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第278話

 転移門を潜った先は黒めの煉瓦で出来た建物を淡いオレンジ色の光を放つ街灯が照らしていた。建物からも優しい光が漏れている。

 見上げれば赤と青の月が二つ浮いていて星がハッキリと見えた。

 ……都内ではみれない景色だなぁ。


「すげぇすげぇ!」


「海都さん、小さい頃に旅行で行ったグアムを思い出すわ」


「そうだな」


 興奮している颯音と昔の記憶を思い出している海都と雫恩。


「わあ~……綺麗……! ねぇ! 一緒に写真撮りましょう!」


「いいですね。その前に場所を移動しません? 他のプレイヤーの邪魔になりますし」


「それもそうね。絶景スポット探すついでに街を探索しましょう!」


 モレルさんの提案で写真を撮ることになり、絶景スポットを求めて街を探索することに。

 この街は中央の大通りに沢山の店が並んでいて、東側にはプレイヤー向けのお店が揃っている。西側の方にはNPCの民家や公園などの憩いの場があった。

 俺達は公園のベンチに座り休むことにした。


「写真を撮る場所はもう決まりました?」


「んーどこも良かったけど、あんまり時間を掛けるのもフィールド探索時間減っちゃうし、ここの噴水のところでいいかな」


「モレル、優柔不断なんだから」


「ごめーん。それじゃみんな集まって」


 噴水の前に左側に俺と颯音、海都。右側にモレルさん、ルーシャさん、雫恩に別れてスクショを撮った。


「写真も撮ったしそろそろ行きますか」


「フィールド全体見たいし、空から行かね?」


「それもありだな」


 周りに人が居ないのを確認してからクモガネとアカガネを呼び出す。

 きょろきょろと周りを見渡してから二体は俺の肩に止まる。少し重い……


『ここ、どこ? 真っ暗なんだけど……』


「ここは新エリアの常夜って場所だよ。今からフィールドに出て探索するから共鳴を頼んでいいか」


『いいよ、任せて』


 クモガネとアカガネが共鳴をして赤と白の翅を展開。


「ヒスイ、ギン」


 颯音が二体の狼を呼び出す。


「海都と雫恩はヒスイ。モレルさんとルーシャさんはギンの背に乗ってください」


「いいの? ハヤト君はどうするの?」


「俺は空中移動するんで大丈夫です。よっと」


 颯音は軽々と高く飛び上がりなにもないところに着地した。


「それじゃ俺たちも行きますか」


 俺たちは高く飛び上がり街の外に出た。

 街の外は暗く街道っぽい道には等間隔に明かりが設置されているだけで、あとは月明かりだけでなかなかに暗い。

 生えている木も歪んでいるし、廃屋や墓場みたいなのも見える。


「春名! モンスターの反応だ。前方、五メートル先からブラッドバットの…………群れがあったけど消滅した」


「消滅? 誰かが倒したってこと?」


「そうみたい……」


 立ち止まっていると前方から箒に跨ったプレイヤー二人が横を通り過ぎていく。


「ハルナさん……?」


 名前を呼ばれて顔を向ける。月明かりに照らされて箒に跨った人の顔が見えた。

 悪魔の島の件で一緒になったリンラン姉妹だった


「ランさん! お久しぶりですね。リンさんもお元気そうで何よりです」


 リンはそっぽを向いた。


「もうお姉ちゃんたら……ごめんなさいねハルナさん。そちらはお仲間さん?」


「はい、クランメンバーです」


「なかなかに強そうなメンバーだね。でも、クラン対抗戦は負けないわ」


「こっちこそ」


「お互い頑張りましょう」


 ランさんと握手を交わす。


「そう言えばあんた、どうやってモンスターの卵を孵化させてるのよ」


 突然のリンさんからの質問にどう答えようか迷い、みんなの顔を見た。


「別に隠している訳でもないし言ってもいいんじゃない?」


「リーダーは春名なんだから、好きにしろ」


「まぁ、そうだな」


 颯音と海都に言われ、伝えることにした。


「俺たちは孵化装置を使ってますよ」


「孵化装置? アトラさんのところの物と一緒?」


「孵化装置を完成させてたんだアトラさん」


「どういうこと?」


 ランさんが首を傾げる。


「俺たちが持っている孵化装置をアトラさんが参考にして作ったんですよ」


「初耳! そうだったんだ」


「あれ? 孵化装置が完成しているならモンスターをテイムしている人が増えていると思うんですけど、全然見かけないのはなんでだ?」


 俺の疑問をランさんが答えてくれた。


「孵化成功率が五パーセントぐらいだからだよ」 


「五パーセント!? ひっく……それじゃ全然居ないのも頷ける。うちのは失敗しないからな」


 そっぽを向いていたリンさんが言う。


「ラン、ハルナに孵化装置借りたら? その方がいいわよ」


「モンスターの卵を持っているんですか?」


「はい……さっきブラッドバットを倒して偶然手に入ったので、アトラさんのお店に行こうかなって」


「あーなるほど。それでしたらうちの使います?」


「え、いいの!?」


「構いませんよ。ただ、今日は新エリアの探索するんで明日のイベントの前……十一時ぐらいに海原エリアで待ち合わせでもいいですか?」


「その時間なら大丈夫」


「じゃあ決まりで」


「ありがとう! それじゃあまた明日! 冒険を楽しんで!」


 リンラン姉妹と別れ新エリアの探索を再開した。


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