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第223話

 レインさんたちと別れてから少し探索して、七階層に続く階段を見つけた。


「木の中に階段かぁ……無駄に凝っているな。こんな感じで十階層まで続くのか?」


「基本的に木の中……だったと思う。稀に階層の壁に生成されるんだっけ?」


「低確率だからあんま気にしなくていい」


「わかった」


 俺たちは階段を上って次の階層に向かう。

 その道中で俺は颯音に尋ねる。


「颯音、中ボスモンスターの部屋を見つけた時のように階段見つけれないの?」


「無理無理。俺のスキルで見つけれるのはボス部屋だけ。階段は見つけれない」


「そっか。見つけれるなら探索が楽になるんだけど、残念」


 そんな話をしていると七階層に到着。景色は六階層と変わらない氷樹の森だ。


「モンスターが来るぞー。数は四体」


「分かった」


 少しすると白銀の狼の群れが姿を見せる。


「おお、なんかギンみたいだな。あいつら倒してもいいのか?」 


「え、別にいいけど? むしろ、どんどん倒して欲しいぐらい」


 ギンとヒスイの同種だから躊躇するかと思っていたけどそんなことはなかった。


「そう? それなら遠慮なく」


 颯音が二体引き受け、俺と海都が一体ずつで特に苦戦することなく退けた。


「毛皮と牙大量ゲット」


 嬉しそうに素材を回収する颯音。


「うーん、まだまだいるなぁ……」


「なんかに使うのか?」


「ヒスイとギンの次の進化に必要なんだよ。全然足りないけどね」


「ふーん」


 俺はインベントリを確認したけど、素材は一つも持っていなかった。


「悪い、俺は持ってないや」


「俺は少しだけなら持っているけど、いるか?」


「いる! 助かるよ海都!」


 海都から素材を受け取った颯音はインベントリに仕舞った。


「結構いるのか?」


「かなり必要。同モンスターを倒し続けているけど全然足りない。あ、そうだ。二人とも協力してほしいことがあるんだ」


 俺と海都は耳を傾ける。


「ヒスイとギンのスキルを使ってモンスターを集めるから、一緒に倒して欲しい」


「別にいいけど、どれぐらい集めるんだ?」


「うーん、この階層にいる狼系統が集まるからなぁ……わかんない」


「わかんないのか……まぁ倒せなかったら颯音が倒せよ」


「そうだな」


「ええ! そこは協力してよ! 流石の俺でも疲れるよ……」


「はいはい。ほら、始めろよ」


「ヒスイ、ギン」


 【共鳴】を解除した二体の狼は颯音の隣に並ぶ。


「全力で行くぞ!!」


「「ワフ!」」


「「「ウオオオオオオン!!」」」


 何故か颯音も一緒になって耳を塞ぎたくなるほどの大音量で遠吠えし始める。

 遠吠えが止み少しすると、地面が揺れ始め、遠くの方で雪煙が起きていた。


「あー二人とも、気合入れろよ」


「聞きたくないけど、何体いるんだ? 海都」


「ざっと百体は超えた。で、まだまだ増えているぞ」


「マジか……颯音、集め過ぎだ!」


「……てへぺろ」


 少しだけイラっとして颯音に告げた。


「お前……課題見ないからな」


「嘘! 冗談だってば! こんなに集まるのは予想外なんだよ! てか、居すぎだろこのエリア!」


「そろそろ来るぞ!」


 俺たちは無我夢中で迫りくるモンスターを倒していく。

 これはゲーム終わったら颯音に色々と要求してやろうと俺は内心思った。


「倒しても倒しても数が減らない!」


「増加は止まってるから、これを凌げたら終わるぞ!」


「了解……!」


 海都からの知らせで少しだけやる気を戻し、被弾も増えたけど、どうにか耐え切った。

 疲れた俺は木を背にして座った。


「はぁ……疲れた……颯音、帰ったらなんか奢れよー」


「俺もな~……はぁ……しんどい……」


「お、おう」


 素材を回収している颯音にそういうと苦笑いを浮かべた。


『ハルナ、なんか嫌な感じがする……』


 クモガネが耳元で伝えてくる。


「嫌な感じ?」


『なんか、見られている気がして……』


「海都、疲れている所を悪んだけど、この近くにモンスターはいるか? もしくはプレイヤー」


「ん? ……ん?」


 海都は立ち上がって目を細めて一点を見つめる。


「悪い知らせ、モンスターが一体こっちに近づいてきてる」


 そう言われ、俺も立ち上がって海都が見ている方を見てみたがそんな姿はなかった。

 海都は炎を纏った矢を放つと、景色が揺れだし、モンスターが姿を見せる。

 純白な毛皮を纏い、金色の瞳に、鋭い爪や牙を持ち、三本の尻尾を生やしたモンスターだった。

 モンスターの名前はフェンリル。なんかすげえ怒っているよにも見えるけど……


「颯音! モンスターが来たぞ!」


「え? ああ! やったあ! フェンリルが湧いた!」


 何故か嬉しそうな颯音。


「俺たちにあんな提案したのは、これが目的だったんだな」


「実際に素材は必要だったは嘘じゃないよ? フェンリルは湧けばいいなぁぐらいしか思ってなかった」


「ふーん、じゃああいつはお前に任せてもいいんだな」


「え、一緒に倒そうよ! あいつレアモンスターだよ?」


「疲れたからパス」


「右に同じく」


「えー! そんなぁ……」


「頑張れよー」


「骨は拾っとく」


「薄情者!!」


 颯音はそう言いながらフェンリルに突撃していった。


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