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第226話

 クモガネが新しく習得したスキル【破滅の冬】の効果は火属性無効という完全耐性。弱点である火属性の攻撃を無効にするだけじゃなく、火傷も無効のようだ。

 ……え、このスキルチートじゃね? 


『ほ、本当に平気なの……?』


『もう……アカガネは心配性なんだから』


 アカガネは恐る恐る近づき体を寄せる。


『熱くない?』


『……うん』


 クモガネは優しい声で答える。


「なぁアイン……あそこだけなんか温度が違うと思うんだけどさ」


『主は知らないだろうと思うが、クモガネ殿とアカガネ殿は付き合っているぞ』


 アインからの驚きの情報を聞いて俺は目を見開いた。

 拠点で全員を出している時はクモガネとアカガネは大体一緒に行動しているのを見かけたはいたけど、そういうことだったんだな。

 全然そんな素振りなかったから気付かなかった。


「あのさ、知らないの俺だけ……だったりする?」


 アインは頷いた。

 俺だけ知らなかったのなんかショックだな……


『主、誤解がないように。クモガネ殿が自分から言うから黙ってほしいと言われたのだ』


「そうなんだ。……アイン、それ……俺に言ったらダメな奴じゃね?」


『はっ!? あ、主! 今のは聞かなかったことに!』


「分かってるって」


 涙目のアインの頭を軽く撫でた。

 クモガネとアカガネをほっといて、中ボスモンスターの方を見ると、颯音と海都のおかげで大分体力も削れていた。

 この調子なら二人だけで問題無さそう。

 まぁ二人の体力も減ってるし、回復はしておくか。【治癒蜂兵】を召喚して二人の体力を回復させる。


「春名! お前もやれよな!」


 颯音から文句が飛んでくる。

 しゃーない、やるか。


「クモガネ、アカガネ。もういいか?」


 俺が話しかけると二体はすっと離れた。

 知っているのに知らないふりをするのなんかもやもやするけど、クモガネの口から聞くって決めたし、忘れよう。


「えっと、そろそろ俺たちも戦いに加わるぞ」


 二体は頷き【共鳴】を使って、俺が指示する前に赤と白の翅を展開してくれた。


「今度は翅の数が増えてる……」


 翅は赤と白各四枚ずつだったのに大きさは同じで、各八枚になっていた。

 クモガネが進化したおかげだな、これは。

 試しに飛行してみると、以前よりもスピードも速く、飛行性能も上がっていた。

 俺はモンスターと同じ高さまで行くと、目線が合う。

 赤と白の翅を四枚ずつ両手に移動させ、高温な炎と極寒の冷気を圧縮させ合体させる。


「【共鳴技・フィンブルアンドラヴァル】」


 俺は手を伸ばしてくるマッドタイタンに向けて投げた。

 野球の玉ぐらいの球体はモンスターの手に当たると飲み込まれた。


「颯音! 海都! 物陰に隠れろ!」


 そう叫ぶと、モンスターは膨れ上がり、亀裂から赤い光が放つと爆発。そして、一気に凍り付く。

 モンスターの体力は微妙に残ったな。


「アイン」


『お任せを!』


 盾を槍に変形させて、アインが窪みに嵌ると穂先が氷の刃になり、モンスターの頭部に放り投げ、ようやくモンスターの体力はなくなった。

 地面に降りて息をつく。

 ガコっと音がして、音がした方をみると次の階層に続く階段が出現した。


「最後の最後で春名に持ってかれたけど、まぁクリアしたね。次の階層行くよね?」 


「行かない。また今度」


「俺も疲れたからパス」


「了解」


 俺たちは階段の近くにある結晶に触れて、クリスタルタワーの外に転移した。


「もうすぐ夜中なのにまだまだ人がいるんだなぁ」


「砂漠エリアのピラミッドよりは人気だからね」


「そうなんだ」


 クリスタルタワーを見上げてから俺たちは拠点に転移して、そのままログアウトした。

 戻ってきた俺たちは背伸びをして凝り固まった体を伸ばしていると、颯音の腹の虫が鳴った。


「お腹空いた……なんかないの?」 


「作るの面倒くさいからカップ麺でいいか?」


「おう!」


「海都もそれでいいか?」


「任せるよ」


 三人分のカップ麺にお湯を注いで出来上がるまで待っていると颯音が話しかけてくる。


「明日もクリスタルタワー攻略だね」


「俺はパス。他の子たちのレベル上げしに行く」


「海都は行けるよね?」


 スマホを見ながら海都は答える


「悪い、明日ちょっと家に帰るわ。夜には戻ると思うけど」


「家の用事?」


「まぁそんなところ」


「ちぇ。あ、そうだ。孵化装置は春名が持っているんだっけ?」


「孵化させたいから明日貸して」


「わかった」


 遅めの夕飯を食べ終えた俺たちは風呂を済まして直ぐに就寝した。




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