第184話
前回投稿した分を削除して書き直しました。
「何しにいくんだよ」
「決まってんじゃん! 上位職に転職だよ!」
颯音の上位職はビーストテイマーと拳狼士の二つ。ビーストテイマーになるためにはテイムを十体以上か進化を十回以上。今の颯音では達成できない。ていうことは拳狼士の方だな。
前にあと一回進化させないとって言ってた気がする。丁度、ヒスイとギンが進化し、条件が達成したんだろう。
「拳狼士になるのか?」
「おう。そっちしか出来ないしね」
「ビーストテイマーにしないのか?」
「うーん、ヒスイとギンで十分だからいいかな。そういう春名はインセクトテイマーにならないの?」
「決めかねているんだよな。インセクトテイマーになるとコガネたちのステータスを強化できるのはいいんだけど、モンスター同士を合成できるみたいなんだ」
「へぇー、そんなこと出来るんだ。その際って自我ってどうなるの?」
俺と同じ疑問を颯音が聞いてくる。
「さぁ? 合成について詳しい内容が書いてなかったからわかんね」
「やってみないと分からないってことか……でも、合成するの怖いな。どっちかの自我しか残らないってこともあるだろうし、最悪どっちも消えて新しい自我が芽生えるとかもあり得るんだよな」
「そうなんだよ。気軽に合成出来ないとただのコガネたちのバフ役ってだけじゃん。なんかなぁ……だからインセクトテイマーになるか渋ってんだよ」
「そっか。じゃあもう一つの改造盾士に? あ、でもまだ条件達成してなかったっけ?」
「残りのSPを全部振ってどうにか変形回数増やせたからいつでも達成できるようにはしている」
「いつのまに。とりあえず改造盾士にしてみれば? まだ先だけど課金アイテムで転職リセットするアイテムが出るんだよ。一回しか購入が出来ないんだけどね」
「どこ情報だよ、それ……」
俺は颯音を疑いの目で見る。
「今日出た情報だけど……見てないの?」
「まじで? 朝からログインしてたから知らなかったわ」
ログアウトしたら見ておこう。
「それなら改造盾士にしてみるか。となると……訓練場に行くか」
「なんで訓練場に?」
「まだ変形させてないからそこでやろうかなって」
「拠点でよくね?」
「知り合いに会いに行くついでだよ。じゃあ俺は行くよ」
「おう、またあとでな」
組合所に行く颯音を見送ってから一旦拠点に戻ってから樹海エリアの街に転移した。
訓練場に着いた俺はゆっくりドアを開けて中に入る。
「お、久しぶりじゃねーか!」
カウンターにいたガイアスさんは立ち上がり俺の方に歩いてきて、俺の肩に腕を回す。
「ガイアスさん、元気にしてましたか?」
「あたりめぇだ。おめぇこそなにしてたんだよ」
「色々……ですね」
「今度詳しく聞かせろよ。それでここに来たってことは部屋を使うんだろう? 何用意するんだ?」
「あ、近接武器をあるだけお願いします」
そう言うとガイアスさんはにやりと笑った。相変わらず顔が怖い。
「直ぐ持ってきてやるから部屋で待ってろ」
ガイアスさんが案内してくれた部屋で待っていると地面から大量の武器が乗った横に長いテーブルが出現する。
「待たせたな。ここで見ているから好きなだけ武器を使え」
「仕事しなくていいんですか?」
「人なんてこねぇから気にするな」
「そうですか」
俺は遠くで見ているガイアスさんのことを気にせずに。色んな近接武器を試してみた。
時々ガイアスさんが指導してくれた。
そうして、一時間ぐらいかけ納得いく武器を見つけ、俺は呟いた。
「【トランス】」
白い球体の姿が変わっていく。俺の身長よりも長い柄に、鋭い穂先の両側には鎌がついている十文字槍になった。
【トランス】から【トランス・トリックスタースピア】になり【エキストラトランス・レゾナンス】に統合された。
この槍の効果はシンプルで柄の伸縮のみ。シンプルで分かりやすいし、虚を衝きやすいな。
俺は木人に攻撃してみる。自分の意思で伸縮できるのな。うん、使いやすい。
「面白い特徴してんな」
ガイアスさんは楽しそうな表情で俺の肩に腕を回してくる。
俺は武器をしまう。
「もう行くのか?」
「はい、もう昼過ぎなんで一旦落ちようかと」
「そうか。また来いよ」
「はい。それじゃあ」
ガイアスさんにお辞儀してから部屋を出て、訓練場をあとにする。大通りに出てから俺はログアウトした。




