
「部屋の中には罠はない様子です」
「よし、透明化して探るぞ」
彼らはこっそりと音を立てずに、部屋の中に侵入した。
その瞬間、床が崩壊。犬お面の人が気付くのが遅くなり巻き込まれ溶岩溜まりに落ちた。
残りの二人は廊下に出て回避。それをみて鬼お面の人はもう一人に激怒した。
「罠はなかったではないのか!」
「私の【罠探知】にはなにも反応が無かった……!」
「そんなことがあるのか!」
「私のスキルは――! きゃあああああああ!?」
片割れの面の人はコガネの最も細い糸に触れた瞬間に、電流が走り床に倒れる。
鬼お面の人は小刀で糸を斬り罠を避けた。
「くそっ……どうなっているんだこの拠点は! やむを得ないか……!」
鬼お面の人は悔しがり床に煙玉をぶちまけ、窓から外に出て、持っていた巻物を使い自身の拠点に戻っていった。




