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第229話

拠点に転移した俺はヘイムンダを呼びだした。


「ヘイムンダ、さっきのことを聞きたいんだけどいいかな?」


『ああ、さっきのね。ちょっと嫌な感じがしてね』 


「嫌な感じ? 具体的には?」


『……あそこの祭壇に行くときは注意して』


 それだけ言ってヘイムンダは口を閉じた。

 俺の質問には答えないのか……まぁいいけど。 


「わかった。祭壇に行くときは気を付けるよ」


『……』


 ヘイムンダが顔を見つめてくる。


「俺の顔になんかついてる?」


『いいえ、なにもないわ』


 ふふふと笑うヘイムンダ。


「話し声が聞こえると思ったらおかえりなさいハルナさん」


 玄関のドアが開いてウィルが出迎えてくる。


「わああ、新しい仲間ですか?」


 ヘイムンダの周りをぐるぐると回り観察しだすウィル。

 そう言えば見せていなかったな。


「可愛いですね。あの、撫でてもいいですか?」


「ウィルが撫でたいって。あと可愛いってさ」


『仕方ないわね。特別に許可してあげる』


「良いってさ」


 ウィルは優しく丁寧にヘイムンダのことを撫でる。

 ヘイムンダも撫でられてまんざらでもない表情をしている。


「あ、オピオさんのお店見に行ってなかったな」


 時間をみるとそろそろ開店時間だった。


「オピオさんの店がやっているか見てくる」


「あ、はい。お願いします」


 ヘイムンダを戻して海原エリアに転移した。

 道なりに進んでオピオさんの店に行くとシャッターが降りていた。

 今日はやってないみたいだな。


「……お、ハルナかぁ……」


 か細い声が聞こえ振り返ると頭から血を流しているオピオさんが歩いてくる。

 俺は急いでオピオさんを支えた。


「すまんの……」


「家まで運びます」


 オピオさんを抱きかかえ家の中に連れていき椅子に座らせて、【治癒蜂兵】を使って傷を治していく。


「そんなボロボロで何をしたんですか……?」


「あはは……ちとやらかしてのう……すまんが押入れの中から着物を頼んでもよいか?」


 俺は頷いて、靴を脱いでから畳に上がる。

 押入れを開け、紺色の着物を見つけ、オピオさんに渡した。

 オピオさんはボロボロになった着物を脱ぐ。


「オピオさん、その肌……」


 オピオさんの肩周りに青色の鱗みたいのが付いている。


「あ、あはは……見られてしまっ――」


「見てません! 俺はなにも見てません!」


 俺は両目を手で隠して背中を向け見てないと大声でいう。 

 すると、オピオさんに肩を突っつかれ気まずそうな表情でオピオさんを見る。 


「ハルナなら見られても平気だから気にするな」


 オピオさんは近くにある椅子に座る。


「儂はな竜人なんじゃよ」


「竜人って……次のアプデで追加される種族ですよね。なんで……」


「お主のところにいるウィルと同じ理由じゃよ。まぁ儂の場合はより複雑じゃがのう」


 苦笑いするオピオさん。


「普段は鱗や羽はしまっているんじゃが、安心しきってうっかりだしてしもうた」


「羽! 羽あるんですか!」


「う、うぬ……見てみるか?」


「見てみたい!」


 立ち上がったオピオさんは少し離れて、青色のドラゴンの羽を見せてくれた。


「触っても?」


 オピオさん頷き、俺はゆっくり触る。

 リュウオウを触ったときと同じ手触りだな。


「も、もうそれぐらいにしてくれ。くすぐったいのじゃ」


「あ、ごめんなさい」


 手を離すと、オピオさんは羽をしまった。


「このことは秘密にしてくれると……」


「誰にも言いませんよ。その代わりになんであんなボロボロだったのか聞いても?」


「それは困るんだが……」


 困惑した表情を浮かべるオピオさん。

 これは言えない様子だな。


「わかりました。今のは忘れてください。あ、今からお店を開けます?」


「あ、ああ。読み終わったのか?」


「ええ。ウィルを連れてくるんで出掛けないでくださいね」


 そう言ってオピオさんの店を出て拠点に転移した。




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[気になる点] 誤字訂正、羽を見るところ「見たみたい」「見てみたい」
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