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第213話

 俺は一気に駆け出して槍を突き出す。

 ヴェルガはバックラーで軽く受け流して剣で反撃してくる。

 槍を盾に変形させ、ヴェルガの攻撃を受け止め、弾き、距離を取った。

 すかさず、弓に変えて数発矢を放つけど、軌道を読んでヴェルガは矢を叩き切る。


「やるな、ヴェルガ」


「まだ本気出していないんだろう? ハルナ」


「今から出すよ。フィーア!」


『お任せよ!』


 弓を槍に変形させ、窪みに黒い球体と同化したフィーアが嵌る。

 十文字の穂先が薙刀の刃のような姿に変わり、穂先に風が纏う。

 俺は全力で槍をヴェルガに向けて投げた。


「ぐっ!?」


 凄い速さで飛んでいった槍をヴェルガは受け流せずに上空に弾く。

 フィーアの特性の風魔法で加速させたけどな。まぁ体勢を崩すことができたな。


「クモガネ、アカガネ」


『任せて』


『はーい』


 二体と共鳴し舞い上がり、弾かれた槍を回収。直ぐに弓に変形させる。


「アイン!」


『任された!』


 フィーアと入れ替わりアインが窪みに嵌る。

 弓の胴体と弦に霜が付き始める。

 俺は氷の矢を番え放った。

 矢は複数に分裂して氷の雨がヴェルガに降り注ぐ。


「【センチネル】!!」


 ヴェルガは盾を構えると金色に輝くオーラに包まれ、ヴェルガは被弾しながらも突撃してきて、空中でジャンプをして距離を詰めてきた。


「【共鳴技・フロストアンドフレイム】」


 俺は遠慮なく共鳴技をぶっ放して、ヴェルガを壁まで吹き飛ばした。


「イテテ……共鳴技まで使ってくれるなんてね」


「本気で行くって言ったからには、共鳴技を使わないと。まだまだあるぜ?」


「お手柔らかに……!」


 そうして俺とヴェルガは一時間程続けた。

 疲れ切った俺たちは大の字で寝そべった。


「ハルナ、今日はありがとう。楽しかったよ」


「俺も楽しかった」


 俺は体を起こす。


「コガネたちも今日はありがとな」


 そう言うとコガネたちは共鳴を解除して俺を囲う感じに集まる。


『ハルナ! 串焼き食べたい!』


『甘いのが食べたい!』


『雪原エリア!』


『蜂蜜の飲みたい!』


『ぼ、僕はなくても、平気だよ?』


 コガネたちはそれぞれ要求してくるなか、アオガネは無くても良いと言う。


「アオガネ、遠慮しなくていいからな?」


『う、うん……』


「ビートル隊もなんかあるか?」


 尋ねるとアインたちはお互い顔を見合わせてから頭を横に振った。


『ハルナ……私、沼地エリアにいきたい』


 ヒガネから意外な要求に驚く。


「俺は構わないけど……大丈夫なのか?」


『……マザーに会わなければ大丈夫』


 少し震えているヒガネ。まだマザーのこと怖いんだな。

 俺は優しくヒガネを撫でた。


「なんかあってもみんなでヒガネのことを守るから」


『……うん』


 疲れも取れた俺は立ち上がる。


「じゃあヴェルガ、俺は行くよ」


「俺はもう少し休んでいるよ」


「そう? じゃあまたな」


 コガネたちを戻して俺は訓練場を後にした。

 そのまま大通りに行き、馴染みの串焼き屋に向かった。


「おじさん、久しぶり」


「おお、あんたか! 久しぶりだな! あのちっこいのも元気にしているか?」


「もう俺を乗せれるぐらいまで大きく育ちましたよ」


「そうか! 見てみたいがここじゃ難しいな!」


「あはは……そうですね。あ、おじさん。かなり量多めでください」


「はいよ!」


 おじさんに代金を払って大量の串焼きが入った袋をインベントリに仕舞い転移門で海原エリアに向かった。

 ルーシャさんのお店の前に行くと、長い列が出来ていた。なんかあったのか?


「あの男の子の店員さん、可愛くない?」


「分かる! 可愛い過ぎ!」


 お店から出て来た人たちの会話が聞こえてくる。

 ウィルの事を言っているのかな?

 モレルさんにメッセージを送ると裏口から来てと返信が来た。


「モレルさ――」


「ハルナ君! ナイスタイミング! お願い手伝って!」


「え? ちょっ!」


 モレルさんに手を引かれて更衣室に連れていかれ、ウエイターの服を渡された。


「モレルさん、着替えましたけど……めっちゃ混んでますね」


「そうなのよ! ウィル君効果予想外よ! ウィル君まだ休憩入れてないから代わってあげて!」


「副店長!」


「今行く! あ、ハルナ君これ!」


 モレルさんから渡されたのは俺が貸したケモ耳のカチューシャだった。

 モレルさんはスタッフと一緒に厨房に入っていく。

 俺は溜息をついてから、ケモ耳のカチューシャを付けてレジに向かった。


「ハルナさん!」


「後は任せて、少し休めウィル」


「いえ、まだやれます!」


「……無理すんなよ?」


「はい!」


 俺も加わってどうにかピークが過ぎるまでには凌げた。 




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