第225話
無事にヒスイとギンの進化を見届けてから階段探しを再開。
「「ワフ!」」
「え、マジで? 最高じゃんヒスイ! ギン!」
そう言って二体の頭を撫でる颯音。
俺と海都は頭を捻る。
「春名、海都。朗報、ヒスイとギンが階段の場所わかるって」
「「は!?」」
予想外なこと言われ俺と海都の驚いた声が重なった。
「ヒスイとギンは見つけれるスキルを手に入れたってことでいいのか?」
「隠されたものを見つけるスキル【宝玉の加護】ってスキルを覚えたみたい」
「それなら一気に登れるな」
「最終進化したことで手に入れたチートスキル……」
コガネたちも最終進化したらどんなスキルを手に入れるか楽しみだな。
「んじゃ行きますか」
颯音はヒスイの背に乗り、俺と海都はギンの背に乗った。
「ひゃっほーーーーーー!! すっげぇはやぇーーーーー!!」
進化した二体は以前よりも敏捷力が高いおかげか移動速度が段違い。
颯音は楽しそうにしているけど、俺と海都は必死にギンの毛を掴んで耐えていた。
「ワフ!」
「お、了解! 二人とも! 階段見つけたから、このまま突っ込む!」
「「はあああ!?」」
俺たちの意見も聞かず前方に見えた階段に突っ込んで、駆け上り八階層に到着。
二体の足は止まらず直ぐに階段を見つけ、九階層を抜け、あっという間に十階層に到着した。
十階層に着いて、俺と海都は直ぐにギンの背から降り、適当に腰を下ろして休んだ。
ぐったりした海都が小さな声で聞いてくる。
「春名……俺……生きてる?」
「生きてるから元気だせー」
海都に飲み物を渡して励ます。
「二人とも大丈夫か?」
平気そうな颯音に尋ねられ、俺と海都はジト目で返した。
「な、なんだよ……」
「「別に」」
十分休んでから颯音のスキルを使ってボス部屋に向かった。
ボス部屋の扉は開いていて、誰も挑戦していないみたいだ。
部屋の前でギンから降りて、戦闘準備してから部屋に突入した。
扉が閉まると、部屋の中央に中ボスモンスターが湧く。
天井まで届くほどの体格、マッドタイタンが姿を見せる。
「でっけぇな~……硬そうだなっ!」
モンスターは腕を振り回してきて、俺は盾で受け流しながら捌いていく。
遠くまで離れた海都は炎を纏った矢を放つも、モンスターの体力は僅かしか減らなかった。
「え、効いてない……?」
「春名! 海都! あいつは火属性は効かないよ!」
颯音は叫びながら伝えてくる。
「なんで今言うんだよ! ってあぶな!」
俺はモンスターの攻撃を避けながら颯音に文句をいう。
「説明はこいつを倒してからするよ!」
「リュウオウ!」
遠くの方でリュウオウを呼び出した海都。
相手が火属性に耐性があるならリュウオウの出番だな。
「クモガネ、アカガネ。羽を頼む」
『任せて。行くよクモガネ』
『わかった』
赤と白の翅が展開していく。
「あれ? なんか……白い翅が小さい気がする……」
同じ大きさをしていた筈の翅は何故か白い翅だけ小さくなっていた。
いや、赤い翅が大きいのか。
「まぁいいや、原因は後回しだ」
翅を動かすと、赤い翅が主体となっている。
飛行した感じはアカガネとの共鳴した時と似ているな。
『ハ、ハルナ! ご、ごめん……!』
クモガネから悲痛な声が聞こえた途端、共鳴が強制解除され、落ちていくクモガネを抱えて地面に落ちた。
「クモガネ!? 怪我は!?」
クモガネのステータスを確認すると体力が減っていて、火傷のデバフが付与されていた。
俺は【治癒蜂兵】を召喚してクモガネの体力を回復させる。
『クモガネ……ごめん……私……』
今にも泣きそうな声でアカガネが話しかけてくる。
『……少し休めば大丈夫だから心配しないで』
『で、でも……!』
「【ラウンドフォース】!!」
モンスターの攻撃が見えてアインを嵌めた盾でスキルを使い、氷属性の範囲防御を発動した。
その間にクモガネとアカガネを掴んで、モンスターから離れ、岩の後ろに隠れる。
幸い、颯音と海都の方にヘイトは溜まっているみたい。
後ろを振り返るとアカガネの前で元気な姿を見せるクモガネだけど、火傷のデバフはまだついていて少しずつ体力が減ってる。
アカガネは察して離れていく。
『なんで離れるの? 平気だって言ってんのに……』
『クモガネ、体力減ってるもん……』
『そうだけど……まぁいいか』
突然、クモガネから強烈な光が放たれた。
『ふぅーこれで平気でしょ?』
光が収まると、クモガネの翅は大きくなり、腹部に薄く氷の結晶の紋様が浮かび上がる。
クモガネはフィンブルモスに進化して、ステータスを見ると火傷のデバフは消えていた。




