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第146話

 ログインした俺は待ち合わせ場所である樹海エリアの街に行くための転移門に向かう。

 メンテナンス明けだからか砂漠エリアの組合所には人が溢れていた。

 みんな集まって上位職を確認するって言ってないし、今見るか。気になるし。

 俺は歩きながら転職条件を確かめた。


 俺の上位職は三つ。

 一つ目は改造盾士。【トランス】を使用した武器を一度だけ改造することが出来るジョブ。

 転職条件は【トランス】を五回以上使用すること。

 俺が変形させたのは回転刃、弓、魔導書で【トランス】を二回分使用した【エキストラトランス・レゾナンス】。

【エキストラトランス・レゾナンス】を二回分とカウントしてくれば条件は達成していると思うけど、未達成って表記だから一回分でカウントされているな。てことは、今溜まっているSPを振って取れるかどうかだな。


 二つ目は上級盾士。防御力に更に特化したジョブ。

 転職条件は体力、防御力、盾スキルの取得数に達していればなれる。

 俺の場合はどれも達していないからこの上位職にはなれない。まぁなろうとも思わない。


 三つ目がインセクトテイマー。虫系のモンスターを使役して戦うジョブ。

 転職条件は虫系モンスターを十体以上テイムする。もしくはモンスターを十回以上進化させる。

 一応、どちらの条件も達成していて転職は可能だ。

 コガネたちと何かしらシナジーのある上位職……上位職か微妙な位置だけど、こっちでもいいかな。

 一つ懸念があるとしたら共鳴だ。コガネたちとの共鳴は【エキストラトランス・レゾナンス】でどうにか被らずに出来るようしている。インセクトテイマーの方にして出来ないなら無難に改造盾士になった方が良い気がする。

 上位職に転職したら下位職に戻れる保証はどこにも記載がないから慎重に決めよう。


 そう心に決め、俺は街の中心にある転移門に着いて樹海エリアに向かった。

 転移門を潜って樹海エリアの街に着いた俺は辺りを見渡すと、手を振っている颯音を見つける

 その隣には海都もいた。ゆっくり歩いていたから遅れたな。

 二人のところに行くと颯音が言う。


「春名遅いぞ」


「悪い、砂漠エリアが意外と混んでて遅れた」


「本当は上位職を見ててゆっくり向かってきたんだろう? 颯音もそうだったし」


「まぁな。どうせ待っている間に海都も見たんだろう?」


 海都は頷いた。


「当たり前だ。二人はもう上位職は決めたのか?」


 海都の質問に颯音が最初に答える。


「ビーストテイマーも捨てがたいけど、俺は拳狼士! 転職条件にヒスイとギンをもう一回進化させないといけないけど。春名は?」


「インセクトテイマーか改造盾士かで悩んでる。インセクトテイマーならすぐに転職できるけどな」


「春名もモンスター系の上位職あったんだ。ビーストテイマーのさ、転職条件がモンスターを十体以上テイムか十回以上進化させるんだよ」


「へぇー俺と条件は一緒だな。颯音には時間が掛かっちゃうな。だから拳狼士か」


「そうなんだよ」


「二人だけずりぃ……モンスター関係のジョブとか俺もなりてぇ……」


 そう口にしながら海都は落ち込む。


「ダンジョンの生成率も上がってるからなんとかなるよ」


「そうそう。今度付き合うから元気だせよ」


 俺と颯音は落ち込んでいる海都を慰めた。


「ありがとう二人とも……」


「海都は上位職決めたの?」


 颯音が尋ねる。


「俺は一旦保留だ。テイムしたら上位職が増えるかもしれないからな」


「増えるの?」


「どこにも記載ないし、無いとは言い切れないだろう?」


「確かにそうだな。あのアップデート内容には記載がないことも普通にあるしな」


「だろう? よし、じゃあボチボチ組合所に行きますか」


 俺と颯音は頷く。

 賑わっている大通りを進み組合所に向かう。


「うわぁ……めっちゃ並んでるな」


 組合所の近づいていくと、組合所から伸びる大行列が視界に入る。


「こちらが最後尾になりまーす! 四十五分から一時間程でご案内いたしまーす!」


 プラカードを持った女性のNPCが大声で説明をしている。組合所のスタッフかな? たいへんそうだな。

 その列を見て海都が聞いてくる。


「どうする? 並ぶ?」


「後回ししても同じだろうし、並ぶに一票」


「俺もそれでいいかな」


「了解」


 俺たちは最後尾に並び適当に雑談しながら時間を潰す。

 俺たちが受付に辿り着いたのは結局一時間後だった。



次回の更新は2/27に予定しております。

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