第210話
ログインすると浜辺でリュウオウと戯れている海都を見つける。
近づいていくと砂を踏む音に気が付いて海都が振り向く。
「お、春名か」
俺は海都の隣に腰を下ろす。
「何してんだよ」
「リュウオウと戯れているだけ。はぁ~……」
海都は深いため息をつく。
「なんかあったのか? 俺で良ければ聞くけど……」
「ちょっと面倒くさいことがあっただけだから平気だ。気分転換にレベル上げ行こうぜ」
「あー……ごめん、ちょっと知り合いに会いにいくからからレベル上げいけないわ」
「そのあと暇だろう? 付き合ってくれよ」
「……仕方ないな、少しだけだからな」
「拠点にいるから終わったらメッセージ送って」
「わかった」
転移装置を使って樹海エリアに転移して、猛ダッシュでヴェルガの家に向かった。
ドアをノックすると中からヴェルガが出てくる。
「ハァ……ハァ……ご、ごめんヴェルガ……遅く、なった……」
「明日来ると思ってたよ」
「ちょっと色々あってさ」
「そうなんだ。斧を取ってくるから部屋で待ってて」
「いいよ、友達とレベル上げにいくからここで待ってるよ」
「わかった」
ドアが閉まり少し待っていると斧を持ったヴェルガが戻ってくる。
「はい、お待たせ」
「ありがとうヴェルガ、助かるよ」
ヴェルガから斧を受け取りインベントリに仕舞った。
「ヴェルガ、明日って仕事ある?」
「仕事? 明日は休みだけど」
「休みなんだ。それならさ、前に言っていた手合せしない?」
ヴェルガは目を見開く。
「忘れていたと思ってた……」
「ヴェルガとの約束だもん忘れないさ」
「今日のは?」
「うぐっ……! きょ、今日のはノーカン!」
そういうとヴェルガは口を抑えて笑う。
「それでいつ頃にする? 俺はいつでもいいけど」
「明日は、一日中家にいるつもりだからハルナが手が空いた時に来てくれればいいよ」
「そう? うーん、昼手前にいくよ。それじゃあまた明日」
「気を付けて」
ヴェルガに手を振り、俺は拠点に転移した。
拠点に戻ると辺り一面に蟹のモンスターの素材が散乱していた。
海都を探すとリュウオウと連携してデッカイ蟹と戦っていた。
俺は盾を飛ばして【ラウンドフォース】を展開して、蟹の攻撃を遮る。
「おっせーぞ春名! でも、ナイスタイミング!」
海都とリュウオウはスキルをぶっ放して距離を取り、俺のところまで後退する。
「海都、状況説明を」
「ウィルと話していたら急に来たんだよ。ウィルには避難してもらっている」
「了解、ちゃっちゃとあいつらを倒すぞ」
俺は新しく仲間になった五体を除いたメンバーを呼び出して数で物を言わせて蟹のモンスターを撃退した。
「ウィルの様子を見てくるから、素材の回収を頼んでいいか」
「おう」
俺は自分の部屋に向かってベッドの下にあるボタンを押すとガタっと近くで壁がスライドした。
「無事か? ウィル」
「ハ、ルナさん? どうして……」
「ちょっとやり残しがあって戻ってきたんだよ。怪我はなさそうだな、よかった」
ウィルの手を取り立たせる。
「カイトさんは?」
「少し体力が減ったけど、問題ない」
「よかった……」
俺とウィルは海都と合流しに行く。
「二人共! こっちに来てくれ!」
海都に呼ばれ駆け寄ってみると浜辺に宝箱が置かれていた。
「宝箱? なんで?」
「俺が知るかよ。とりあえず開けてみようぜ」
宝箱を開けると金貨とさっきまで倒してた蟹の素材を使った武具が一式入っていた。
「普通に報酬が入っていたんだけど。なんかのイベントだったんだ、これ」
「みたいだな」
前回のアップデートの内容には書いていなかったはず。隠しイベントかな。
「ふぅー……なんか疲れた。春名、レベル上げ一旦無しで」
「はいはい。そんじゃ先に落ちるわ。そうだ、聞いてなかったけど明日何時ぐらいに来るんだ?」
「昼手前かな」
「了解。じゃあお先。ウィルもおやすみ」
「おやすみなさい」
二人に手を振り俺はログアウトし、風呂を済まして直ぐに就寝した。




