第151話
暗くてジメジメとした通路をランタンの明かりだけでしばらく進んで行く。
前衛に俺、中衛に颯音、後方に海都。アオガネはすぐ横で流れている水の中からついてきてもらっている。
アオガネには水中からのモンスターを索敵。地上は海都に任せている。
「モンスターの反応。この先に三体いる」
早速海都の索敵に引っかかったようだ。
「慎重に行こう」
更に進んで行くと巨大なカエルのモンスター、ジャイアントトードが通路を占領していた。
レベルは俺たちよりも低い。あいつらを倒さないと先には行けないか。
「春名春名、俺やっていい?」
颯音は戦いたいようだ。
「おう、いってこい」
「よっしゃ! 行ってくる!」
駆け出す颯音。
颯音に気づいた一体のジャイアントトードが舌を伸ばして攻撃をするも、颯音は簡単に往なす。
「【共鳴技・ブラストナックル】!」
ジャイアントトードの腹部に颯音は強烈な一撃を入れる。
ジャイアントトードは口から体液を吐き出し壁に埋まり消滅した。
風を一気に噴出させ攻撃する颯音の共鳴技。相変わらずの威力だな。
「ゲコ!」
ジャイアントトードは口から液体を吐き出す。颯音は後退して液体を避ける。
液体がかかった地面や壁は溶け出す。あのカエル、酸を吐き出すのかよ。
「面倒だな」
颯音は俺たちがいるところまで戻る。
「サポートいるか?」
「平気! あっ!」
俺たちの横を炎の矢が通り過ぎ、奥にいるジャイアントトードに攻撃が当たり燃え上がる。
「海都! 手を出すなよ!」
「俺もやりてぇんだよ」
そう言いながらも海都は追撃し、ジャイアントトードを倒す。
「もう! 残りは俺のだからな!」
そう言って颯音は速攻で残り一体になったジャイアントトードを瞬殺した。
レベルが低いとあっという間だな。
『ふ、二人強いね』
水面から頭を出してアオガネが話しかけてくる。
「まぁな。アオガネも戦いたいなら言ってくれよ」
『ぼ、僕はいいかな……』
遠慮気味に答えるアオガネ。他のメンバーと比べて一番争うのが苦手だよな。
『アオガネ、モンスターを倒してレベル上げようよ! 強くなれるよ!』
『うんうん! 進化すればあんなやつら余裕よ!』
黄色と白色の球体からコガネとシロガネがアオガネに語り掛けてくる。
「コガネとシロガネの言葉はあんまり気にするなよ。アオガネがどうしても戦わなければいけないと思った時に戦ってくれればいいさ」
『う、うん……』
「春名! 素材回収したから行こうぜ!」
「おう。行こうぜアオガネ」
『うん……』
しばらくモンスターを倒しながら進んだ。
出てくるモンスターは比較的に俺たちよりもレベルが低く特に苦戦することもなかった。
「お、扉が見えたな」
しらみつぶしに道を散策してようやく大きな扉を見つけた。
「この先にボスモンスターがいるから油断すんなよ」
「全体的にモンスターのレベルが低いし、大丈夫だろう」
「水系のボスモンスターかな?」
「じゃね? よし、開けるぞ」
俺は扉に手を掛けると、ゆっくりと扉が開いて行く。扉が全開すると道が光りだす。
俺たちは互いに顔を見合わせ慎重に光る道を進む。アオガネにも上がってもらい付いてきてもらう。
光る道を渡り切ると壁の明かりが点灯して部屋が明るくなり、扉が閉まって消えた。
俺たちが立っていたのは円形の盤上で周りは水に囲まれていた。
「おい! あれ!」
海都が指さす方を見ると海のような青色の鱗に赤い背ビレの細長いものが水面から姿を見せる。
そいつはぐるっと回ると俺たちの正面にある水が盛り上がり、鋭い黄色の瞳をこちらに向けてくる。
口の両端から長い青い髭が生え、翼のようなヒレを持ったモンスターが姿を現す。
俺は急いでモンスターのことを確認した。
「ボスモンスター、リヴァイアサン……」
俺はボスモンスターの名前を呟いた。
「マジかよ……レベルカンストしてんじゃん! 誰だよレベル低いって言ったやつは!」
「「海都」」
俺と颯音は海都を指差した。
「俺だった!」
「そういうコントは今いいから。本気でやるぞ」
「分かってる」
俺は盾を構え、颯音は軽くウォーミングアップをする。
「久々に本気を出すか」
海都も弓を構え、俺たちはボスモンスターのリヴァイアサンと対峙する。




