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第244話

 数時間後、颯音と海都も拠点に来る。

 俺を見つけるなり颯音が少し怒った様子で言ってくる。


「抜け駆けはズルいぞ!」


「別に約束してないけど?」


「そ、それはそうなんだけど……泊まりに来ている友達を置いて普通ログインする?」


「まぁまぁ落ち着けよ颯音」


 海都が颯音を宥める。

 ……一回してるんだけどな。


「で、春名は早く来て何してたんだよ」


「コガネの進化条件を揃えているのと、アインたちビートル隊とハガネを進化させていたんだよ」


「なるほどな。で、この後の予定は?」


「レベル上げに行こうと思うけど、二人とも一緒に行かないか?」


「仕方ないな。春名には俺がついて行かないとね」


 俺は内心疑問に思ったけど口に出したら面倒くさいことになると思い黙った。

 颯音が聞いてくる。


「どこでレベル上げするんだ? 今の樹海だとレベル上げはキツイし……」


「砂漠エリアと火山エリアじゃ全力出せないし、沼地エリアは個人的に行きたくないから、消去法で海原エリアだな」


「そうなると……海賊狩り?」


「海賊狩りやるなら、ログインしている雫恩を連れて行ってもいいか?」


「別にいいけど、家の中にいるから本人に聞いてからにしよな」


「家に居るのか。わかった」


 海都は家の方に走っていく。

 少し待っていると、海都の後ろから雫恩とウィルがついてくる。


「ハルナさん、僕も連れていってもらいませんか?」


「うーん、かなり危険だぞ?」


「自分の身は自分で守れます。お願いします」


 頭を深く下げるウィル。


「無茶しないこと。これを守れるなら連れて行くよ」


「はい!」


 嬉しいそうにするウィル。

 いつも拠点にいるから体を動かしたかったんだろう。


「よし、じゃあ行きますか」


 コガネたちを回収して船に乗り、海原を探索していく。


『髑髏の岩を見つけた。準備はいい?』


 操縦室にいる颯音がスピーカーで髑髏の岩を見つけたことを教えてくれた。


「突入してくれ」


『了解!』


 船はゆっくりと髑髏の岩に近づくと目の部分が光りだし三隻の海賊船が出現した。

 そのうち一隻は他の二隻より倍の大きさで豪華。あの一隻に船長がいそうだな。


「三隻いるなら別々でやる? 俺とウィル、海都と雫恩、颯音で」


「良いと思うけど、回復が厳しいから蜂兵貸してくれね?」


「俺じゃ回復量と速度が遅いから直接シロガネから貸すよ。それなら安心するだろう」


「おう」


 操縦室に居る颯音にはスピーカーで伝えると、船は停止して少しすると颯音が船内に戻ってくるタイミングで船の周りで水柱が立つ。

 ……大砲を撃ってきたか。船の耐久力は以前よりも上がっているから余裕だな。


「俺とウィルで船長が居そうな船を行く」


「えー俺も行きたい」


「今度は譲るから我慢してくれ」


「課題を手伝ってくれるなら我慢する」


「お前な……わかったよ。そんじゃ船を仕舞ったら合図だ。雫恩、これを渡しておく」


 俺は雫恩に新しく追加した水中呼吸器を渡した。


「じゃあ行くぞ」


 船をインベントリに仕舞い、俺たち四人は海の中に飛び込んだ。

 俺はアオガネを呼び出しウィルと颯音を回収、海都はリュウオウを呼び出して雫恩を連れて海賊船の真下に移動し、同タイミングで海上に出て、海賊船に乗り込んだ。


「ヒスイ! ギン!」


 二体の狼を呼び出した颯音は直ぐに共鳴して別の船に向かった。


「敵襲だ! 生きて返すな! 殺せええええ!」


 次々と海賊が現れ、突撃してくる。

 俺は【ラウンドフォース】を展開して攻撃を防ぎつつ、シロガネを呼び出す。


「シロガネ、海都のところに【治癒蜂兵】を送ってくれ」


『またこいつらと戦ってんの? 仕方ないなぁ~』


 シロガネは緑色の蜂兵を二体召喚して海都と雫恩がいる船の方に飛んでいった。

 ドーンと颯音が向かった船から爆発音が聞こえてくる。


「派手にやってんな。ウィル、緊張しているか?」


「少しだけですけど……」


 シロガネに視線を送ると追加で【治癒蜂兵】を召喚してウィルの肩に止まった。

 呼び出せないディルたち以外を呼び出す。


「ウィル、俺たちがついているから思う存分戦え」


「はい!」


 ウィルの背中を押すと少し緊張が解れたようだ


「自由に暴れてこい!」


 【ラウンドフォース】を解くとコガネたちは一斉に動き出し海賊たちを倒していく。

 ウィルも最初は危なっかしかったけど、慣れてきたのか動きの無駄が減り、スムーズに海賊を倒していく。

 ……俺のサポートなくても大丈夫そうだな。


「貴様ら! いつまで時間を掛けている!」


 海賊を倒し続け、三十分ぐらいでようやく全身黒い服装の船長が現れた。



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