表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
217/433

第216話

「風……暑い……」


 背負っているルーシャさんからそんな呟きが聞こえてきた。

 ルーシャさんを落とさないように飛んでいるし熱風をもろに受けているから仕方ない。


「ハルナ、飛ばして!」


「流石に落ちますよー?」


「落ちても平気!」


「平気って……」


 俺は思わず苦笑した。


「ちゃんと掴まっているから飛ばして!」


 ギュッとルーシャさんの手に力が入る。


「……落ちても知りませんよ! アカガネ!」


『全力で行くよ!』


 ジェットエンジンから火が噴き、火山エリアの上空を凄い勢いで飛行して、あっという間に目的地に辿り着いた。

 速度を落として地面に降りる。


「ルーシャさん、大丈夫でした?」


 終始叫んでいたルーシャさんに心配して尋ねて見たけど、ルーシャさんの目はすっごくキラキラしていた。

 あ、これは絶叫系が好き人の目だな。 


「楽しかった! 帰りにもう一回!」


 まさか催促されるとは思わなかった。

 帰りは拠点に転移するつもりだったけど、これはもう一回しないとダメそうだな。

 そんなことを思っているとクロガネは【共鳴】を解除してテクテクと歩き出す。


「ついて行ってもいい?」


「良いですけど……用事の方は大丈夫なんですか?」


「うん、平気」


 俺とルーシャさんはクロガネの後を追って前に水晶を取りにきた洞窟に入る。

 クロガネは迷うことなくどんどん奥に進んでいく。何故かモンスターには遭遇することはなかった。

 大分、洞窟の奥の方まで来てクロガネは地面を掘りだした。

 様子を見守っているルーシャさんが尋ねてくる。


「クロガネは何してんの?」


「鉱石を探しているんじゃないかと」


「鉱石? なんで?」


「本人は言わないから推測になるんですけど、進化条件を達成させるために鉱石を探してると思うんです。進化条件に指定された鉱石を食べるってあるんですよ、多分それかと」


「へぇーそんな条件あるんだ。レベル上げて進化させるだけかと思ってた」


「そういう進化もありますけど、なんか通常……って言ってもいいのか微妙だけど、通常の進化しないんですよ」


「楽しそう……」


 ルーシャさんはぼそっと呟く。


「うちに孵化装置あるから使えばいいのに」


「モンスターの卵高騰中。自力で見つけないといけない」


「へ、、へぇー……ちなみにいくらぐらい?」


 耳元で囁かれた金額に普通に驚く。


「そんなに高いとは……ルーシャさんはどんなモンスターを狙っているんですか?」


「んー……鳥系……かなぁ」


「鳥系かぁ。見つけたらルーシャさんにあげますよ」


 ルーシャさんは首を横に振る。


「いい。自分で見つけたい」


「そうですかって痛!」


 足元を見るとクロガネが俺の足首を挟んでいた。


「なにすんだよクロガネ……」


『何度も呼んだのに返事がないハルナが悪い』


「え、ご、ごめん……」


『ふん』


 クロガネは歩き出し、開けた穴に近づく。


『ついてきて』


 そう言ってクロガネは穴に落ちていった。


「大丈夫?」


「え、ええ。まぁ大丈夫です。クロガネの後を追います」


 ルーシャさんを背負い、アカガネの機械な羽を展開して穴にゆっくり落ちる。

 底は暗く、俺は【蛍火】を使い辺りを照らす。

 そこには前回の比ではないほどの色とりどりの鉱石が生成されていた。

 その中でクロガネはひたすら鉱石をバリバリと食べている。


「凄く綺麗……少し採取していい?」


「いいんじゃないですか?」


「ん」


 ルーシャさんはインベントリからツルハシを取り出して鉱石に振り下ろした。


『ハルナハルナ! お花あったよ! 来てきて!』


 アカガネに呼ばれて行くとキラキラと真っ赤な水晶で出来た花が咲いていた。

 クリスタルフラワー……花でもあるが鉱石でもある希少な花かぁ。


「アカガネ、採取する?」


『蜜取るだけだから大丈夫!』


 アカガネはクリスタルフラワーに火を吹きかけると、クリスタルフラワーは光だしドロッと液体が垂れ始め、アカガネは近づいて舐めた。


「美味い……のか?」


『うん! 舐めてみる?』


「一口……」


 試しに舐めて見たけどなんとも言えない味で俺は微妙な表情をする。


『アカガネ、私にもちょうだい』


『いいよ~』


 クロガネも加わり一緒に蜜を舐める。

 俺はこっそりクロガネの進化条件を確認してみると条件は達成していた。

 まぁ条件が達成していようと進化するかどうかはクロガネ次第なんだけど。


「ハルナ、こっちはもう――」


 突然、洞窟全体が揺れルーシャさんは体勢を崩してしまい、俺は急いで支えた。


「ありがとう……」


「そろそろ戻りましょう」


「そうね」


 ルーシャさんを背負って立ちあがると、焦った様子のクロガネが言う。


『ハルナ、急いで飛んで……! 溶岩が迫ってくる……!』


「分かった。ルーシャさん、しっかり掴まっててください」


「ん。いつでもいいよ」


『私も使って』


 そう言って右腕に巨大なドリルが装着された。


「よし、脱出する」


 機械的な羽も展開させ巨大なドリルを使い、岩壁を壊しながら地上を目指した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ