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第266話

 樹海エリアの街を出て海都をアインに雫恩をツヴァイに乗せ、颯音はヒスイの背に跨り、俺は白い翅を展開してダンジョンになった巨樹――世界樹ユグドラシルに向かった。

 移動の間に俺は颯音にダンジョンのことを聞いた。


「颯音、ダンジョンの情報あれば聞きたいんだけど」


「前線組が公開している情報でいいなら」


「構わない」


「わかった。ダンジョンに入って最初に待ち受けるのが巨大な迷宮。通路はモンスターが徘徊していて、出現するモンスターはレベルは50。樹海エリアで出現するモンスターで構成されているみたい。ただ、その中にウォールキラーという壁の中を移動する面倒くさいのがいるんだけど、そいつはダンジョン限定の特殊なモンスターで前線組も苦戦したみたいだから要注意」


 話しを聞いていた海都が言う。


「迷宮は攻略済みなのか?」


「一応攻略されて次のエリアに行ってはいる」


「てことは、ゴールまでの道があるってことだな」


「実はこのゴール、一つのパーティーが通ると消えて別の所に生成される面倒くさい仕様なんだ」


「見つけたら早い者勝ちか……」


「それもあってプレイヤー同士で戦いが起きてしまっているのが現状」


 俺は颯音に質問した。 


「前線組は結局どこまで行ってんだ?」


「大迷宮を抜けると、二つのルートに分岐するんだ。一つが最短ルートではあるけど飛行しないといけないし、敵モンスターが特殊な個体しかいない難易度激鬼ルート。もう一つがモンスターはそこまで強くない代わり、罠が張り巡らされて、謎解きもあるギミック盛り沢山ルート。前線組は二つに別れて攻略しているみたいだけど、どっちのルートも苦戦中だって」


「なるほどな。どっちを選ぶのかはその時に決めよう。それでフォーメーションなんだけど、直ぐに対処出来るよに前衛は俺と颯音、海都は後衛からの索敵、雫恩は颯音のサポートで行こうと思う」


「わかった」


「任せてくれ」


「足を引っ張らないように頑張りますわ」


「雫恩、何があっても俺がサポートするから気楽にな」


 雫恩は頷き返したけど、まだ緊張している様子。俺も盾職として頑張ろう。

 しばらく飛行していると半透明な膜みたいなのくぐり抜けた。


「なんだ今のは?」


 颯音が答える。


「今のがダンジョンとフィールドの境界線」


「今のが? 世界樹までまだ距離あるんだけど」


「それぐらいの広い迷宮なんだよ。そろそろ降りよう」


 地上に降りるとすぐ近くの地面が盛り上がり扉が出現した。


「この扉を開ければダンジョンに入るんだな……開けるぞ」


 扉を開けて少し進むと見上げる程に高い石で出来た壁が姿を見せる。

 苔が蔦が絡まったり、ひび割れしている箇所があるな。迷子になりそうだな。

 辺りを見渡してもプレイヤーの姿がみえない。スタート地点はランダムっぽいな。これでゴール争奪戦か。出し惜しみはしないで行こう。

 俺はニア以外の面子を呼び出して準備万端にする。

 颯音はギンを、海都はリュウオウを共鳴をしてからコクヨウとリュウテイを呼び出した。


「春名、迷惑を掛けないからコクヨウを出しててもいい?」


「うーん、まぁいいけどさ。やばそうになったら戻してくれよ」


「分かってる」


「海都もだからな」


「おう」


「よし、行くか。あ、その前に」


 俺はインベントリにあるオベロンから貰った指輪を嵌めた。


「春名、その指輪は? 誰から貰った結婚指輪?」


 指輪を嵌めている所をみていた颯音がおかしなことを聞く。


「そんな訳ねーよ。この前のオベロン戦での報酬だよ。この世界樹の何処かにある隠し扉をあけるアイテムだよ」


「春名がここをどうしてもやりたかったのはそういうことか。報酬は山分けだからな」


「別にいいけど」


「約束だからな!」 


「はいはい。じゃあ行きますか」


「レッツゴー!!」


 俺の後に颯音、雫恩、海都の順に並び、大迷宮に足を踏み入れ


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