表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
283/433

第281話

 颯音と共に薄暗く歪んでいる木が生えている森でレベル上げを始めた。


「コクヨウ、シャドーエッジ!」


「ワフ!」


 月明かりに照らされたコクヨウの周りの影が蠢き、皮膚が爛れてボロボロのゴブリン――ゴブリンゾンビを切り裂いた。

 シャドーウルフに進化したことで影を操るスキルを覚えたんだな。

 てことは、颯音の攻撃パターンも増えるってことか。

 うん、もう颯音とは対戦したくない。


『ハルナ、私もやる?』


 俺の頭に止まっているニアが聞いてくる。


「うーん、ニアには最初だけ攻撃してもらうよ」


『はーい』


 ニアは翅を動かして黒い鱗粉を乗せた風が周囲に広がる。

 黒い鱗粉に触れたモンスターは次々と状態異常に掛かっていくが平気な顔してこっちに向かってくる。

 ……やっぱりアンデッド系には状態異常の攻撃はほとんど効かないか。まぁ少しダメージ入ってるし結果オーライだな。


「それじゃ……」


 球体と一体化していたハガネが共鳴を解いてゴブリンゾンビに突撃する。

 大きな顎を開くと淡いオレンジ色の光を帯びて、鋭い顎でゴブリンゾンビを倒していく。

 ハガネの顎の切れ味はピカイチだな。

 大体倒し終えて戻ってきたハガネの頭を撫でた。


『ニアも撫でて!』


「はいはい」


 撫でやすい高さで滞空しているニアの頭を撫でた。


「春名、コクヨウの獲物にもニアのスキルが当たったんだけど……」


「敵モンスターの動きが多少鈍っていたから倒しやすかっただろ?」


「無くても楽勝だった。そうだろう? コクヨウ」


「ワフ!」


 コクヨウは颯音の意見に同意するように鳴いた。


「次からは気を付けるよ。颯音、そろそろ時間だからもど……ハガネ?」


 ふらふらと飛んでいくをハガネ呼び止めるも、一瞬俺を見てからまた飛んでいく。


「どうしたんだ?」


「さあ? 俺は後をついて行くけど、颯音はどうする?」


「面白そうだしついて行くぜ」


 周囲を見渡しながら進んで行くハガネの後を追って森の中をしばらく進むと、一本の木の前に止まり、根元を掘り始めた。


「ここになんかあるのか?」


「……」


「ハガネ、聞こえてるか?」


「……」


 ハガネは一心不乱に根元を掘ってて俺の声が聞こえてない。

 その顎で掘るのは時間が掛かると思うだけど……


「クロガネ、手伝ってくれ。あの調子じゃ時間が掛かる」


『はぁ……仕方ないわね』


 溜息を零すもクロガネは共鳴を解除して、ハガネの隣に行き、掘っているハガネを押し退けてクロガネが代わりに掘り出す。


『ハガネ、地中にある鉱石のところまで掘ればいいの?』


 ハガネは頷いた。

 クロガネには地中に眠っている鉱石を探すスキルを持っている。

 話しを聞く限りハガネは鉱石を探していたっぽい。なんの鉱石だろうか。


「春名! 敵モンスターが来るけど、まだ時間掛かる感じ?」 


「まだ掛かるっぽい。任せて良いか?」


「おう、任せろ。コクヨウ行くぞ」


「ワフ!!」


 歪んだ顔が付いた大木のモンスター――ナイトメアトレント二体モンスターを颯音に任せて、俺はクロガネを見守った。

 しばらく掘り進めていくとハガネが探していた鉱石が姿を現す。


「おおお! 琥珀石だ!」


 ハガネが探していたのは進化に必要な石の琥珀石だった。

 それもサッカーボール並みの大きさ。こんなデカいのもあるんだ。


『これでいい……?』


 クロガネが聞くとハガネは激しく頭を上下に振った。

 ハガネは琥珀石の上に乗ると強烈な光が放たれ、ハガネの体はみるみるうちに巨大化していく。光が収まる頃には背中に人が二人ぐらい乗せる程に体が成長していた。

 足の部分と翅の部分には刀身がオレンジ色の刃が付いている。


「スラッシュアンバースタッグビートル……名前長いけど、かっこいいぞハガネ」 


「春名あああ! 助けてくれえええ! ちょっ!? 待っ!? 」


 颯音を見ると、モンスターの枝に拘束されて身動きが取れないでいた。しかも、枝が変な絡まり方をしている……友達のそんな姿見たくなったぜ。

 コクヨウも捕まっているし、さっさと助けに行こう。


「行くぞ、ハガネ」


 ハガネの背に乗ると、俺の前にクロガネがぴょんと飛び乗ってくる。ニアは俺の背中にぎゅっと足で掴む。


「振り落ちちゃうから共鳴した方がいいぞ」


 そう言っても二体は球体と一体化しない。


「ちゃんと掴まっていろよ。ハガネ!」


 オレンジ色の翅を動かして、ハガネは木々を切り倒しながら接近していく。

 右側に居たナイトメアトレントにハガネは突っ込み顎で挟み、引き離す。そのまま木にぶつけて、ハガネは一気に上昇した。


「ニア! クロガネ! しっかり掴まっていろよな!」


 二体が掴まっているのを確認してから、ハガネの背から飛び降りる。

 それに合わせて、ハガネは球体と一体化して共鳴をする。

 俺の右手には鞘が付いた、かなり刀身が長い刀が出現した。

 鞘を抜くと、綺麗なオレンジ色の刀身が姿を現す。

 俺は刀をもう一体のナイトメアトレントに上空から振り下ろした。


「【共鳴技・神速一閃【絶】】」


 振り下ろされた刃はナイトメアトレントを真っ二つに引き裂くと、無数の斬撃がナイトメアトレントを襲い、あっという間に体力を削り、ナイトメアトレントは消滅した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ