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第254話

 マザーアントの前に降り立つと少しずつ後退りし始める。


『有り得ない……! オベロン様から授かった力が通じないなんて、有り得ない! オベロン様に報告しないと!』


「逃がさねーよ! コガネ! 【共鳴技・スパイダースネット】!」


 全てのワイヤーを展開して逃げようとしているマザーアントを捕まえる。


『久シイノ人間ヨ』


 ワイヤーはマザーアントの手前で見えない力で弾かれた。

 木の上に居る奴を睨み見上げる。


『我ガ眷族ト戯レテイタヨウダナ』


 オベロンはゆっくりと降り、マザーアントの前に着地する。


『オベロン様、オベロン様! ご報告が! この玩具は危険です! 今すぐにでも――』


『黙レ』


 オベロンが手を翳すとマザーアントは見えない力で押し潰された。


『お、お許しをおおお! オベロン様ああああ!』


『我ガ眷族ニ敗者ハイラヌ……』


 マザーアントの体力は凄い勢いで減っていき、マザーアントは消滅した。


「お前……! 自分の仲間を!」


『何故貴様ガ憤ッテイルノダ? 我ノ眷族ヲドウシヨウガ我ノ勝手ゾ?』


 こいつとは相容れないなと俺は内心思う。

 マザーアントからのオベロンとの連戦……颯音たちにメッセージを飛ばしておこう。


『邪魔者ハ消エ去ッタ。次ハ……貴様ダ』


 オベロンからの早い一撃を盾で受け止めて後ろに飛び退く。

 そこからオベロンの連撃を喰らうが多少ダメージを受けたが防ぎ切った。

 一歩踏み出し、アインとツヴァイとドライの三体共鳴の戦槌を振り下ろす。

 簡単にオベロンに止められるが、フィーアとフュンとゼクスの三体共鳴である小型甲虫を展開して、追撃を入れる。


『小賢シイ』


 オベロンは太い根を操り、小型甲虫を叩き落そうとする。

 隙間を潜り抜け、体を捻り、思いっ切り戦槌を振り回す。


「ぶっ飛べ! 【共鳴技・グラビティインパクト】!!」


 オベロンの重力をほぼ無くしてぶっ飛ばした。


「春名だけ、ズルいぞ!」 


 俺の横をヒスイの背に乗った颯音が通り過ぎていく。


「悪い、もうちょっと見守ろうと思ったんだけど。颯音を止められなかった」


 あとから来た海都が申し訳なさそうに言う。

 俺は肩の力を抜いた。


「いいや、ちょうどよかったぜ海都。流石に連戦は疲れるわ。一発はぶん殴れたし満足」


「本音は?」


「もうあと三、四……十回ぐらいぶん殴りたい」


「どんだけ因縁があるんだよ」


「仲間を四体やられたんだ、それぐらいやり返したい」


「その分、私がやる」


 それだけ言ってルーシャさんも駆けていった。

 遠くで颯音がオベロンと戦い始め、ルーシャさんも加勢する。

 颯音とルーシャさんの連携すげえな。オベロンを押している。

 隣にいる海都が言う。


「春名、モレルさんがチャージに入った。合図が来たら、颯音とルーシャさんにオベロンを打ち上げてもらう予定だ。そこに合わせて技をぶつける」


「それなら俺も遠距離攻撃にするか」


 俺は盾を弓に変形させる。


「シロガネ、やるぞ」


『えーそれでやるの? まぁいいけど』


 シロガネは球体に戻り、弓の窪みに嵌る。

 弓の色が白くなり、握る部分が蜂の翅の見た目した装飾になる。

 しばらくすると、モレルさんから合図が送られてきた。

 ルーシャさんと颯音の華麗な連携でオベロンは上空に打ち上げられた。


「【超圧縮荷電粒子砲】フルバースト!!」


「【共鳴技・テラボルト】!!」


 モレルさんの高火力光線と海都の青白い雷撃が飛翔していく。それに合わせて、俺は矢を放った。

 矢は巨大な蜂の棘の形になると、二つの技は合わさり、オベロンに直撃し、爆発が起きる。

 爆風に巻き込まれないように木の陰に隠れやり過ごす。

 風が止み、オベロンの方を見ると、広範囲で樹海が綺麗さっぱりなくなっていた。

 ……これ、ニアが元の姿になった時、物凄く怒られそう。 


「っち。倒し切れなかったか……」


 オベロンの体力は半分まで減っていたが少しずつ回復している。

 攻めるなら今だな。


『我ハ王……我ハ森ヲ統ベル王……我ニ敗北ハアッテハナラナイノダアアアアア!!』


 目から赤い液体を流しながらオベロンが叫ぶと、地面が盛り上がり、蛇のように動く木の根が襲ってきた。

 俺は海都とモレルさんを回収して上空に逃げた。

 見下ろしていた海都が言う。


「あれはどうみても完暴走状態だな。見境なく暴れまくってるぞ」


「体力が回復し切る前に倒したいけど、近づければ……うわっ!」


 背中に何かが乗ってきて慌てて顔を向けると、満面の笑みのトオルさんだった。


「トオルさん!?」


「よっハルナ。楽しいことやってんな。俺たちも混ぜてくれよ」


「俺たち?」


 トオルさんが指差した方には、飛行船が三台浮いていた。

 デッキのところにはグレンさんたちと、悪魔の島攻略した時のメンバーが揃っていて、中には久しぶりに見たカレンさんもいた。


「最強の助っ人だろ?」


「最強っていうか戦力過多では? ありがとうございますトオルさん。でも、倒すのは俺たちですよ?」


「そこは早い者勝ちだろう。負けねぇぞ?」


「こっちこそ」


「そんじゃやっちまおう! 行くぞてめえら!」


 一斉に飛行船から飛び降りた面々と入れ替りに颯音とルーシャさんが戻ってきた。


「ハルナ君、私もう撃てないから飛行船にいるよ。ごめんね、最後まで力になれなくて……」


「いえ、凄く助かりましたよモレルさん」


 モレルさんを飛行船まで連れて行く。


「じゃあみんな気を付けてね! 私の分まであいつをぶっ飛ばして!」


「はい、行ってきます!」


 

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