表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
233/433

第232話

「クモガネ、アオガネ。大丈夫か?」


 煙が晴れて二体の体力を確認。うん、減っていないな。

 コガネのスキルは敵味方関係なく攻撃するものだけど、俺のシールドで二体にはダメージが及ばなかったみたいだ。


『僕のことは心配しないの?』


 コガネがジッと見てくる。


「コガネはダメージが無いだろ?」


『まぁそうだけど……』


「あ、そうだ。ご褒美はなにがいいんだ? コガネ。甘いもん?」


『あれ食べたい! 串焼き!』


「串焼きか」


 俺はインベントリにある串焼きをコガネに渡した。

 美味しそうに食べるコガネを見てアオガネは興味津々だ。


「アオガネも食べるか?」


 そう聞くとアオガネは頷いた。

 俺はアオガネの口の前に串焼きを持っていくと、アオガネは美味しそうに頬張った。


「クモガネも食うか?」


 クモガネは頭を横に振った。


『僕はいらない。ご褒美は冷たい部屋ね?』


「冷たい部屋? あー前に言ってた奴か。別にいいけど作れるか見てからな」


『約束だよー』


 クモガネに言われて、みんなの要望を聞いていたことをすっかり忘れていたな。

 みんなの要望なんだっけな。

 そんなことを考えていると足音が聞こえ、振り返るとウィルと、少し怒った様子の颯音が近づいてくる。


「さっきの雷は春名だよな?」


「え、そうだけど……どした?」


「雷のせいで船の機材が全部壊れたんだけど?」


「マジ、で……? 完全に動かない感じ?」


 颯音は首を縦に振った。


「【ラウンドフォース】で船ごと守ったんだけど、ダメだったか……すまん」


「まぁいいさ。あの大群を倒すためにやったんでしょ? しゃーないよ。街で修理できるかか聞いておくよ」


「わるいな。船は任すわ」


 俺たちは一旦、アオガネの背に移って、颯音は船を回収した。


「んじゃまたあとで」


 そう言って颯音は目の前から消えた。


「俺たちも帰るか。泳いでいく? それとも飛んでいく?」


「前はどっちでしたっけ?」


「前? うーん……飛んで帰った気がするけど」


「じゃあ泳いでいきます。アオガネ、よろしくね」


 アオガネの背を撫でるウィル。


「任せてだって」


 そうウィルに伝えると凄い勢いでアオガネが見てくる。

 そんなこと言ってないと表情を向けてくるアオガネ。


「あんまり無茶しちゃダメだからね」


 ウィルに水中呼吸器を渡して、少しだけ速度を落としてもらい海中を探索しながら拠点に戻ってこれた。

 拠点に戻った俺はコガネたちを呼び出して、俺は家の中に入った。

 自分の部屋に行くと、新しい扉が増えていた。


「そこ、僕の部屋です。昨日モレルさんに作ってもらったんです」 


「まじか。ごめん、俺がやるって言っておきながら後回しにして……」


「僕のことは後回しでも大丈夫ですよハルナさん」


 俺はウィルの頭を撫で呟く。


「そんなこと言うなよウィル。今日みたいに我儘言っても構わないからな」


「……はい」


 ウィルの頭から手を離す。


「部屋に入ってもいい?」


「ええ、どうぞ。何にもないんですけど……」


 ウィルの部屋にはベッドと本棚とテーブルに一人用の椅子があるだけの質素な部屋だ。


「ハルナさん、本をいただけますか?」


「あ、そうだったな」


 インベントリに仕舞っている本をウィルに渡すと、ウィルは本棚に並べていく。

 ウィルの部屋を出た俺は自分の部屋に入り、窓を開けて外を眺めるとコガネたちは自由に過ごしていた。

 今のうちにコガネたちの要望を叶えれるか確認しよう。

 まずは、クモガネだな。

 冷たい部屋は……あった。

 必要な材料は雪原エリアで取れる木材などか。予定を決めて行こう。

 あとは、花畑だっけ? シロガネの要望だったな。

 花畑……うーん、種がなくて作れないな。案外シロガネ持ってたりするかな。


「シロガネ、こっちに来てくれないかーー」


 呼びかけると面倒くさそうにシロガネが飛んでくる。


『なんか用?』


「なんか花の種とか持ってたりするか聞きたくて呼んだんだけど……持って――」


『持ってるけど?』


「持ってない……え、持ってんの?」


『うん。どれぐらい欲しいの?』


 シロガネはどこからか種を取り出して俺に見せる。


「これ、全部もらってもいいか?」


『いいけど……何に使うのよ?』


「花畑に使うんだよ。前に欲しいって言ってただろう?」


『忘れていると思ってた……』


 図星を突かれて俺は苦笑した。


「あはは……実は忘れていたんだよな……ごめん……」


『そんなことだろうと思ってた。まぁ作ってくれるなら許してあげる。早くやって!』


 急かしてくるシロガネに俺は聞く。


「どこかに作ってほしいとかある?」


『うーん、どこでもいいけど……家の周りが殺風景だし、家の周りでいいかな』


「わかった」


 シロガネから種を受け取り、画面を操作して家の周りに種を埋めていく。


「よし、全部埋めたな。咲かすぞー」


 開花のボタンを押すと、色とりどりの花が咲き乱れ、タイミング良く風が吹き抜け花弁が舞い上がる。


『わあああああ! ハルナ! ありがとう!』


 上機嫌に花畑の上で舞い踊るシロガネ。

 こんなに喜んでくれるなら早めにやっておけばよかったな。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ