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第119話

 ルーシャさんと店内清掃を終え、俺は近くの椅子に座り背もたれに寄り掛かる。


「お疲れ様ハルナ。初めてにしては上出来だった。疲れた?」


 天井を見上げながら俺は答える。


「疲れました……」


「そっか。これ、良かったら食べて」


 ルーシャさんに視線を向けると、真っ赤な花をモチーフにしたような見た目の綺麗なクッキーが皿に盛ってあった。


「ファイアフラワーを使ったお菓子。手伝ってくれたお礼」


「ありがとうございます。頂きますね」


 一つ手に取り口に入れる。


「ん、美味しい。美味しいですルーシャさん」


「まだあるから食べて」


 ルーシャさんは皿をテーブルに置いて厨房に戻っていく。

 俺はボリボリとクッキーを食べながら厨房にいるルーシャさんに尋ねた。


「今更だけど、モレルさんは来てないんですね」


「風邪ひいたの」


「そうだったんだ。お大事にと伝えてください」


「わかった」


 厨房からルーシャさんが戻って来ると、手には今食べているクッキーが詰まっている袋を二つも持っていた。


「こっちがハルナ。こっちがハヤトの分」


「あ、ありがとうございます。後で颯音に渡しておきます」


「うん」


「それじゃ俺はこれで」


「うん、またね」


 ルーシャさんのお店を出てすぐに俺はログアウトする。

 戻ってきたら俺はぱぱっとお風呂済ませて就寝した。




 翌日、アラーム音で起きた俺は兄ちゃんの弁当を作りにキッチンに行く。


「はぁ〜……」


「大きな欠伸だな春名、寝てないのか?」


 眠そうな目で兄ちゃんに視線を向けて俺は言う。


「寝たけど……寝足りなくて……朝飯食べる?」


「食べていくよ」


「はーい」


 兄ちゃんの朝飯を皿に盛りテーブルに置く。

 兄ちゃんが食べている間に弁当を作り終え、俺も朝飯を食べ始める。


「はぁ〜……」


「徹夜はしてないんだよな?」


「してない、してない」


「それならいいけど」


 そう言って兄ちゃんはコーヒーを一口啜る。


「今日は帰り遅いの?」


「今日は早めに帰る」


「わかった。あ、今日颯音が来るんだった」


「そうなのか? 泊まりか?」


「それは聞いてないからわかんない」


「ふーん、泊まるなら泊まるで構わないけど、颯音の両親に許可は取れよ」


「わかった」


「ご馳走さま」


 兄ちゃんは立ち上がり食器を流しに置き、鞄を持って玄関に向かう。

 俺は朝飯を中断して見送りにいく。


「いってらっしゃい」


「行ってきます」


 兄ちゃんを見送って朝飯を再開。

 颯音に連絡を入れると直ぐに返事が返ってきて昼手前に来るとのこと。

 まだ時間はあるし、少しだけ寝るかな。

 俺は部屋から毛布を引っ張り出してリビングにあるソファに横になる。アラームを設定して目を閉じた。




 ――ピンポーン。


「……ん」


 チャイムの音が聞こえて目を覚まし、リビングの時計を見る。


 ――ピンポーン


「はーい!」


 少しだけイライラしながら玄関に向かう。ドアを開けると颯音が立っていた。


「来るの早くないか?」


「早く着いちゃって……上がってもいい?」


「先、部屋に入ってて」


「う、うん……」


 俺は洗面所で顔を洗ってから部屋に戻った。


「お待たせ」


「おかえり春名」


 颯音は鞄から教科書やノートを取り出す。


「てっきりゲームするのかと思ってけど」


「勿論やるけど、先ずは課題をやってから。春名は大分終わったの?」


「まぁな。折り畳み出すわ」


 押し入れにある折り畳みテーブルを取り出して設置する。


「よし、やるぞー」


「頑張れ〜」


 そう言いながらベットに横たわる。


「って、春名も一緒にやろうよ!」


「え〜仕方ないなぁ〜」


 渋々体を起こして、颯音の向かい側に座り勉強道具を広げた。


「分かんない所あっても聞くの禁止な。自力で解けよ」


「わ、わかったよ……」


「全部テスト範囲だったんだから頑張れ」


「はーい」


 俺と颯音は集中して課題に取り組んだ。

 しばらくすると、玄関のドアが開く音がして兄ちゃんの「ただいま」の声が聞こえた。


「冬真兄、帰るの早くない?」


「今日早めに帰るって言ってたからな」


 時計を見ると昼の三時過ぎ。

 いつもよりは大分早いな。

 そう思っていたら、兄ちゃんが部屋に入ってきた。


「おかえり、兄ちゃん」


「おかえりなさい冬真兄。お邪魔してます」


「課題進んでいるのか?」


 勉強道具が広がっているのを見て兄ちゃんが聞いてくる。

 俺と颯音は頷いて返事をする。


「夕飯は俺が作るから、それまでは課題やってろよ」


「はーい」


「はーい……」


 それだけ言って兄ちゃんは部屋を出ていく。


「聞いてなかったけど、今日は泊まるのか?」


「うん、母さんに許可を貰ってる」


「了解、それじゃ続きやろうか」


 そこから一時間ぐらい課題を進めていると夕飯が出来たと兄ちゃんに呼ばれた。

 ようやく解放されたのが嬉しいようで、颯音は勉強道具を片付けていく。


「お腹すいた〜……早く行こう春名!」


「はいはい」


 俺と颯音は部屋を出てリビングに向かった。




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