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困り人

「え、あ……はい」「ひっ……」「うわっ……」「なに、誰?」

 急にこんな人が出て来たらそりゃビックリするよね……


「せっかくボスを越えたんだぁ、次の街に着く前にお陀仏にはなりたくねぇだろ?消耗しているなら道から逸れるなよぉ?」

 ボス突破おめでとう!ここで死んじゃうと前の街に戻されちゃうから気を付けてね!って事かな?


 4人組はこっちに警戒した様子でそそくさと道を進んで行った。ある程度距離が空いたらダッシュで走っていく。その気持ちも分からない訳では無いけどダッシュする程だろうか?


「ダイコーンさん、それロールプレイですか?」

「あぁ、こういうロールプレイがしたかったからこの恰好をしているんだ」

「ワンワンワン!(口調が安定しないんです)」

 ロールプレイの時とそうじゃない時のオンオフがあるタイプの人なのね


「とりあえず4人組は回避出来たみたいですし、行きましょうか」

「あぁ、君を送り届ける為に来たからな」

「ワンワン!(安心してください)ワンワンワン!(敵が出ても僕が守ります!)」

 おぉ、はんぺん君頼もしい……こういう仲間も良いなぁ?


 1人と2匹(1人偽装中)が道を歩いていく。特に誰かとすれ違ったりはしないけど周りを見てみると草原にはスライムや兎以外に狼や猪が居る。森を越えたから少し敵が増えたのかな?


「遅くなったが一応、すぅ……ヒャッハー!一人で良くボスを突破出来たなぁ?だが、一人じゃこの先危ないぜぇ?」

「それ、お約束なんですかね……」

 人のロールプレイだし、ケチを付ける訳じゃ無いけどもう素の状態を見てしまっているから反応に困る……


「まぁ、お約束だよ」

「せめて素のダイコーンさんを見る前に見せて欲しかったですね……」

「ハハハ……」

「ワンワン!(失敗しちゃった?)」

 そんな風に話して道を歩いていると木と道端でしゃがんで泣いている女の子が居た


「おぉい?嬢ちゃんどうしたぁ?」

 ダイコーンさんの話し方を注意すべきか……いや、今僕はシロクマでダイコーンさんの召喚獣(の役)だ。ここは見守ろう


「うぅ……お母さんの為に、薬草を取りに森に入ったのに帰りに鳥にイタズラされて……」

 そう言って顔を木の上に向ける。女の子の視線を追ってみると木の枝に手提げ袋の様な物が引っかかっていた


「お母さんの作ってくれた物だから破けない様に取りたいけど手が届かなくて……」

「なるほどな」

 ダイコーンさんが一旦返事をするけど腕を組んで悩んでいる。するとダイコーンさんからウィスパーが飛んで来た


(俺としては助けてあげたいんだが……これは長めの武器を使って取ろうとしたり、何かぶつけて落とそうとするのはダメそうだからどうしようも無いぞ……)

 ウィスパーのやり方はもうオーブさんに習ったから出来なくは無いけどここは何も答えずに行動で示そう


「ベア!」

 自分に任せろ!という感じで両手を腰に当てて胸を張る。こういう時は多少オーバーに見せた方が女の子も安心するハズだ


「くまさん?」

「ハ、こんにゃく?行けるか?」

 今普通にハチって言いかけたよね?まぁ言ってないから良いけど……


「ベア」

 二回頷いて出来る事を伝える。だって木を登るだけだしね?


「ベアベア」

 木に登り、袋の場所に向かう


「くまさんがんばれー!」

「良いぞぉ!こんにゃく!」

「ワンワン!(あとちょっと!)」

「ベアー」

 下で待つ2人と1匹に手を振りながら袋の場所に辿り着く。中に薬草が入ってるからこれで間違いないだろう


 枝に引っかかっていた袋を外し、降りようとする。だが、なんか一瞬木が動いた?気がした


 ガサササッ!っと木が大きく揺れ、僕を振り落とそうとする。が、【ラフライダー】の効果が発動して体が木に吸い付く感覚があって落ちない……【ラフライダー】が発動した!?


「ベアッ!」

 下で待っていた皆に手を払う動作をして離れろと合図する。ウィスパーチャットが出来る距離って2m以内だからここからじゃダイコーンさんにウィスパーは届かないけどダイコーンさんは理解してくれたのか女の子を抱いて離れてくれた。流石にあのトゲトゲパッドの肩に担がれたら痛いだろうし、女の子を抱いて走る世紀末モヒカンを咎める訳にはいかない


 ガササッ!とまだ暴れる様なので僕も女の子の手提げ袋を自分のポシェット(インベントリ)に仕舞って、木から飛ぶ。なんとなく空中で2回転ひねりしてから着地。フィニッシュポーズ


「おぉぉ!」

 女の子がパチパチ拍手してくれる。嬉しいね?


「何してんだ!危ないぞ!早く離れろ!」

 ダイコーンさんが僕の後ろを指差して大きな声で注意する


 ガサササッ!


「ひぇ~」

 後ろから顔の付いた木が根を足の様に動かしてこっちに向かって来ていた。木の魔物だしトレントって奴だろうか?


 こっちに向かって葉っぱを飛ばしてくる。このままだと女の子に当たる可能性があるので急いで左に移動する。僕の行動を見てダイコーンさんは女の子を抱えて右方向に走る。言わなくてもしっかり分かってるなぁ?


「はんぺん!【フレアファング】!」

「ガウッ!(了解!)」

 はんぺんの牙から炎が出てトレントに噛みつく。かなり勇敢だ


「グギャー!」

 噛まれた位置から燃えるトレント。やっぱ木には火が効くんだねぇ?



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― 新着の感想 ―
炎の牙!効果は抜群だ!
[一言] 偶然発生する主人公向けのイベント。 そして、事・案・発・生!。 ポリスメン!あのモヒカンです!。
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