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第227話

「春名、起きてるか?」


 翌日の早朝、ドア越しに海都に呼び起され目が覚めた。


「おはよ……はぁ~……」


「おはよう。眠そうだな」


「……もう帰るのか」


「一旦な。また戻ってくるから荷物置いておいてもいいか?」


「別にいいけど。あ、海都」


 部屋に戻った俺は机の上に置いてある鍵を海都に渡す。


「ゲームしていたら出られないと思うから、鍵を渡しておくから勝手に入って」


「他人に鍵を渡すって……俺が悪い人間だったらどうすんだよ」


「うーん、そん時はそん時に考えるさ」


「能天気な奴。まぁ借りていくよ」


 海都を見送ってからリビングに行く。

 颯音が寝ている布団の隣には綺麗に畳まれた布団が置かれていた。その近くには海都の荷物が置かれている。


「はぁ~……眠い……」


 颯音もまだ寝ているようだしまだ寝ようかな。

 いや、朝飯食べたらログインしよう。

 颯音の分も作り、朝飯を食べ終わった俺はログインした。


「はあ! やああ!」


 ログインすると木人相手にウィルが剣を振っていた。


「ウィル、おはようー」


 剣を収めたウィルが俺の方に駆け寄ってくる。


「ハルナさん、おはようございます。ハルナさんお一人ですか?」


「おう。颯音はまだ寝ているし、海都は今日は来ないかも」


「そうなんですか」


「ウィルは剣の鍛錬か?」


「はい。昔からの習慣……なんです」


 剣を持ったウィルの瞳はどこか懐かしそうでどこか悲しそうだった。


「そう言えば、飯は食べたのか? まだなら、一緒に食べようぜ」


「はい!」


 家に入った俺はキッチンに向かい冷蔵庫を開けた。

 相変わらず食材は揃ってるなあ。


「何を作ろうかなぁ~」


「ハルナさん、汗を流してきますね」


「おう」


 ウィルが風呂に入っている間にちゃっちゃと飯を作ろっと。

 ていうか、拠点に風呂あったんだ。

 俺が知らない設備増えたんだろうな。


「え、もう作ったんですか?」


 少し髪が濡れているウィルが戻ってきて聞いてくる。


「おう。簡単なものだからな」


「……一緒に作りたかった」


「? なんか言ったか?」


「なんも言ってないです」


 ちょっと不機嫌になったウィル。

 どうしたんだろう……


「いただきます! 美味しい……!」


 パクパクと凄い勢いで食べ始めるウィル。

 機嫌が直ったようだな。

 俺も席について食べ始めた。


「今日はどこか行く予定なんですか?」


「森に行ってレベル上げの予定だけど、その様子だと読み終わった感じ?」


「もう大分前に読み終わっちゃって」


「そうなんだ。なら、時間になったらオピオさんの店がやっているか確認してくるから、やっていたら迎えに来るよ」


「わかりました」


「んじゃ、出かけてくるよ」


「はい、いってらっしゃいハルナさん」


 ウィルに手を振ってから家を出た俺は、転移装置に触れて樹海エリアに転移した。

 街を抜けて樹海エリアの入り口付近でコガネとシロガネを呼び出す。

 そして、ディルたち五体を呼びだした。


『ようやく我らを呼んだか』


 ディルから早速文句を言われて苦笑した。


「ごめんごめん。色々やることあってさ」


『ハルナ! ハルナ!』


 足元でグリーンキャタピラーのニアが名前を連呼する。

 持ち上げようとするとコガネが咥え上げて俺に渡す。


『ハルナ! ハルナ!』


「はいはい」


 ニアをあやしながら説明した。


「コガネとシロガネはこいつらのサポートに回ってほしい」


『僕たちだけで見るの? 他のみんなも呼ぼうよ』


「後で呼ぶ予定だ。ここらへんじゃレベル低いしみんなのレベル上げにはなんないだろう?」


『それならいいけど』


『ハルナ、兵隊を貸すから蜂蜜を集めてていい?』 


「え、兵隊を貸してくれるなら別にいいけど……あんま遠くには行くなよ」


『やった。来なさい、兵たちよ』


 シロガネは三色の蜂兵を召喚して蜂蜜集めに行った。 


「それじゃレベル上げをしますか。基本的に戦闘は任せるけど、なんかあったらサポートに入るから自由に戦ってくれ」


 ディルたちは頷き樹海を散策。俺とコガネは後ろからついて行き、戦闘を見守った。

 ディルたちのレベル上げは順調に上がっていくもニアはほとんど戦闘をしないせいで差が開いていく。


「うーん、ニアのレベルが上がんないな」


『最後の一撃だけニアにやってもらったら?』


「そうだな」


 コガネの意見を聞いて少しだけ作戦変更し、ニアのレベル上げ再開。かなり時間をかけてニアが進化できるレベルまで上げた。


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