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第233話

 花畑が出来上がるとシロガネは早速蜂兵を召喚して、花の蜜を集め始める。

 そんなシロガネの元にアカガネとクロガネ、ニアとヘイムンダの四体が集まってきてわいわいがやがやと賑わう。ちょっとした女子会だな。

 四体の話を耳に入れながらどんどんと進めていく。

 アインたちは樹液が出る大樹だっけ?

 ……苗が必要か。どこで売ってんだろう? 自分で取りに行く系かな。

 クロガネは砂場だっけ?

 クロガネを見ると目が合った。


『なによ……?』


「え、あー……前にさ、砂場が欲しいって言ってたけど……」


『もう砂場はいらない』


「そう、なの? クロガネがいらないならいいんだけど」


『代わりに鉱脈』


「鉱脈? あるかな……ちょっと見てみるよ」


 俺は一覧を見て探す。


「鉱脈は無いけど洞窟みたいのはあるみたい。ただ、木材が足りなくて梁が作れないから今は出来ないかな」


『……そう』


 少しだけ落ち込んでそうなクロガネ。


「す、直ぐに作るからちょっとだけ待ってて!」


 俺は全員を戻して樹海エリアに飛んだ。

 いつも青空の樹海エリアが珍しくどんより雲が広がっていて、街もほとんど活気がなかった

 思考が少し止まって、そっとマップを開く。


「沼地エリア……押し間違えた……」


 俺は深く溜息をつく。

 まぁここでも木材は取れるか。それに、ヒガネも用事があるみたいだしねちょうどいいな。

 マザースパイダーと戦う気がするなぁ~。気を引き締めて行こう。

 街を出た俺はニアたち五体以外を呼び出して、【共鳴】をしてもらう。


「ヒガネ、木材を取ってから行きたい場所を教えてくれ」


『わかった。その時言うよ』


 じめっとした道を進んでインベントリにあるヴェルガから借りっぱなしの斧を取り出して、木を倒していく。

 ある程度切り倒して木材にしてから回収をしているとコガネが話しかけてくる。 


『ハルナ、モンスターが遠くから監視している』


「あーなんか視線を感じると思ったら……襲って来ないってことは虫系のモンスターかな?」


 シロガネが答えてくれる。


『隠密蜂兵で偵察してみたけど、コガネとヒガネみたいなモンスターが沢山いるねー』


「隠密蜂兵? 蜂兵の種類が増えたんだな」


『銃撃蜂兵もいるよ~』


「へぇーすごいじゃんシロガネ」


『まぁね!』


 共鳴して表情が見えないけどドヤ顔してそうだなシロガネ。

 コガネとヒガネみたいなモンスターってことは蜘蛛系か。てことは、マザースパイダーの眷族?

 まぁどっちにしろ警戒は必須だな。

 俺は知らない振りをして木材を集めていき、三十分ぐらいで必要な数が揃った。


「ヒガネお待たせ。場所まで案内してくるか?」


『遠くだから飛んだ方が早いよ』


「そんな遠くなんだ。わかった」


 赤と白の翅を展開して飛び立つ。

 しばらく上空を移動していると、マザースパイダーがいる大木が見えてくる。


『あの大木の先に行きたいの』


「わかった」


 俺は高度を上げて飛行を続ける。

 大木の上空に差し掛かり見下ろしたけど、マザースパイダーの姿はどこにもなかった。

 あの巨体が見えないのは地中に潜って寝ているのかもしれない。

 大木を越えて少し進むと毒々しい色をした大きな湖が見えてくる。


「触れただけで色んなデバフが付きそうだな。ヒガネ、目的地はあそこでいいのか?」


『近くに降りてハルナ」


 ゆっくりと地面に降りると、ヒガネは共鳴を解いて毒々しい湖に歩いて行く。


『ハルナ、あの湖に触れちゃいけないから。いくらハルナが耐性を持っていたとしても絶対に触っちゃだめ』


「言われなくても触んねーよ」


 それからと、ヒガネは続ける。


『ハルナ、もう一つお願いがあるの。マザースパイダーの襲撃があるから時間稼ぎをして欲しいの』


「了解。コガネに任せておけ!」


『僕なの!? そこはハルナでしょうが……』


「男を見せるチャンスだぞコガネ!」


『え、ええ……』


 そんな会話をしているとヒガネから笑い声が聞こえてくる。


『はぁ……笑った。じゃあお願いね?』


「おう、行って来いヒガネ」


 ヒガネが湖に入っていくのを見送る。

 座って待っていると、木々をなぎ倒しながらマザースパイダーが姿を見せる。

 沼地エリアのボスモンスターの眷族であるマザースパイダー。目的は時間稼ぎだけど、倒す勢いで挑まないとやられる可能性は十分にある。本気で行きますか。



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