第140話
照りつける太陽が眩しく俺は手を翳した。
砂漠エリアの街は暑さ対策に、街の中心に噴水が設置されており、道の両端には綺麗な水が流れている水路がある。
建物も全体的に白く、所々に木陰になる木が植えられている。火山エリアよりかは過ごしやすい。まぁ暑いには変わりはないけど。
「ハルナ君、大丈夫?」
モレルさんが心配して声をかけてくれる。
「はい、暑いですけど火山エリアよりかはマシです」
「ほら、武具店に行って装備投影するぞ」
グレンさんが先導してお店まで案内してくれた。
大通りを歩いていると空から機械の球体が俺の方に飛んでくる。このエリアの案内役が来たようだ。
「砂漠エリアにようこそ! 私案内役を務めさせて頂きますカルテと申します!」
俺はいつも通りにプレイヤーカードを見せる。
カルテは俺のプレイヤーカードをスキャンしていく。
「ご協力感謝です。なにかお困りのことがあればヘルプ機能をご利用ください」
「おう」
カルテはペコリとお辞儀して飛んでいった。
「ほら、行くぞ」
「あ、はい」
駆け足でみんなに追いつく。
グレンさんの案内してくれたお店で涼しそうな服を選び自分の装備に投影した。
必要なアイテムも購入してお店を出てからグレンさんに尋ねる。
「ここから、そのダンジョンにはどうやって行くんですか?」
「徒歩でも行けるが時間がかかる。今回は幌馬車で向かう」
「幌馬車……というと、西部劇とかに出てくるような馬車のこと?」
「そうだ。組合所のところから出てるからそこに向かうぞ」
グレンさんの後をついて行ってしばらく歩くとこの街で一番大きいと思う建物の前に着く。白くて四角い、まるで豆腐みたいだ。ここが組合所なのかな。
「ここが組合所だ。乗車券を買ってくるからここで待ってろ」
「俺もついて行こう」
グレンさんとベオルさんが組合所に入っていく。
「二人とも、近くのお店で待ってるからメッセージ飛ばして」
「分かった」
手を振って返事をするグレンさん。
二人と別れて近くのお店に入った俺たちは食べ物を注文して、テラス席で待つことにした。
「ハルナって彼女いないの?」
飲み物を飲んでいるとエレナさんが急に変なことを聞いてくる。思わず俺は吹き出してしまった。
「ハルナ君大丈夫?!」
「ごほっごほっ。だ、大丈夫ですモレルさん……なんですか急に……」
「で、いるの? いないの?」
「絶対揶揄われるからエレナさんには言わない」
「良いじゃん減るもんじゃないだからさ」
「エレナ、あまりプライベートの事は聞かないの。それ以上の事を聞いたら怒りますよ?」
ユリーナさんの笑顔の圧にエレナさんは口を閉じた。
ふぅ……なんとか助かった。
「グレンさんとベオルさん、遅いですね」
俺は話題を変えるために二人が戻ってくるのが遅いと呟く。
紅茶を一口飲んでからモレルさんが口を開く。
「人いっぱいいるし、混んでるんじゃない? 目的一緒みたいだもん」
「ダンジョンか……モレルさんと行って以来ですね」
「そうだね、懐かしいね。あの時のハルナ君かっこよかったよ」
モレルさんに言われ、少し照れてしまい頬をポリポリと掻く。
「以前にダンジョンに行かれたことがあるんですか?」
食べ終わりフォークを置いてからユリーナさんが聞いてくる。
「モレルさんとルーシャさんが見つけたダンジョンだったんですが、ルーシャさんが仕事で来れなかったので俺が代わりに。あ、そん時の杖ってどうなりましたモレルさん?」
「あの杖は意外と高く売れてね、お店の費用に回したよ」
「それは良かった」
「お、グレンからメッセージ来た。組合所に来いって」
俺たちはお盆を下げてからお店を出て組合所に向かう。
「乗車券買えたの?」
エレナさんが尋ねる。
「買えたけどさ、早くても一時間後なんだわ」
「えーそんなにかかるの? どうすんのよ、その間」
「歩いてでも行けるが……」
「そうなると、暑さ対策しないといけませんわね」
困った表情を浮かべるユリーナさん。
すると、急に肩をツンツンと突っつかれ振り向く。
「ハルナっち。先ほどぶりっすね」
そこには悪魔の島で知り合ったアレンさんと、アレンさんと手をつないでいるフリッジさんがいた。
次回の更新は2/12に予定しております。




